▶126◀ 広州市の最新政策動向


▶126◀
広州市の最新政策動向

広州市における最近の外資誘致政策および、広東自由貿易試験区の最近の政策動向について紹介します。
(深圳NAC名南コンサルティング 浜田かおり)


広州市外資誘致政策について 

⒈外資への期待度が高い広州市
広州市は毎年春・秋に開催される「広州交易会」で知られるように、中国の対外貿易をけん引してきた都市で、市内には各種の巨大な卸売市場があり、また貿易を支える陸・海・空の交通網の中心地でもあり、粤港澳大湾区(広東・香港・マカオ大湾区)における都市間軌道交通のハブとなる計画があります。広東省もしくは中国全土における広州市の消費・購買力は突出しており、卸売・小売販売総額が全省の50%近くを占めると言われています。製造業では日系自動車3メーカーがすべて広州市にしていることから日系の関連業種が周辺に集積しています。

一方、市のHP投資誘致頁によると、オフィスの平均賃料では北京367元/平方メートル 、上海307元/平方メートルに対し、広州160元/平方メートル (2015年不動産業者発表)、また賃金水準も中国4都市(北京、上海、広州、深圳)中最下位と、コストメリットをアピールしています。

昨年12月に広州でフォーチュングローバルフォーラムが開催され、国内外から招かれた政財界のトップ達に広州市政府が発表した今後の投資誘致政策は、①人材誘致②外資利用と支援策③AI産業発展④イノベーション⑤外資製造業高度化と先進製造業発展——となっており、引き続き外資、中でも製造業への期待が高い広州市の姿勢が感じられます。

⒉製造業種への優遇政策
工業用ロボットおよびAI装備産業に対する優遇政策では、重点企業への政府による投資やプロジェクトへの補助金のほか、以下のような支援があります。

《工業用ロボットとAI装備産業発展推進実施意見》(穂府弁[2014]14号)2014年4月より有効

・企業のロボット応用に対し、その購入価格かリース料の10〜20%かつ3万元〜50万元/台までを補助
・ロボット(製品・部品)製造プロジェクト投資に対し進出時補助、経営開始後は研究開発費用加算控除、ハイテク認定に基づく優遇
・展示会参加費の補助
・個別事業への補助
・土地を安い価格で提供
・勤務人材へのビザや資金・子女入学・住居等支援・補助

⒊サービス業種への優遇政策
サービス・アウトソーシング企業の、国内外からのアウトソーシング業務に対する優遇政策があります。

《広州市サービス・アウトソーシング発展専門項目資金管理弁法》(穂商務服貿[2015]10号)有効期間2015〜2019年

・広州拠点を本部とし、広州地区以外の子会社のアウトソーシング業務を請け負う企業に対し、アウトソーシングサービス報酬額が300万米ドル〜600万米ドル以上で、昨年比増加比が30%以上の場合、10万元〜20万元を超えない補助
・企業が実際に支払った国際通信専門線費用に対し、50%までを補助
・広州市国際サービス・アウトソーシング人材研修機構」に認定された場合、20万元を超えない補助
・「500強」企業の投資に対し100万をこえない補助
・国際認証取得、メンテナンス、アップグレード時に実際発生費用の50%を補助
・アウトソーシング促進活動等への参加時、実際発生費用の50%を補助

広東自由貿易試験区政策動向について

広州市南沙新区、深圳前海、珠海横琴の3カ所で構成される広東自由貿易試験区は、2014年末に国務院より福建・天津の自由貿易試験区と共に正式に独自の行政審査権限が付与されて後、次々に自由貿易試験区の政策が打ち出されています。外資参入ネガティブリストや外債新モデルなど、自由貿易試験区が先行して実施した政策の全国展開も順次進められています。2018年に入り早速発布されているいくつかの政策を紹介します。

⒈《2017年度企業所得税優遇産業認定業務手配の通知》
前海深港現代サービス業合作区に設立された企業が、現代サービス業リストに該当し収入総額の一定比率を超える場合、企業所得税15%の優遇措置を享受することができる措置が継続されています。企業は自主申告するかもしくは前海管理局より優遇産業の認定を受けて享受することが可能で、認定を受ける企業は4月の指定期限までに認定申請を提出する必要があります。提出資料には優遇産業関連の業務フローや、財務記帳証憑等が含まれます。

⒉《広東自由貿易試験区南沙エリアでの非特殊用途化粧品輸入備案管理の試行業務関連事項の通告》
2018年3月8日より12月21日までの間、広東自由貿易試験区南沙エリアで輸入され、かつ、輸入責任者の登録地が南沙エリアである、非特殊用途化粧品の初回輸入に対し、審査認可管理を備案(届出)管理とする措置が試行されます。非特殊用途化粧品を輸入する生産企業およびその国内責任者は、輸入製品の備案証票を取得後、輸入業務を展開することができ、国家食品薬品監督管理総局備案システムで生成された備案証票を持って、輸入手続きを実施することができるということです。認可レベルから備案レベルへの引き下げという、輸入手続きの簡素化の措置が、従来の輸入規制対象貨物にも広げられていくことが期待されます。

⒊《広州南沙新区(自由貿易試験区エリア)人材イノベーション発展誘致の若干措置実施細則》
広州南沙エリアに登録する企業に勤務し、人材認定を受ける人を対象に、ビザの優遇や住宅購入補助金を付与しています。人材認定の条件は全国各地の人材誘致計画対象者や、500強企業・上場企業の高級管理職、有名大学教授等が含まれています。

⒋《香港マカオ住民の前海での就業証免除についての公告》
 香港マカオ住民などの「中国公民」と呼ばれる人たちは、大陸での就業に際しては《台湾香港マカオ人員就業証》を申請取得する必要がありますが、深圳市前海エリアにおいては、香港マカオ住民に対しこれを免除する公告が2018年3月16日に発布され、即日施行されています。

(このシリーズは月1回掲載します)


NAC国際会計グループ)
中国・アジアに23拠点・駐在日本人専門家60名・現地スタッフ240名の総合力で日系中堅中小企業のグローバル展開を応援、高品質の会計総合サービスを提供しています。
所在地:Suite 2408, 24/F., Tower 2, Lippo Centre, 89 Queensway, Hong Kong
※各種ご相談は下記まで。
電話:2537-2146
FAX2524-0110
メール: info@nac.com.hk

サイト: www.nac.com.hk
情報サイト:www.nacglobal.net
担当:田中、佐藤、ブルース、ボニー、西村

Share