外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)

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外国子会社合算税制
(タックスヘイブン対策税制)

 月1回のこのコーナーでは、香港・日本・中国等を中心とした税金等に関する問題についてご紹介させていただきます。今回は、外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)のうち実務的にお問い合せの多い、経済活動基準について述べたいと思います。


経済活動基準

  平成29年度税制改正によって、いわゆる適用除外基準(外国子会社合算税制の適用から除外される基準)が経済活動基準と名称が変更となり、内容も一部要件の見直しがあったことは昨年度の記事でご説明致しましたが、今回はその一部につき詳細を解説します。

 経済活動基準とは、外国関係会社に経済的実体があるかを判定するための4つの基準のことをいい、具体的には以下の通りです。

⑴事業基準(Business Criteria)
⑵実体基準(Substance Criteria)
⑶管理支配基準(Manage and Control Criteria)
⑷①非関連者基準(Unrelated Party Criteria)
⑷②所在地国基準(Location Criteria)

タックスヘイブン対策税制の不適用を受けるためには、上記4つの条件全てを満たす必要があります。

非関連者基準

 非関連者基準は、外国子会社の業種により二つにわけて判定する必要があります。

 主たる事業が、卸売業、銀行業、信託業、金融商品取引業、保険業、水運業、または航空運送業の7つの業種に当てはまる場合には、主な事業における取引の50%超が非関連者との取引である場合は要件を満たすことになります。

 ここでいう取引の50%超とは、具体的には非関連者と行う販売取引の金額が総販売金額の50%超となっているあるいは、非関連者と行う仕入取引の金額が総仕入金額の50%超となっている場合をいいます。つまり、販売か仕入のどちらか一方の割合が50%超となっていれば非関連者基準を満たします。

 条文根拠としては、租税特別措置法第六十六条の六、および租税特別措置法施行令第三十九条の十四の三をご参照ください。

 注意点としては、非関連者との間で行う取引の対象となる資産や役務提供その他のものが関連者にその後移転または提供されることがあらかじめ決定しているような場合には、その非関連者と行う取引は関連者間取引とされ、上記基準は満たしません。

 また、保険業を主たる事業としている外国関係会社の保険受託者に該当する場合、その外国関係会社が保険委託者との間で行う取引は関連者間取引には該当しません。

さらに、航空機の貸付を主たる事業とする外国関係会社についても、非関連者基準が適用されます。

 外国関係会社が経済的活動基準のいずれか一つでも満たさない場合には、当該外国関係会社の所得は親会社である日本法人の所得に合算されることになります。

まとめ

 平成29年度、30年度改正においてタックスヘイブン対策税制は大きく改正されてきましたが、実務的な適用に当たっては判断に迷う点も多々あると考えられます。

 香港にある日系企業にとっても国際課税に関する改正点については大いに関係する可能性があるため、実行にあたっては事前に税務専門家や弁護士等に相談しながら進めることが重要です。

(このシリーズは月1回掲載します)


筆者紹介
フェアコンサルティング(香港)
東京、大阪、香港、上海、蘇州、台湾、ベトナム、フィリピン、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、インド、メキシコ、オーストラリア、ドイツを拠点に多数のグローバル企業のサポートを行っているフェア コンサルティンググループの香港拠点。同グループは国税当局や大手会計事務所出身で経験豊富な公認会計士、税理士スタッフが、日系企業が抱える諸問題を解決するための税務・財務戦略を企画・立案・実施支援しています。
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