9月27日〜10月8日のニュースから抜粋

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9月27日〜10月8日のニュースから抜粋
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■貧富の差拡大、収入格差は44倍に

香港の貧富の差が拡大していることがわかった。9月26日付香港各紙によると、これはNGOのオックスファムが特区政府統計処の発表した統計をもとに2001〜16年の香港の貧富の実態を比較調査したもの。それによると、01年と16年では、全体の下位10%にあたる貧困世帯の平均月収は2250ドル→2560ドルとほぼ変わりがないのに対し、上位10%にあたる富裕世帯は同7万6250ドル→11万2400ドルとその差は歴然。2016年の時点では下位10%と上位10%の収入格差はほぼ44倍で、富裕世帯ひと月分の収入を得るのに、貧困世帯は4年近くかかる計算になる。ちなみに貧富の格差を表すジニ係数も0.539と、45年来で最高を記録した。

■中秋節のランタン、列車止まる事故

毎年中秋節はランタンや花火などの引火による火災が起きるが、今年も火災やのMTRの列車が止まる事件が発生した。9月26日付香港各紙によると、秀茂坪に住む高齢の夫婦(夫79歳、妻80歳)が9月24日晩に家の中で、2本のろうそくを燃料とするランタンに灯をともしたが、25日午前1時ごろに風で倒れたランタンが燃え上がったという。2人は自力で火を消そうとしてやけどやけがを負い、救急車で病院に運ばれ治療を受けている。一方、新界地区では条例で禁止されている「孔明燈」(天灯=熱気球のように油を燃やして空に飛ばすランタン)を飛ばす市民が多く見られた。24日22時ごろには西部線の兆康駅で列車が突然停電してドアが開かなくなり、エアコンも停止し、乗客が15分間車内に閉じ込められる事故があった。その後、列車の車体の上に使用済みの孔明燈が落ちていたことから、それが停電の原因とみられている。政府康楽及文化事務署では毎年、孔明燈を使わないよう呼び掛けているが、一向になくならないようだ。条例に違反した場合、罰金2000ドルおよび禁固14日となる可能性がある。

■香港の微信支付が本土で使用可に

騰訊(テンセント)傘下の微信支付(香港)(ウィーチャットペイHK)は9月26日、香港のユーザーが10月1日から中国本土でもウィーチャットペイHKを使った電子決済が可能になると発表した。27日付香港各紙によると、同社は財付通公司、中国銀連、銀連国際と提携して双方向の越境電子決済を実現。本土でウィーチャットペイHKを通じた決済が可能な第1陣業者は滴滴打車、美図外売、大衆点評、高鉄購票網12306などとなっており、衣食住や交通の多方面をカバーしている。本土で消費する際の決済は即時に香港ドルに換算される。香港のユーザーはまずウィーチャットをインストールまたは6.7.2以上にバージョンアップし、「銭包」でクレジットカードかキャッシュカードを紐付けすれば利用が可能となる。

■ブリティッシュエアが香港撤退

英国航空(ブリティッシュ・エアウェイズ)の香港ベースを撤退させることが決定。それに伴い香港内の85人の客室乗務員(CA)全員が解雇されることがわかった。9月27日付香港各紙によると、香港便は継続して就航されるが、同社事務所は10月いっぱいで閉鎖になるという。すでにCAに対する個別面接を開始、3日間以内に提示された解雇条件を承諾すれば、1カ月分の先払い給与と航空券の優待を提示しているが、急な解雇の知らせに戸惑いを隠せないCAは多い。同社CAで組織される組合の呉敏児・総幹事も「シンガポール撤退の時は半年前には通知されていたのに今回の3日間は短すぎるし、航空券優待の計算方法も曖昧で納得できない。あまりにも乱暴で無責任」と怒りを隠さない。同社は80年以上香港に拠点を置いてきた老舗だが、この2年間でもシンガポールとブラジルの拠点が立て続けに閉鎖するなどリストラが止まらない状態だ。

■陸上選手にわいせつのコーチ、容疑否認

さまざまな国際大会で活躍し「ハードルの女王」と呼ばれる陸上選手が2017年11月に過去の性的被害を告白した事件で、その加害者として今年1月に逮捕された指導者の男性(76歳)の裁判が9月26日に開かれた。9月28日付香港各紙によると、被告は被害選手が中学生のころに指導していた陸上コーチで、自宅でマッサージを施した際に、ジャージやパンティーを脱がして下半身を触ったなどの疑いがもたれている。また法廷では被告が選手の陰毛を1分間にわたり触り続けたなどのわいせつの手口が明らかになった。選手は被害にあった後も同コーチの誕生会や娘の結婚式に参加したり、進学した後も指導を仰ぎツーショット写真をSNSに載せるなどしていたことから、弁護側は売名行為だと主張。これを選手が否定し、双方が言い分を主張したまま同日の公判を終えた。この事件は、選手がの23歳の誕生日にあたる昨年11月30日に事件をSNSで告白。性的被害の深刻さや問題を社会に訴える行動の1つとして広がりをみせるハッシュタグ「#ME TOO」を書いた紙を持った写真を投稿し明るみに出た。有名アスリートの被害告白に林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が激励コメントをするなど、社会は騒然とした。

■セントラル占拠4周年に430人参加

2014年の「セントラル占拠行動」が発生してから4周年を迎えた9月28日、金鐘の特区政府本庁舎わきで記念集会が開催された。29日付香港各紙によると、集会は「六一七民間約章」が主催。参加者数は主催者発表で昨年より1000人少ない3000人、警察の推計ではわずか430人だった。参加団体としては11月の立法会補欠選挙に出馬する劉小麗氏の「小麗民主教室」や人民力量、社会民主連線(社民連)、新民主同盟が目立ったほか、「香港独立」を掲げる「学生独立連盟」のメンバーが集会終盤にステージ上で「香港独立」を支持する発言を行い、香港民族党の取り締まりに反対した。当の「セントラル占拠行動」発起人の3人のうち出席したのは陳健民氏(香港中文大学副教授)だけで、近年の本土・独立の思潮に対して「80年代の最も発言権のある時にも自決は勝ち取れず、現在、香港独立を提唱するのは幻想でしかない」と批判した。

■港珠澳大橋は10月下旬に開通見込み

香港、珠海市、マカオを結ぶ「港珠澳大橋」は10月下旬に開通する見込みだ。9月28日付香港各紙によると、特区政府運輸及房屋局は27日、3地政府が28日から3日間にわたり初の合同試運転を行うことを明らかにした。直行バスや車両の通関、緊急時の消防・救護車両の通行、各地の税関・出入境管理所の運営をテストし、3地の通関・出入境条件が整った後に中央政府に開通日時の確定を申請することとなる。開通式は習近平・国家主席が主宰する可能性もある。港珠澳大橋の建設プロジェクトは難易度が極めて高く、国家の精鋭部隊を集結し1多くの技術上の困難を克服したため、中央指導者が開通式に出席するのは当然とみられている。開通式は珠海で行われ、主宰の中央指導者の車列は珠海側から主橋、人工島を経て香港に至るとみられる。

■国慶節連休、本土客は昨年比23%増

中国本土では10月1〜7日の大型連休となった国慶節連休が終了、本土からの来港者は前年同期に比べ大幅に増加したことがわかった。10月8日付香港各紙によると、1〜6日の本土客は昨年同期の111万8640人を23.5%も大きく上回り138万1551人に達したという。ちなみに9月23日に開通したばかりの広州—香港間高速鉄道だが、9月28日〜10月7日での利用客数が延べ65万人に達したとMTRが発表。開通当初はその客足の鈍さに関係者も気を揉んでいたが、西九龍駅の累計乗降客数が延べ88万人、切符の累計発券枚数も100万枚に迫るなど、ようやく浸透してきたようだ。旅行業界選出の姚思栄・立法会議員は「高速鉄道の影響もあり大型連休の人出は予想以上だった。観光客1人当たりの消費額も10%ほど伸びており、理想的な数字」と満足げに語った。

■上海ガニ、香港で販売ライセンス導入

上海ガニのシーズンが到来したものの、中国の検疫当局による承認が遅れており、香港に第一陣が輸入されるのは10月半ばになる見込みという。10月8日付『香港経済日報』などによると、2016年に江蘇省産のカニの一部検体から発がん性物質のダイオキシンが見つかったことから昨年から中国当局が輸出審査基準を引き締めたといわれている。香港への輸出は中国当局が承認した指定の養殖場に限られるが、香港の輸入販売業者の話では今年はまだその養殖場のリストも発表されていない。本来ならばかきいれ時の中秋節、国慶節も過ぎ、売り上げにも影響が出そうだ。食物の安全を考慮し、香港では今年から食物環境衛生署が新たなライセンス制度「魚介推算動物(上海ガニ)販売許可証」を導入し、7月から申請受け付けを開始。9月28日までに198件の申請があり、そのうち54件が承認されている。

■大坂なおみ、試合は棄権もイベント参加

女子テニスの国際大会「プルデンシャル・ホンコン・テニス・オープン」は7日にシングルス予選決勝が行われた。当初、同大会の第2シードから出場を予定していた大坂なおみは、背中の負傷のため棄権したものの、関連イベントに出席するため来港した。主催者は10月7日付プレスリリースで大坂のコメントを発表。「今年のプルデンシャル・テニス・オープンに出場できないことに本当にがっかりしました。昨年は香港でのプレーが本当に楽しかったし、もう一度ビクトリアパークのコートに立つことを楽しみにしていました。残念ながら、私はこの一週間ずっと背中に痛みを感じています。このケガを悪化させないために休む必要があるとドクターからアドバイスを受けました。しかし、私は香港に来て、ファンと交流し、私が好きな都市を訪れることに本当に興奮しています。そして2019年にはこの大会に戻って来てプレーしたいです」と語ったという。(写真:The Fox Creation)

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