台北グルメ旅~後編~

台北グルメ旅 ~後編~

 旧正月やイースター、清明節など、これからのシーズンは休暇を利用して近隣に旅行に出掛けるという人も多いだろう。現地での食事も旅の楽しみのひとつ。前回は新たな美食都市として注目を浴びる台湾の中心都市・台北からお薦めのレストランとホテルを紹介したが、今回は後編として地元台湾ならではの茶芸館やスイーツなどを紹介する。
(文と一部撮影・鈴木理絵/写真提供・各店/構成・編集部)
※価格表記の「元」はニュー台湾ドルです。内容は取材時のもので、予告なく変更されることがあります。


おしゃれでおいしい特産銘菓
Sunny Hills

大きなテーブルの置かれた民生公園店で試食を楽しもう

特産のパイナップルをジャム状にして餡にし、クッキー生地に包み固めに焼き上げた台湾の伝統的なお菓子「鳳梨酥」。味わいもパッケージもどこか懐かしい、台湾定番のお土産として、地元だけでなく広く知られた銘菓だ。

ナチュラル&おしゃれなボックス入り「鳳梨酥」(10個入り450元、16個入り670元)
パイナップルケーキは季節により果肉本来の味わいによる甘み酸味が異なり、各店舗でも使用材料で風味など若干の違いが

その伝統菓子が今、新たに話題を呼んでいる。話題の的は、おしゃれな姿とフレッシュなおいしさが評判という「Sunny Hills」のパイナップルケーキ。餡は契約農家による地元産100%のパイナップルを使用、ほとんど砂糖を用いず、果肉本来の自然で上品な甘さと酸味を醸す。生地には上質な地元産卵、日本産小麦粉を使用する。パイナップル畑が一面に広がる台湾南部の南投丘陵の地に、2009年に1号店がオープン。翌年には多くのお客の要望で台北に2号店を開店させた。

しっとりとした食感の「蜜豊糖蛋糕」は2種ある。オリジナルのタマゴ風味は300元、プラムフレーバーは350元だ

ナチュラルな木調のカフェ風店内では、来店のお客ひとりひとりに試食用のケーキとお茶を丁寧にサービスしている。テークアウトのみのメニューは通常は3種で、定番「鳳梨酥」とカステラ風の「蜜豊糖蛋糕」、パイナップルジュースの「鳳梨汁」。ジュースは茶やビール、ほかのフルーツとブレンドしたり、ショウガと一緒に温めて味わうのもお薦めだ。包装紙代わりの麻の手提げ袋も愛らしい。

台北市内には新光三越新義デパートや桃園空港内にもオープン、時間のないときはそちらを利用したい。旅に出るチャンスがない、香港に居ながら台湾銘菓を楽しみたいという人はセントラル支店などで手に入れよう。

広い公園に面した一角、庭にはグリーンがあふれて小さな池も。サニーヒルズの思いが伝わる心温まる外観だ。地元客も次々と立ち寄る

Information
Sunny Hills
民生公園店
所在地:No. 1, Alley 4, Lane 36, Sec. 5, Minsheng East Road, Songshan District, Taipei City
電話:+866-2-2760-0508
営業時間:10:00~20:00
新光三越新義店
電話:+866-2-2723-3858
営業時間:11:00~21:00(休日は~22:00)
桃園機場2樓第2店
営業時間:7:00~20:00


ラグジュアリーなティーサロン
Cha Cha Thé

まるでブティックのようなガラスばりのおしゃれなエントランス。伝統茶器や茶具がモダンな店内インテリアの中でセンスよく調和する

今の台北らしさを満喫するならばぜひ訪れたいのが、ネオチャイニーズシックをコンセプトに、中国の工芸美を表現した人気の服飾ブランド「SHIATZY CHEN」のデザイナー、Shaiatzy Chen氏が2008年にオープンさせた「Cha Cha Thé」だ。世界に誇れる長い茶文化を持つ台湾に、上品でシックなチャイニーズティーサロンが開店したというニュースは台湾内のみならず、海外の茶の愛好家の中でも瞬く間に話題となった。

「春雨」「描香」「若水」「欲言」と名付けた台湾四大銘茶

西洋のティーマナーや美食のエレメンツとモダンなチャイニーズティーのマナーを調和させた同サロンでは、ラグジュアリーな茶葉や茶菓子も提案。センスよいカラフルなパッケージとラッピングでギフトセットも販売している。実際に茶農家を訪れて選び抜いたという茶葉は45種類。店内の茶葉や茶缶は美しいインテリアのようにディスプレーされている。

伝統茶点をアレンジした「蜂蜜燕窩黄金糖」など多種用意。アフタヌーンティータイムもお薦め
「台湾四大紅茶」のギフト用パッケージ。赤やピンク色のカラフルな茶缶もあり、お土産に最適

お薦めしたいのは台湾四大銘茶といわれる「梨山烏龍」「阿里山烏龍」「文山包種」「東方美人 」。このほか、世界で最も需要ある紅茶においてはまだそれほど知られていない四大台湾紅茶の「台東紅烏龍」「魚池阿薩姆紅茶(台茶8號)」「日月潭紅玉(台茶18號)」「三峡蜜香紅茶」を用意するなど、茶文化の魅力と奥深さが堪能できる。

併設するレストランやカフェスペースでは、新しい食の楽しみとして、ティーペアリングを提供。茶の香りやフレーバーと西洋料理との相性をぜひ楽しんでほしい。

グレイッシュベージュを基調とした落ち着いた優雅なサロン。プアール茶葉から作った壁のブロックからティーフレーバーが香る

Information
Cha Cha Thé
Daan Concept Store
所在地:No.23, Lane 219, Sec.1, Fusing S Rd.,
Daan District., Taipei City
電話:+886-2-8773-1818
営業時間:11:00~22:00(レストラン12:00〜21:00)
台北市内に他1店あり(Yong Kang Concept Shop +886-2-2321-6199)


寒い季節も食べたいかき氷
Ice Monster

ひときわ目立つブルーの看板にマンゴー色のキャラクターがポップで楽しい

台湾スイーツとして、すぐに思い浮かぶ「マンゴーかき氷」。このブームをつくったのが「Ice Monster」だ。1997年創業で20年以上の歴史を持ち、2012年には現在の店名に変え再オープンした。

昨年には世界中のジェットセッターが愛読するという「Louis Vuitton 台北ツアーガイド」の中でも紹介され、毎日多くのお客が訪れる。

明るく清潔感ある内装、席数も多く街歩きの合間に一息つきたい

その人気の高さから台北2店のほか、中国本土、日本では東京、大阪、京都と3店を展開しているが、本場台湾で味わうとまた格別のおいしさがある。

看板メニューのかき氷は、細やかに削ることでリボンのような形状の、ふわふわと綿飴のような口溶けよい滑らかな食感を作る。器にあふれるほどたっぷりと盛られた氷には、大きいカットの新鮮な果肉&シロップ、お好みで練乳をかけていただこう。

「イチゴかき氷」(260元)もファンが多い。イチゴシャーベットと果肉、パンナコッタが入っている
まずはオーダーしたい人気メニューの「マンゴーかき氷」(250元)。濃厚なマンゴーシャーベットと果肉、マンゴーシロップがたっぷりだ

かき氷は計9種類のフレーバーを展開。タピオカミルクティー、桂花やウーロン茶フレーバーなど地元台湾らしさも満載に提供する。アイスクリームメニューもリピーターには隠れた人気だ。季節ごとのメニューも登場し、冬期限定メニューには、ゴマ団子入りしるこやピーナツしるこなど用意。この季節に往台するならぜひトライしたい。

いずれも新鮮で上質な材料を使用。超人気店となった現在においても、創業当時の真摯な店づくりはそのままに、常に驚きや新鮮さを発信していて目が離せない。夜遅くまで営業しており、夕食の後のデザートにもぴったり。テークアウトもできるので、ホテルでゆっくりと味わうのも良案だ。

創業者のFrank Lo氏。同店キャラクターの主なのだとか。「Simply Happiness」を伝えたいと語る

Information
Ice Monster
Zhongxiao Flagship Shop
所在地:No.297, Sec. 4, Zhongxiao E. Rd. Taipei City
電話:+886-2-8771-3263
営業時間:10:30〜23:30
(ほか、台北市内にBreeze Song Gao店あり。 +886-2-2722-9776)


古跡で堪能する伝統茶芸
紫藤盧

店内には長年丁寧に磨かれ扱われてきた家具を品よく配置

店名の通り、春になると藤棚の美しい「紫藤盧(Wistaria Tea House)」。近年のコーヒーブームにおされ、伝統のマナーで茶を愛でる空間や設えが少なくなる中、台北を代表する茶芸館として続いている。

建物は古跡として認定された、日本統治時代である1920年代のもの。その長い歴史の中で、現運営者のファミリーが中心となり、多くの知識人や芸術家たちが集まる文化サロン的役割を果たしてきた。後の1981年、現在の形である茶芸館としてスタート。その間、政府に没収されるなど幾多の危機を経て、現在では古跡でありながら茶芸、飲食サービスを提供し、展示会、講座などを行う文化交流の場となっている。

茶芸家によるデモンストレーションの作法を楽しむのも一興
香港では稀少な台湾銘茶を。1人あたり200元の湯代+茶葉代だ

店内に入ると、多くが日本式の当時の面影そのままに、芸術家や書家たちによる骨董や現代の作品が飾られ使用されている。そのこだわりは茶メニューにもおよび、要の水は台北の北部に位置する烏来地区の山水を使用。この甘くピュアな水質は、茶葉の味わいをいっそう滑らかでリッチな味わいへと仕上げ、完璧な茶の提供に欠かせない。

茶葉は台湾銘茶から独自にブレンドしたものまで幅広い。ウーロン茶も高山烏龍、凍頂烏龍など多くの種類を用意。さらに同店のために作られた特別な台湾製の茶器で味わう。「緑豆(Mung Bean Cakes)」など伝統茶菓子も多く用意。昼や晩には茶葉料理や薬膳も提供する。

ショップコーナーには同店で味わえる茶葉や茶器を販売。お土産によい

街の喧噪を離れて旧市街まで足を運び、ゆっくりと流れる時間の中で、貴重な茶文化にふれてみてはいかがだろう。

うっかりと通りすぎてしまいそうな素朴できゃしゃな店構え、「紫藤盧」と記された門が目印だ。続く庭には美しい鯉の泳ぐ池がある

Information
紫藤盧
所在地:No.1, Lane 16, Sec.3, Hsin Sheng S.Rd.,Taipei City
電話:+886-2-2363-7375/ 2363-9459
営業時間:茶芸10:00~22:00、ランチ11:30~14:00、ディナー 17:30~20:00

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