《43》パーキンソン病が疑われた不調

《43》パーキンソン病が疑われた不調

最近来院された方のお話です。患者さんを一目見た瞬間に私は「これは普通のケースではない」と感じました。症状は体の震え、不眠、食欲減退、倦怠感、吐き気、頭痛、運動能力の低下による歩行障害…年齢は60歳にも届いていませんが、ヨボヨボとしか歩けない状態でした。まず私の頭に浮かんだのは、うつ病などと診断され多くの種類の薬を摂取し続けたことによる薬の副作用です。しかし、問診をしてみると薬は摂取しておらず、ある公立病院ではパーキンソン病と診断され、別の公立病院ではパーキンソン病ではないが原因は不明と言われたそうです。

レントゲンを含むさまざまな検査をしていくうちに出た私の結論は、首の骨のズレが原因の自律神経失調症でした。ご家族に患者さんの体の状態と治療方法、治療のコンセプトを説明し、治療を開始しても良いという許可を得た後に治療を始めました。

神経の正常な働きを阻害する物を取り除く治療

皆さんはカイロプラクティックというと「バキバキ」と音がするものというイメージがあるかもしれませんが、私たちは音を鳴らすことが目的ではありません。神経の正常な働きを阻害する物を取り除くことが治療目的です。当然、今回のようなケースでは強い負荷を患者さんにかけるわけにはいきません。1回目の治療は、骨を振動で揺らしながら少しずつ動かすカイロプラクティック専用のマシーンで、首の一番上の骨(第1頸椎)とお尻の骨(仙骨)にトントントンと刺激を送るだけで、5分ぐらいで終わりました。

2回目の治療時には部屋に歩いてくるスピードが速くなっていました。患者さん自身も認識しているようで顔の表情が良くなっています。治療を受けたその夜から頭痛が無くなり、6時間以上途中で起きることなく眠れるようになったそうです。2回目の治療もマシーンを使い首と仙骨の問題がある所を軽く打つだけです。3回目の治療に来た時には震えがほぼ無くなっていました。ここまでくれば自宅でできるエクササイズなども加えて治療をしていきます。来院するたびに回復が見えるケースで、今は週に1回のペースで通院しています。

体のバランスを少し整えるだけで改善へ

今回幸運だったことの1つが、パーキンソン病の治療を始めていなかったことです。1つ目の病院の診断を受け入れて投薬治療を始めていたら逆効果だったかもしれません。もう1つは、次に行った病院で「原因不明」と診断されたことです。そのため何かほかの治療は無いかと探して私のクリニックに来院することになり、その結果、体のバランスを少し整えるだけで改善を見せ始めたのです。

皆さんの中にも原因不明の頭痛を薬でごまかしていませんか? 不眠症は起こしていませんか? 一度背骨の検査を受けることをお勧めします。

(この連載は2カ月に1回掲載)

ドクター青(あお)
D.C.(ドクターオブカイロプラクティック)パーマー・カイロプラクティック医科大学卒業。米国政府公認カイロプラクティックドクター、香港特区政府カイロプラクティックドクター免許取得。「Millennium Chiropractic Centre」勤務

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