《117》保護センターの主は老犬

保護団体が抱える医療費問題

待合室の涼粉とBUBU(筆者撮影)

 先日、動物病院に行くと、待合室にブルブル震えているワンさんがいるではないか。エリザベスカラーを着けた片目の雌犬。その横にいる小さな犬もエリザベスカラーを着け、ある男性のひざに座っている。震えていた犬の名前は涼粉。黒い香港の薬草風味のゼリーの名前がつけられた彼女の目には縫合の跡が。そこで、ここでよく見かける保護センターの男性に話しかけた。涼粉は野良犬だったのを10年前に立ち上げた「香港動物領養/ Hong Kong Animal Adoption Center(HKAAC)」が保護し、以来このセンターの主のような存在になっている。「保護したときすでに相当な年で、推測すると20歳近いと思うんだ。いろいろ問題があってずっとセンターに住んでいるけど、仲間がいてご飯を食べられて歩くこともできる。この生活が少しでも長く続けばいいなと願っているんだ」と話すのはセンターで働くサムソンさん。

 涼粉の足は細り、目は炎症を起こし眼球を取る手術を行ったそう。犬は視力がもともと悪いし、鼻が利くから、片目でも両目でも、たとえ目が見えなくってもあまり気にしないでしょうと筆者が言うと、「耳もよく聞こえないけど、ガサガサというビニール袋の音にはすぐ反応するんだよ」とサムソンさんは笑う。さすが、食べ物の入った袋はおばあちゃん犬でも見逃さない。

 このセンターは屯門にあり現在100頭の犬猫が里親を探している。中には、体の状態や精神の病によって引き取り手を探せない犬たちもたくさんいるそうだ。心身ともにとてもつらい思いをして生き延びて保護された動物たち。ここを安楽の地として毎日仲間やボランティアの人たちの愛情を受けている。

 さて、涼粉と一緒にいたBUBUも相当なおトシ。両目が真っ白である。こちらもセンターで継続的な治療を受ける必要があり、今に至る。このHKAACでは癌などをはじめとする病気にかかった犬たちには西洋と東洋、両方の治療を受けさせている。2種類のタイプの漢方ミックスを煮て、ご飯に混ぜて食べさせているそう。費用が大変だろうに、何とか安くなる方法を考えて動物の健康のために必死になっている。

 かなりひどい状態の保護動物もおり、「医療費が大変でね…」と言うサムソンさん。募金や食料の寄付などをもとに運営されている非利益団体の抱える問題である。」「ここで亡くなっていく動物たちは灰になってここに帰ってきて仲間と一緒に永眠するんだ。だから、ここは彼らの家庭なんだ」という。それを聞いて思わず目がしらが熱くなった。

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