ル・フレンチ・メイ パリの屋根をみる展覧会

ル・フレンチ・メイ

パリの屋根をみる展覧会

ウィリー・ロニ「バスティーユの恋人たち」

今年で25周年を迎えるアジア最大のフランス文化フェア「ル・フレンチ・メイ」の一環として、パリの屋根をテーマにした貴重な展覧会「The Roofs of Paris」が開催中だ。フランス語タイトルは「PARIS, TOITS EMOIS」。フランス語の発音トワ・エ・モワにかけたシャレで「パリ、君と僕の屋根の思い」のような意味になる。

数百年にわたって芸術家たちにインスピレーションをもたらしてきたパリ。その街を歩く人からは見えない位置にありながら、空からの風景では主役となる屋根たち。同展では、国立建築遺産博物館などパリの有名博物館から運ばれた100点以上の貴重な作品や資料を通して屋根を称えながら、パリが中世の暗い装飾の街から近現代の「花の都」へと変化する様子を伝えている。

会場の様子

歴史コーナーでは、ノートルダム大聖堂など13世紀の中世ゴシック建築に始まり、18世紀のルーブル美術館やコーン・エクスチェンジのようなバロック建築、そして19世紀後半にナポレオン3世の元でセーヌ県知事ジョルジュ・オスマンが行ったパリ改造により、直線の大通りブールバールや大広場を特徴とする近代都市パリが生まれるまでの流れを一覧できる。

見逃せないのはノートルダム大聖堂の木製模型。フランス革命で廃墟と化していたノートルダム大聖堂をパリの象徴として修復すべく、19世紀後半に建築家ヴィオレ・ル・デュクがナポレオン3世に提出したもの。芸術作品のように美しい模型は100年ぶりの公開となるそうで、フランス外に出ることが滅多にない貴重な文化遺産だ。

そしてパリと言えばアート。昔のポスターや絵ハガキ、芸術家たちの絵画、写真など、さまざまなアートの中の屋根を紹介。古典フランス映画の屋根にちなんだシーンのハイライト上映も。さらには屋根職人たちの技術を解説し、会場には実物のパリの屋根が設置され、樋、煙突カバー、タイルや板などを見ることができる。

イヴ・ブレイエ(Yves Brayer)の風景画

会場は九龍塘駅のショッピング・モールから歩いてすぐの香港城市大学(City University of Hong Kong)。7月23日(日)まで。

(文・綾部智美/写真提供と取材協力・香港城市大学、Le French May)

展覧会 The Roofs of Paris
会場:CitiU Exhibition Gallery
所在地:18/F., Lau Ming Wai Academic Building, City University of Hong Kong, Kowloon Tong
開館時間:10:00~19:00 月曜休館
入場無料

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