9月11〜26日のニュースから抜粋

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91126日のニュースから抜粋
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■バス座席の仕込み針が週に4回

 今年6月から頻繁に発見されているバス座席に仕込まれた針だが、9月に入り立て続けに発見され、乗客に不安が広がっている。9月10日付香港各紙によると、仕込み針が新たに発見されたのは5〜9日の5日間だけで4件。九龍バスでは5日の259Dと9日の15Aで、城市バスは8日にE21とNA21の各路線で見つかっている。4件のうち、けが人が出たのは15Aのバスで、9日午前7時すぎに九龍湾での勤務を終えた警備員の男性(63)が零炭天地停留所からバスに乗り優先席に座ったところ、臀部にちくりと痛みを感じ、針を発見したという。男性はすぐさま運転手に報告し、すぐ病院で手当てを受けたが、流血なども確認されず大事には至らなかったようだ。

■家賃滞納でガンダムの模型差し押さえ

 極狭アパートの大家が家賃を滞納した住人の部屋から市価50万ドル相当のガンダムの模型を持ち出し、窃盗容疑で逮捕された。9月10日付香港各紙によると、通報したのは元朗の平屋建ての1部屋を間借りしている45歳の男性。男性はそこに8年住んでいたが、3カ月ほど前に大家から家賃の値上げをするとの通達があり、これに同意しなかったところ、大家が水道や電気を止め、1週間以内に男性が出て行くよう要求したという。男性は応じずに住み続け、その間(3カ月間)家賃を払わなかったため、大家は男性の所持品を差し押さえるという行動に出たそうだ。9月8日に男性が帰宅すると部屋のカギが壊され、室内に置いてあった大量のガンダムの模型が盗まれていたので通報。警察は大家の女性(60歳)を窃盗容疑で逮捕した。男性の話では模型は25袋あり、そのうち部屋に残されていたのは4袋だけ。20年にわたって集めた品も含まれており、被害額は市価50万ドルに相当すると主張している。

■模倣銃所持で独立派学生に保護観察

 東区裁判法院(地裁)は9月12日、立法会議事堂周辺でのデモ活動に参加した際に模倣銃を所持していて逮捕された「香港独立」組織メンバーの学生に対し保護観察処分を下した。13日付香港各紙によると、被告は独立派組織「学生動源」元メンバーの劉康氏。昨年12月に立法会での議事妨害を抑制するための議事規則改正に反対するデモ隊が議事堂周辺で抗議活動を行っている際、エアガンとプラスチック弾を所持していたため警官に逮捕され、今年8月22日に模倣火器所有の罪で有罪判決が下された。裁判官は量刑を下すにあたって事件は深刻と指摘しながらも、16歳で前科がないこと、すでに3週間留置され深く反省していることを考慮して18カ月の保護観察処分を下した。劉氏が逮捕時に所持していたバッグには「本土派」の教祖といわれる元立法会議員の黄毓民氏の著書や独立派の宣伝シールなどが入っていた。裁判では香港衆志の黄之鋒・秘書長や北区水貨客関注組の梁金成スポークスマンも傍聴に訪れていた。

■バス運転手に居眠り防止システム導入

 重大な交通事故の原因にもなっているバス運転手の居眠り運転だが、防止システムが試験的に導入されていることがわかった。9月13日付香港各紙によると、これはバスのサービス見直しのため設置された香港専営巴士服務独立委員会の公聴会で、九龍バスの李澤昌・董事総経理が明らかにしたもの。その防止システムとは、小型カメラで運転手の瞳孔をスキャンし、一定の時間以上に目を細めたり閉じたりする動作が感知されるとアラーム音が鳴り、座席が振動するという仕組み。オーストラリア製のシステムで、すでに6月から4車両だけに試験的に導入しているという。また同時に、同様のシステムの独自開発を目指し、一年前から北アイルランドの大学と共同研究を行っていることも明かされた。試験導入を経て全面導入の可否が決定される予定だが、労組は「運転手にとって新たなストレスを生むだけ」と導入に批判的だ。

■出馬予定の劉小麗氏、自決主張を削除

 11月の立法会補欠選挙への立候補を表明した自決派の劉小麗氏は、ウェブサイトから「自決」の文字が含まれている個所を削除したことが分かった。9月14日付香港各紙によると、劉氏が運営する「小麗民主教室」のサイトには「政治上公民自強自決」と題する政権公約(マニフェスト)が掲載されており、「香港人は政治自決の権利、自らの政治的地位を決定する権利がある」などと書かれていた。だが12日の時点でこれがすべて削除されており、出馬資格を得るための配慮とみられている。また劉氏は13日、同じく出馬する可能性がある香港民主民生協進会(民協)の馮検基・元主席と会談。劉氏は馮氏が出馬を断念するよう促し自身への支持を求めるつもりだったが、馮氏はあらためて民主派の予備選挙を行わないことや李卓人氏を代替候補とすることに反対するなど、交渉は決裂したもようだ。仮に劉氏が出馬資格を得られず李氏が出馬する場合は馮氏も出馬する可能性が高い。民主派は重鎮2人の対決で票が割れ、親政府派候補となる陳凱欣氏が漁夫の利を得るともみられている。

■タクシー値上げ、初乗り30ドルに

 タクシー関連の約20団体は9月13日、特区政府運輸署と協議し、市街地タクシー(赤いボディー)の運賃値上げ申請を提出した。14日付香港各紙によると、前回タクシー運賃が値上げされたのは2017年4月。今回同団体が提示した値上げ案は初乗りが現在の24ドルから25%(6ドル)引き上げて30ドルへ。その後ワンメーターごとの料金を現行の1.7ドルから1.9ドルに引き上げ、9キロメートル以降はワンメーター現行1.2ドルから1.4ドルに引き上げる。乗車1回の走行距離の中位数が7.5キロであることから計算すると平均16%の値上げとなる。業界団体は、保険料の上昇や新車価格の高騰など近年タクシーの運営コストは大幅に増加していると指摘する。政府運輸署の政策ではタクシー運賃をバスなどの公共交通機関の運賃の5〜7倍とされているのに、現在は2.9倍にとどまっていて、タクシー運転手の収入が低いため成り手がいないと話し、早急な承認を求めている。

■台風22号、最高警報発令10時間

 台風22号(マンクット)が香港に最接近し、台風警報の最高レベルであるシグナル10が発令された9月16日、香港全域でさまざまな被害が出た。天文台の記録によれば、16日午前1時40分のシグナル8、同9時40分に発令されたシグナル10は約10時間にわたって続いた。17日発表の政府広報によれば、公立病院の救急処置室に搬送されたけが人は17日5時までに391人(男性219人、女性172人)。事故処理中の警官4人も負傷し、病院に運ばれた。臨時避難シェルターに避難した人は17日5時までに1539人、17日時点でシェルター46カ所が開放されている。17日5時20分までに政府当局が確認した樹木の倒壊は262件、浸水は46件、土砂崩れは1件。香港機場管理局(HKAA)の資料によると、16日は計889便が欠航した。

■バランスボール殺人事件、終身刑下る

 2015年5月に起きた、香港中文大学の副教授による妻子殺害事件の裁判が結審、許金山(53)被告に終身刑の判決が言い渡された。9月20日付香港各紙によると罪名は計画殺人。裁判長は次女の死は意図していなかったことは認めつつ、女性と不倫関係にあり、共有財産が多くある妻の存在が邪魔になり犯行に及んだとして、重い判決となったようだ。判決を聞いた被告は眉間に皺を寄せ、父親の無実を信じていた娘らが号泣する姿を見ていたという。被告は当初、家の鼠を駆除するためにバランスボールに一酸化炭素を詰め家に持ち込んだと話していたが、家政婦の証言で、家で鼠を見たことがなかったことや、夫婦仲が冷え切っていたこと、次女に自殺願望は一切なかったことが明らかになり、加えて、すでに医師として高名だった被告が動物実験に関与していたという不自然さなどが判決の決め手となったようだ。

■住宅価格は年内2〜3%下落と予測

 不動産代理の美聯物業(ミッドランド・リアルティー)は9月20日、住宅価格が第4四半期に2〜3%下落するとの見通しを示した。21日付香港各紙によると、これは同社の布少明・住宅部行政総裁と劉嘉輝・首席アナリストが記者会見で明らかにしたもの。同社による住宅価格指数は今年1〜7月に12.2%上昇し、同期の伸び率としては過去6年で最大となった。だが7月から取引状況は沈静化して住宅価格上昇の原動力は失われ、最新の住宅価格指数は過去7週間で最低となった。米中貿易摩擦の悪化と株式市場の低迷というマイナス要因がすでにプラス要因を相殺しており、第4四半期は住宅価格に引き下げ圧力がかかることは確実という。このため今年通年の伸び率は約10%にとどまると予測している。

■高速鉄道の開通初日、トラブル続出

 広州—香港間高速鉄道が9月23日に開通した。同日は発券システムの故障や停電などのトラブルに見舞われるなど混乱がみられた。9月24日付香港各紙によると、乗車券予約開始から開通初日の17時30分までに販売された乗車券は30万枚に達した。開通初日だけで7万1000枚が売れたという。西九龍駅は5時から開放され、一番列車は7時に出発したが、11時2分には深圳北駅発で西九龍駅へ向かっていた列車が香港域内で停電のため10分間停止し、車内の照明も消え真っ暗になった。停電が起きた区間は列車の同時運行の許容量を超える本数が走ったため電気システムに負荷がかかったことが原因とみられ、ダイヤの見直しが迫られるもようだ。また、中国本土のウェブ「12306」で乗車券を予約した人たちは西九龍駅の自動発券機で発券ができず、5つの有人カウンターによる手作業で時間がかかり、ピーク時には旅客が長蛇の列をつくった。

■月餅泥棒あらわる、40秒で1ダース

 中秋節が迫る中、12箱もの月餅が白昼堂々盗まれる事件が起きた。9月21日付香港各紙によると、被害にあったのは元朗の恒香餅家。時刻は20日午後4時ごろで、防犯カメラの映像を確認したところ、店頭で店員が購入客の対応をしているわずか40秒間のうちに、段ボール箱に入った1ダースの月餅が持ち去られていたという。カメラに残った犯人像は、白いシャツにチェック柄の短パンをはいた50〜55歳くらいの背の低い華人の男。盗まれた月餅は1箱215ドルで、総額2600ドル近い損害となった。「一度にこれほどの量を盗まれたのは初めて」と店長は肩を落とすが、同店舗は以前から月餅の盗難が多く、業を煮やした店主が防犯カメラの犯人の画像を警告文とともに店内に何枚も張り出していたが効果がなかったようだ。

iPhone転売市場崩壊、損金300ドルも

 香港でも9月21日に販売が開始した新型アイフォーン、XSとXS Maxだが、転売市場は定価割れ続出となった。22~23日付香港各紙によると、旺角の先達広場では買い取り価格が定価を上回ったのは各々の512GB搭載の機種のみ。しかし、XS Maxは500〜1000ドルの上乗せで買い取られたものの、XSは1〜100ドルと、かろうじてプラスに転じただけ。それ以外の機種は総じて値崩れしており、一番安く買い取られたのはXSの64GBで、定価8599ドルのところを299ドル引きで引き取られた。安値の原因として、先の「X」から大きく変わっていないこと、初期の供給量が十分だったことなどを挙げる声もあるが、先達広場にある店の店主は「Maxの512GBは反応がよかったがそれも中秋節までだろう。市場が飽和して投機対象としてのアイフォーンは終わったのではないか」と分析している。

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