大型カジノ見本市 (後編)

大型カジノ見本市
「第5回MGSエンターテインメントショー2017
~クリエイティビティ&イノベーション」(後編)

 11月14~16日、マカオのヴェネチアンマカオ・コタイエキスポホールで開催された「第5回MGS(Macao Gaming Show)エンターテインメントショー2017〜クリエイティビティ&イノベーション」。主催はマカオのカジノ関連企業で構成されるマカオ娯楽設備協会(MGEMA)。日本からは2回目の出展となるピクセルカンパニーズ株式会社が「日本 IR(統合型リゾート)ブース」を設置し、日本のIRの現状をマカオ市場へ紹介、日本国内でIR関連事業へ参入している企業の事業紹介など最新動向を世界に向けてアピールした。後編ではカジノIRブースに出展した企業・団体に話を伺った。


過去最多数の来場者、出展社数に

MGSは国際見本市連盟(UFI)から「UFI認定展示会」認証も獲得した大型国際ゲーミング(カジノ)見本市だ。5回目となる今回の出展企業・団体は162、来場者数は1万5000人と過去最多となった。 今回の日本企業の出展者はAngel Playing Cards Macau Ltd.、Aruze Gaming Macau Limited、JCM Global・Konami Gaming, Inc.、Matsui Asia Ltd.、PIXEL COMPANYZ INC.。

また「日本IRブース」を設置したピクセルカンパニーズ株式会社は日本のIR業界と世界のカジノ市場をつなぐ役割を担い、日本のIR業界をサポート。今回はMGEMAより正式認証を受けMGS日本総代理事務局になっている。「日本IRブース」では長崎県、北海道、和歌山県の自治体の誘致資料が提供され、またカジノディーラーを育成する「日本カジノ学院」の特設ブースが作られるなど大きく注目された。

ブース内ステージではMGEMA会長のジェイ・チュン氏、博報堂IR/MICE推進室担当部長の栗田朗氏、「カジノIRジャパン」運営のキャピタル&イノベーション株式会社代表の小池隆由氏、ピクセルカンパニーズ社長の吉田弘明氏が日本IRの最新動向を紹介するトークセッションを開催。さらにスペシャルゲストとして中国語圏でも高い知名度と人気を誇る歌手・女優の酒井法子さん、タレント・歌手のソンミさんが登壇するなどひと際華やかなブースとなった。

カジノ産業が日本で解禁されるのは2020年の東京オリンピック後といわれている。2016年12月26日に施行されたIR推進法は「必要となる法制上の措置については、この法律の施行後一年以内を目途として講じなければならない」と定めており、政府は2018年度予算案成立前にIR実施法案を提出とともに、ギャンブル依存症対策基本法案(議員立法)と合わせて国会で審議される。

インタビュー①
日本カジノ学院 代表 贄田 崇矢氏

日本カジノ学院代表の贄田崇矢氏

——カジノディーラーを育成する「日本カジノ学院では」主にどのような教育事業を行っているのでしょうか。

カジノのディーラー育成をしており、今全国に5校あります。東京、大阪にあり、これから福岡、名古屋、札幌など主要都市で展開していく予定です。

——カジノディーラーの職業とは、具体的にどのようなものなのですか。

主にカジノゲーム(ルーレット、ブラックジャック、バカラ、ポーカー)の進行役ですね。初心者の方に対してのゲームルールなどの説明からゲームに応じてプレイヤーへのチップの配布などいわゆる「カジノの花形職業」です。カジノはエンターテインメント事業なのでお客さまに楽しんで頂けるよう盛り上げながら進行していくものです。日本ではまだなじみのない職業ですが、世界的には人気の高い職業です。わが校では単なるディーラーではなく、日本人だからこそできる繊細な技術、おもてなし精神をもつディーラー育成を目的としています。日本のカジノが成功するためにも「カジノディーラー」の知識と技術、そして海外からのお客様も対応できる柔軟性のある人は必要です。現在マカオには2万7000人近くいますが日本国内でも1万人近いディーラーがが必要になってくると推測しています。その前にしっかり土台を作って対応できるよう、すでに養成は進んでおり海外でのトレーニングにも取り組んでいます。

——今後、日本でカジノ産業の展開などを踏まえたうえで期待することは何でしょうか。

やはり一番は「人材雇用の促進、地域の創生、経済の上向き」が大きいでしょうね。少子高齢化がますます進み、ものづくり、生産力が徐々に低下しているという現実のなかで、今後どうしたら社会を活性化できるかとなると、観光産業にさらに力を入れていくべきだと思うのです。日本ではカジノはどうしてもネガティブなイメージがつきものですが、世界では140カ国で行われている産業です。国際基準に見合うカジノ産業を取り入れることで、グローバルな海外からのお客さんも積極的に取り込んでいけるようになればと思います。


インタビュー②
キャピタル&イノベーション代表取締役
小池 隆由氏

キャピタル&イノベーション代表取締役の
小池隆由氏

——今回のイベントには候補地が観光PRを兼ねた出展をしていますが、今後どのように生かそうと考えていますか。

今回は長崎佐世保市、和歌山県、北海道苫小牧市、釧路市が出展しましたが、彼らの狙いはIRカジノを誘致していることを広く世界に知ってもらうことです。日本のIRはカジノ単独ではありません。これらは単体では収益につながりにくい施設です。ホテルも会議場も集客効果、観光産業効果は強いものの、単体となると厳しいのです。カジノを起点として生み出す収益力で新たな街づくりをするということ。つまりIR法というのは街づくり法なんですね。当然海外からの観光誘致もそうですが、カジノが生み出した収益を使って会議場やエンターテインメントホテルなど、マカオにあるようなものを作っていきます。

——出展しているブースのなかで特に注目されているのが長崎県ですね。地元メディアの間でも長崎に関する関心が高かったように感じました。

長崎県といえば代表的なエンターテインメント施設「ハウステンボス」が佐世保市にありますね。新しいアトラクションやイベントが多くあり、海外からも多くの観光客が集うこともあり、長崎はその新たな起爆剤としてカジノ産業に注目し、官民一体となって盛り上げています。カジノ誘致の候補地のある自治体はおよそ20ほど。北から南まで候補地として興味を示しており、最終的には2、3カ所前後に絞る方針を政府は示しています。臨海部の「人工島」や「夢洲」を候補地に挙げている大阪や、ホテルや会議場のある地域に建てたい東京、国際観光拠点を目指している沖縄などもそれぞれ観光産業ともに活性を期待し誘致しています。最終的に数カ所選んだ後は、地域経済や治安などをを踏まえ、その後も経済効果を波及していくと考えられています。日本はこれからますます少子高齢化が進んでいきます。日本の地方都市は20~30年先には人口が2〜3割減少すると言われています。このままでは大変危機的な状況であり、なんとか奪回できないかという地方の人々の思いは大きいですね。IRはあくまでも街づくり事業。ここをしっかり理解していただき、今後の日本の地方創生につなげられることを願っています。

(このシリーズは月1回掲載します)


【楢橋里彩】
フリーアナウンサー。NHK宇都宮放送局キャスター・ディレクターを経てフリーに。ラジオDJとして活動後07年に中国に渡りアナウンサーとして大連電視台に勤務。現在はイベントなどのMC、企業トレーナー、執筆活動と幅広く活躍中。
ブログ http://nararisa.blog.jp/

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