大型カジノ見本市  「第5回MGSエンターテインメントショー2017〜クリエイティビティ&イノベーション」(前編)

マカオのヴェネチアンマカオ・コタイエキスポホールで111416日、大型カジノ見本市「第5回MGSエンターテインメントショー2017 クリエイティビティ&イノベーション」が開催された。主催はマカオのカジノ関連企業で構成されるマカオ娯楽設備協会(MGEMA)。日本からは2回目の出展となるピクセルカンパニーズ株式会社が「日本IR(統合型リゾート)ブース」を設置し、日本のIRの現状をマカオ市場に紹介した。会期中にはIRカジノ最新情報と動向についてのトークセッションなども開催。さらにスペシャルゲストとして中国語圏で高い知名度と人気の歌手・女優の酒井法子さん、タレント・歌手のソンミさんも来場した。前編ではマカオ経済の最新情報とあわせて紹介する。

会場の様子

香港、珠海、マカオを結ぶ
「港珠澳大橋」がまもなく完成

 マカオで一番注目されている話題といえば、中国が国家プロジェクトとして推進している香港とマカオ、広東省珠海市の三地をつなぐ「港珠澳大橋」だ。2016年に開通する予定で工事を進めていたが、香港側は人工島建設の環境アセスメントをめぐる住民との裁判が起こり、着工が遅れた。この代償は大きく、遅れによって建設総額は1000億ドルに膨れたといわれている。人手不足の問題にも見舞われたなか、2017年8月にはトンネル部分の結合が完成、2018年には開通するとのことでマカオ市民の期待も大きい。

 経済効果が大きく期待できる理由の一つに、香港国際空港と直結するため、香港に入らなくとも、そのままマカオに行くことができるようになることが挙げられる。これまでのようにジェットフォイルに乗り換える必要がなくなる。また開通後は24時間運行のシャトルバスが運行するため、利便性が一気に高まる。

 こうしたなか、広東省発展改革委員会は12月6日、港珠澳大橋の車両通行料に関する公聴会の予定を告知した。特区政府運輸署は広東省発展改革委の要請に応じ、通行料案として提示された2案を発表。第1案は自家用車・タクシー150元、シャトルバス・越境バス450元、コンテナ車115元、普通貨車60元で、第2案はこのうち越境バスを200元にしたものだ。さらに現在有料(15ドル)の青馬大橋を将来的に無料化することで、港珠澳大橋を通じてより多くの貨物を取り込めると指摘。開通後には、観光、経済、貿易と様々な分野での大きな期待が高まる。

世界ナンバー1のカジノ産業を誇る

 中国の特別行政区である中華人民共和国澳門特別行政区(通称マカオ)。面積は30平方キロ、人口は64万人の小さな地域は、2007年よりマカオのカジノ産業はラスベガスの売り上げを6倍にも引き離し、世界ナンバーワンの売り上げを誇る。「東洋のラスベガス」といわれるほどに大きく成長を遂げたマカオのカジノの歴史は170年前にさかのぼる。マカオ特区政府がカジノ経営権を対外開放したのは2002年。その後たった5年でラスベガスを抜いている。

 近年、中国経済減速の煽りを受けてマカオのカジノ経済も打撃を受け一時は立て直しを要した時期があった。これは習近平政権の腐敗撲滅キャンペーンに伴う節約や官僚の渡航減少が主因とされている。こうしたなか、ノンゲーミング(非カジノ要素)を取り入れた施設などのホテル施設などの建設事業も積極的に行っており、建設ラッシュだ。特に注目されているのが1泊の料金が1000万円を超えるといわれる世界最高額のホテル「The 13th(ルイ13世)」。2017年夏にオープンした。総建設費用は11億ドル以上ながらも、総客室数は約200と厳選されており、1室あたりの費用が数億円という豪華絢爛なホテルだ。

過去最高の来場者となった
大型国際ゲーミング(カジノ)見本市

スペシャルゲストのソンミさん

 111416日、マカオのヴェネチアンマカオ・コタイエキスポホールで開催された「MGSエンターテイメントショー2017〜クリエイティビティ&イノベーション」(以下「MGS」)。マカオのカジノに関連する企業等で構成される最大級の協会の一つであるマカオ娯楽設備協会(MGEMA)が主催したもので、国際見本市連盟(UFI)から「UFI認定展示会」認証も獲得した大型国際ゲーミング(カジノ)見本市。第5回となる今回は出展企業・団体は162、来場者数は出展社数は1万5000に人と過去最多となった。

 「日本IR(統合型リゾート)ブース」を設置したピクセルカンパニーズ株式会社は、日本のIR業界と世界のカジノ市場をつなぐ役割を担い、日本のIR業界をサポートした。今回はMGEMAより正式認証を受け、MGS日本総代理事務局になっている。会期中は日本IRブースの出展を通じ、日本国内のIR事業を招致推進する自治体や事業者(企業)の取り組みを世界最大規模のカジノ市場「マカオ」から世界へ発信する場とし、今後IR関連事業を誘致、実現していく自治体と国内外のIR関連事業者とのコンソーシアム組成にむけたマッチング機会を提供するなど、日本IR関連の最新動向を世界へ向けて広くアピールした。

 またブースにおいて、日本のIRの現状をマカオ市場へ紹介、IR誘致を目指す長崎県、北海道、和歌山県からの誘致推進活動紹介及び観光PR等の資料提供による展示されるなど、日本国内でIR関連事業へ参入している企業の事業が紹介された。

スペシャルゲストの酒井法子さん

 会期中は、ブース内ステージにてMGEMA会長のジェイ・チュン(Jay Chun)氏、株式会社博報堂IR/MICE推進室担当部長の栗田朗氏、IR業界の専門家であるIRに特化した政治・経済メディア「カジノIRジャパン」を運営するキャピタル&イノベーション株式会社代表の小池隆由氏、ピクセルカンパニーズ社長の吉田弘明氏らによる「世界カジノ情勢や日本版IRの最新動向」等に関するトークセッションを開催。また、スペシャルゲストとして中国語圏でも高い知名度と人気を誇る歌手・女優の酒井法子さん、タレント・歌手のソンミさんも来場した。今回2回目のマカオ訪問という酒井さんは、「美しくワクワクする、パワースポットのような場所。今後もプライベートで訪れたい」と街の印象について語った。また候補地域の食文化の魅力について紹介した。また同日夜に開催された同イベントの5周年を祝うディナーレセプションではステージ出演をし、中国語を交えた「夢冒険」、テレサ・テンの「時の流れに身を身を任せ」「蒼いうさぎ」の3曲を披露した。

(このシリーズは月1回掲載します)


【楢橋里彩】
フリーアナウンサー。NHK宇都宮放送局キャスター・ディレクターを経てフリーに。ラジオDJとして活動後07年に中国に渡りアナウンサーとして大連電視台に勤務。現在はイベントなどのMC、企業トレーナー、執筆活動と幅広く活躍中。
ブログ http://nararisa.blog.jp/

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