3月9~29日のニュースから抜粋

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39~29日のニュースから抜粋
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■日本の鎮痛剤が人気、香港では未登録

 香港では政府衛生署に登録されていない薬物の販売は違法となるが、近年は条例に違反して有罪になった例が年に数十件に上るという。3月7日付『香港経済日報』によると、未登録薬物の販売による有罪件数は2015年に69件、翌16年は37件、17年は35件と減少傾向にあるものの、過去3年で計141件に上った。このうち、SNSやインターネットを使って販売されたケースは21件だ。最近では、エスエス製薬の鎮痛剤「イブ」シリーズが香港人に人気を呼んでおり、日本旅行のお土産として買い求める観光客も多いというが、衛生署は香港では未登録の薬剤製品であると指摘。また配合成分のイブプロフェンは香港では登録薬剤師監督の下、登録薬局でなければ販売できない薬物だという。

■『壱週刊』、28周年を目前に休刊

 壱伝媒集団(ネクストメディア)が発行する週刊誌『壱週刊』が本誌を休刊し、デジタル版に全面移行することが3月8日、明らかになった。9日付香港各紙によると、同社の黄麗裳社長が8日に、14日発売号を最後に休刊すると発表。この休刊による大規模なリストラはなく、人員削減は本誌に関連する部門だけだという。『壱週刊』は1990年3月15日創刊。あえて創刊28周年を前に休刊したのは新たな道を歩みたいとの希望からで、幹部による休刊に関する話し合いは約1カ月にわたったようだ。創刊当時は販売価格12ドルで発行部数は3万2000部、1995年には発行部数が16万部に達したが、現在は価格が20ドル、発行部数は約2万部に落ち込んでいた。壱伝媒集団は昨年7月に『壱週刊』とすでに休刊となっている『忽然1周』『FACE』『ME!』『Next+One』の香港と台湾の業務権益を香港の実業家、黄浩氏に売却すると発表したものの、今年2月に契約が白紙となり、旧正月後には『壱週刊』のスタッフの半数が削減されていた。

■高齢者世帯30万戸、10年で67%増

 香港の高齢者人口が116万人に上り、高齢者のみの世帯が過去10年で67%も急増したことがわかった。3月10日付香港各紙によると、これは政府統計処が発表した2016年の人口動態に関するリポートであきらかになったもの。65歳以上の高齢者は16年時点で116万3000人と、06年の85万3000人と比較すると36%の急増。世帯数でも、独居あるいは夫婦で高齢者の世帯は06年で18万世帯だったのに対し、16年は30万世帯と67%も増加しているという。香港社区組織協会の呉衛東氏は「老人ホームを嫌う高齢者も多く、核家族化も止まらない状況。いずれ孤独死や老老介護の問題が顕在化するのは確実」と、昨年西湾河で起きた、80代男性が介護していた脳卒中の70代の妻を殺した事件を例に挙げ、警鐘を鳴らした。

■香港駐在員の生活コスト、4位に後退

 香港の物価は世界で4番目に高いことがわかった。3月16日付香港各紙によると、これは英国のシンクタンク、エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が世界133都市のおよそ150種類の物品とサービスの価格を、米ニューヨークを基準(100)として順位付けしたもの。今回の調査で香港は111ポイントで昨年の2位から後退し4位に。5年連続1位のシンガポール(116ポイント)はダントツだが、同率2位のパリとチューリッヒ(112ポイント)とは香港と僅差で、香港に次ぐ5位は107ポイントのオスロとなっている。ほかアジアではソウルが6位に、東京と大阪は同率で11位に。基準のニューヨークはそれに次ぐ13位にランクインしている。ちなみに最下位はシリアの首都ダマスカスで、香港ではおよそ32ドルの1キロのパンが、ダマスカスでは5ドル以下で買える計算だ。

■15歳のモデル殺害、犯人に終身刑

 モデルをしていた15歳の少女を殺害した男の裁判が3月16日に開かれ、無期懲役の判決が言い渡された。3月17日付香港各紙によると、被告(35歳)は既婚者で、2014年12月に当時15歳だった少女を500ドルで雇って被写体として撮影しようとしたが、衣装への着替えを少女が拒んだことから暴力をふるったという。ケチャップのびんで殴り、ナイロンのひもで首や手足をしばりつけるなど虐待の末に窒息させて殺害。死亡する前に強姦したのみならず、2度も死姦したあげく遺体をゴミ捨て場に遺棄するという残忍な犯行だった。先の陪審員による裁判で被告を有罪が確定しており、同日の量刑が決まる裁判で無期懲役が言い渡された。裁判官は今回の事件の被害者と加害者がSNSで知り合ったことに触れ、SNS運営側がサイバー犯罪の防止や通報、青少年保護に対する十分な対策を講じていないと批判。現行の法令でもSNSを監督管理できないと指摘し注意をうながした。

■生活の質ランク、不衛生で世界71位

 香港の生活の質が世界的には71位であることがわかった。3月21日付香港各紙によると、これはコンサルティング会社の米マーサー社が、世界の231都市を対象に社会環境や医療制度、経済状況、教育程度、交通の便など、快適な生活を送ることができる都市を選出し格付けしたもの。香港は世界71位と前回調査と変化はないものの、アジアでのライバルと呼ばれる25位のシンガポールに大きく水をあけられた。また今回からゴミの処理や大気汚染など公衆衛生に関する評価が新設された。この衛生面での香港の順位は231都市中で134位と、シンガポールの57位に及ばないのはもちろん、上位半数内にも届かず、140位の深圳市ともあまり差がない状況となった。なお、生活の質全体でのランキングの1位はオーストリアのウィーンで、2位はチューリッヒ(スイス)、3位は同率でオークランド(ニュージーランド)とミュンヘン(ドイツ)が並んでいる。

■13歳少女がブラにコカイン隠し密輸

 マカオ司法警察局は3月19日、コカイン密輸容疑で13歳の少女を含む香港籍の青少年3人を逮捕した。21日付香港各紙によると、当局は約1週間前に犯罪組織が香港の青少年を利用してマカオにコカインを密輸させるとの情報をキャッチし、監視を強化。まず19日午後に漁翁街でバイヤーにコカインを受け渡そうとたくらんでいた青年(18歳)の身柄を確保し、所持していたコカイン7袋と宿泊していたホテルの部屋から41袋を押収した。青年は2カ月ほど前からマカオで密売を行っていたと供述しており、1袋の販売価格は600〜800ドルで、売れると1袋につき100ドルの報酬が手に入ったのだという。続いて同日夜には、香港―マカオフェリーターミナルに到着したばかりの学生2人の身柄を確保。13歳の少女はブラジャーの中に43.2グラムのコカインを隠し持っていた。運び屋をするのはこれが初めてで、1回3000ドルの報酬で請け負ったと話している。同行していた男子学生(19歳)は少女の監視役で、密輸が成功したら500ドルの報酬が得られることになっていたという。この一連の摘発で押収されたコカインは59.41グラム、末端価格は19万ドルに相当する。

■香港市民の7人に1人は「百万長者」

 香港市民の7人に1人は「百万長者」であることがわかった。3月23日付香港各紙によると、これはシティバンクが21〜79歳の4139人を対象に電話で資産についてのアンケート調査を行ったもの。調査によると、2017年における不動産などの固定資産を除いた流動資産が100万ドルを超える「百万長者」が前年比14.8%増の100万8000人と100万人を突破、香港市民の7人に1人が「百万長者」となる計算だ。その一方で「千万長者」も前年比で15%増の約6万8000人と、ほぼ同様の伸び率となった。同行の林智剛・零售銀行業務主管は「長者」が増加した要因を「株式市場の好調さにある」と分析、今年の市況については「年内には3万4000ポイントまで上昇する可能性もあるが、米国の利上げや保護主義政策など不確定な要素の影響も大きいだろう」と予測した。

■保釣メンバー、国旗侮辱罪で禁固刑

 東区裁判法院(地裁)は3月27日、民主派の社会運動家である古思堯氏に対し国旗・区旗侮辱罪で禁固2カ月の判決を下した。28日付香港各紙によると、古氏は昨年7月15日と10月1日に行われたデモ行進で、穴を開け侮辱的な文字を書き込んだ国旗を逆さまにして掲げたため「国旗及国徽条例」第7条に違反、さらに今年1月1日の民主派の元旦デモでも侮辱的な文字を書き込んだ香港特区旗を掲げたため「区旗及区徽条例」第7条に違反したとして、国旗侮辱罪2件、区旗侮辱罪1件で起訴された。いずれも事件でも古氏は警官の制止を聞き入れなかったほか、古氏は3件とも否認。裁判官は6件の前科も考慮し即時収監が唯一の選択と判断した。古氏は2012年6月、13年1月、15年7月のデモで国旗・区旗を燃やすなどしたため禁固刑を受けている。古氏は尖閣諸島における中国の領有権を主張する「香港保釣行動委員会」のメンバーで、最近も慰安婦像設置などに携わっている。古氏は裁判所前で記者らの取材を受け、国歌法の施行時にも行動を起こす意向を示した。

香取慎吾、中環にストリート・アート作品


香港政府観光局(HKTB)は327日、アーティストの香取慎吾さんが中環(セントラル)に初のストリート・アート作品を完成させたことを発表、お披露目のセレモニーを開催した。3月は「香港アートマンス」として、香港ではアート・イベントが多く開催されている。中環のオールド・タウン・セントラル(OTC)エリアは街の壁に描かれた様々なストリート・アートが撮影スポットとして世界の旅行者やインスタグラマーに人気を集めている。今回、新たに加わった香取さんの作品は、ミッドレベルエスカレーターの側面、Shalley Street(些利街)に描かれた。香取さんが香港をイメージして、モチーフに選んだ龍は風水上パワーがある、運気があがることとして知られている。作品制作は32427日、深夜から早朝にかけて行われた。香取さんのパブリックアート作品としては海外初となる。(写真:HKTB)

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