第32回香港ギフト&プレミアムフェア

第32回香港ギフト&プレミアムフェア

 4月27日から開催された第32回「香港ギフト&プレミアム・フェア」と第12回「香港国際印刷・包装展」。それぞれ香港コンベンション・アンド・エキシビション・センターと亜洲国際博覧館(アジア・ワールド・エキスポ)で行われた。ギフト用品業界の展示会として世界最大規模を誇る「香港ギフト&プレミアム・フェア」には世界31カ国・地域から4300超の企業・団体が出展、日本からは10社出展した。海外進出を検討する企業が増加している中、日本の高品質でデザイン性の高い商品を海外にアピールできる場でもある。同イベントに参加した企業とジャパンパビリオンの主催者に話を伺った。

インタビュー①
ジャパンパビリオン主催 株式会社ビジネスガイド社事業部 藤本俊介氏

株式会社ビジネスガイド社の藤本俊介さん

 ジャパンパビリオンを主催した株式会社ビジネスガイド社は、日本国内の企業の海外進出サポートだけでなく現地のバイヤーに近い位置で商談できるようにサポートサービスの提供をする。主催は4回目。今回は、香港以外のアジア圏だけでなくヨーロッパからのバイヤーも目立つと藤本氏は話す。「香港から日本へは今、訪日者数が年間180万人を超えており、こうした日本ブームとともに日本製品に対する知識、関心が高くなっている」。日本政府観光局(JINTO)の推計によると、単月の訪日者数では今年3月は過去3番目の多さ(2016年1219万8773人、2016年7月18万4630人)、さらに1〜3月の累計は前年同期比12・1%増の4万9600人、中華圏で最多の伸び(中国本土12%増、台湾3・5%増)。26カ月連続で月10万人台と伸び率は高まる一方だ。

 こうしたなか、日本の製品は、質の高さ、デザイン性の高さだけでなく「カワイイ」「クール」という視点でも海外から注目されている。同社への海外進出などの問い合わせは、ここ数年増えてきており、進出を目指す地域・エリアも中国本土に集中していた以前比べ、アセアン地域などアジアの広範囲にわたるという。「香港で行われる国際的なイベントは、中国本土、東南アジアのバイヤーとも直で話をできる絶好の機会。年々海外進出を検討する企業が増加している中、日本の高品質で、高いデザイン性の商品を海外にアピールできる場として今後も多くの企業にこうしたイベントに参加してもらいたい」と語った。

インタビュー②
株式会社セラミック藍 代表取締役社長 小林直明氏

株式会社セラミック藍

 焼き物の町、岐阜県多治見市で「美濃焼」を取り扱う株式会社セラミック藍の代表取締役・小林直明氏は、イベントの参加理由について「アジア圏の企業だけでなく、ヨーロッパ各国の出展企業やバイヤーも多く参加するのが香港のイベントの魅力。今回も初日からアジア以外の様々な国の関係者が来てくれ、実際に話を伺いながら彼らがどのようなものを求めているのか、直に聞くことができている」と出展2回目にして手ごたえを感じている。

 長い歴史と伝統のある「美濃焼」。日本国内の食器類の生産が全国シェアのおよそ6割を占めているなど、日本の代表的な焼き物であり、日常生活にとけこんでいる焼き物でもある。今、日本製の陶器は今海外でも大きく注目され、海外のシェフのあいだでは、和食器を使うことがトレンドになっているほどだ。小林氏によると美濃焼に関しては海外ではここ数年、モダンで落ち着いた色合いのデザインのものが受けているということで「日本的なデザイン性を前面に出しつつも、あくまでも日常的に使用されるものなので、値段をできる限り抑え、身近な「日本の焼き物」として海外で展開していきたい」。海外展開を積極的にしていくなかで、同時に岐阜県の魅力もアピールすることでインバウンド事業に繋げていきたいと意欲的だ。

インタビュー③
株式会社ドウシシャ ライフスタイル事業部ハウスウェア商品ディビジョン ディレクター 井上大輔氏

株式会社ドウシシャの井上大輔さん

 「ふわふわな食感のかき氷」で人気を集めた「台湾風かき氷」を作ることができる「電動ふわふわ とろ雪かき氷器」を10万台以上を売り上げた、株式会社ドウシシャ。昨年は「電動ふわふわ とろ 雪かき氷器 DTY—16」が、「第 29 回小学館 DIME トレンド大賞」で「家電・IT部門」を受賞している。これまでは国内販売に集中してきた同社だが、少子化にともなう人口減少により購入者の減少も影響し、香港、アセアン地域を足掛かりに海外で挑戦しようと数年前から展開を始めている。ブース中央には日本の「キンキンに冷えた食文化」を広めていきたいと、受賞したかき氷器とともに、SNSや雑誌などで日本、韓国、中国で瞬く間にヒットを飛ばしたステンレス製マイボトル「MOSH」が置かれた。初日からアジア圏を中心に商品をのぞき込む、興味深く手に取る人の姿が多くみられた。

 「海外だと飲み物、食べ物を冷たくするイコール体を冷やすと考えることが多くあるが、冷やしたほうがより美味しくなるものはいくらでもある。海外での日本食ブームが長く続いているからこそ、その魅力とともに日本の食文化を新たな視点で発信したい」

 以前は中国市場では若年層を中心により安価なものが求められてきたがここ数年、大きく変わってきた。ステンレス製マイボトル「MOSH」は2000円以上するがほぼ同じ価格で中国で勝負している。オンライン販売を中心に展開しているが予想を超えた売れ行きは今も好調だ。「ブロガーなどがカワイイ、使いやすい、とコメントとあわせて写真をSNSで拡散することで二次連鎖がすぐに起こりヒットにつながっている」と突如ヒットしたこととに対し喜びとともに当初は戸惑いを隠せなかったと井上氏。「SNSなど豊富な情報が溢れているからこそ、消費者がよりうまく取捨選択できる時代になっている。だからこそメイドインジャパンの素晴らしさを世界に知ってもらうチャンスはさらに増えていくと思う。今回の出展は大変意義があり、今後の海外での可能性に大きな手ごたえを感じている」

(このシリーズは月1回掲載します)


【楢橋里彩】
フリーアナウンサー。NHK宇都宮放送局キャスター・ディレクターを経てフリーに。ラジオDJとして活動後07年に中国に渡りアナウンサーとして大連電視台に勤務。現在はイベントなどのMC、企業トレーナー、執筆活動と幅広く活躍中。
ブログ http://nararisa.blog.jp/

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