2月23日~3月8日のニュースから抜粋

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2月23日~3月8日のニュースから抜粋
(月~金曜に毎日配信)


■莎莎が台湾撤退、6年赤字続く

 化粧品小売りの莎莎が台湾事業から撤退することがわかった。2月22日付香港各紙によると、台湾にある計21店舗は3月末までに閉鎖、現地職員計260人は解雇となるが、台湾の労務法制に則った対応がなされるという。1997年の台湾進出から21年目を迎えた同社だが、今年1月までの台湾での累計の赤字額は2億ドルにもおよび、6年連続で赤字経営となっていた。台湾内の消費の伸び悩みに加えて中国本土からの観光客の激減が撤退の原因とみられているが、同社グループ全体の総売り上げの中で台湾事業が占める割合はわずか2.5%と、経営に与える影響は軽微なようだ。ただ、台湾に進出した香港の小売り企業の多くが本土客減のため伸び悩んでいる。ボッシーニは上半期で600万ドルの赤字を計上し2店舗を閉鎖、ジョルダーノは昨年1〜9月の売り上げが前年同期比で1.7%減、総売り上げの17%を台湾市場に依存しているバウハウスも上半期の売り上げが同17.7%減と苦戦を強いられている。

■郷議局主席「先住民は攻撃受けている」

 新界郷議局の劉業強・主席は2月22日、新界先住民が持つ戸建て住宅建設の権利をめぐる訴訟などの動きを批判した。23日付香港各紙によると、郷議局は22日に新春パーティーを開催し、林鄭月娥・行政長官や他の高官、立法会議員らも出席した。劉主席はスピーチで新春のあいさつに続いて「新界先住民はよこしまな考えを持つ者に絶えず挑発と攻撃を受けている」と述べ、中でも先住民の権利を保障する基本法40条に挑戦する訴訟が起き、先住民にとっては2015年の戸建て住宅建設をめぐる裁判に続く衝撃と指摘。こうした動きが先住民と他の住民との亀裂を拡大させ「長期的には香港の発展と中国の香港統治のイメージに影響する」と述べた。劉主席は「よこしまな考えを持つ者」とは誰を指すのか聞かれ、「容易に想像がつく」とだけ答えた。15年と今回の訴訟はともに度々政府に対する訴訟を起こし「長洲訴訟王」の異名を取る郭卓堅氏が申請したもの。新界住民の戸建て住宅建設の権利取り消しを要求しており、12月に開廷する予定だ。

■エンタ・エキスポにレオン・ライ

 第14回エンターテインメント・エキスポ(香港影視娯楽博覧)が3月19日から4月15日に開催される。そのアンバサダーに歌手で俳優の黎明(レオン・ライ)が昨年に続き就任した。主催者による2月23日付プレスリリースによると、同エキスポには香港国際映画祭、香港電影金像奨授賞式、香港亜洲流行音楽節など9つの大型イベントが含まれる。主要イベントの1つである映像・コンテンツの国際見本市「香港国際影視展(フィルマート」」はこれが22回目の開催だ。レオンはアンバサダーとして、30秒のプロモーション動画に出演。動画ではレオンが重そうな荷物を一生懸命に縄で引っ張る様子が映し出され、最後に引っ張っていたものが香港影視娯楽博覧の看板だということが分かるという演出。動画は旧正月を皮きりに、香港内の映画館50カ所で上映され、香港貿易発展局(HKTDC)のフェースブックにもアップロードされている。香港国際影視展の公式サイト(www.eexpohk.com)でも視聴できる。

■マークシックスで6677万ドル

 香港ジョッキークラブが運営する宝くじ「マークシックス」の新春大型くじで一等の6677万ドルをあてた人物らしき女性の写真がSNS上に出回り、注目を集めている。2月25日付香港各紙によると、旧正月の大型くじの賞金としては2006年の5699万ドルという記録を塗り替えた。ネットに投稿された写真は、ある女性が香港ジョッキークラブが発行した2018年2月23日付の額面6677万7930ドルの小切手を手に持って笑っている様子が写っている。人物の背景に騎手と馬の彫刻が写っており、ジョッキークラブ施設で撮影されたものとみられる。ネットユーザーからは「一躍お金持ちになってうらやましい」「どうして当選者は私じゃなかったの」など、当選をうらやむコメントが寄せられている。この女性は香港水上警察で皿洗いをしている女性だという情報が飛び交っており、身元を特定されるような写真を投稿することは犯罪を誘発しかねないと否定的なコメントも多い。

■老後の蓄え、理想は632万ドル?

 香港市民にとっての老後の蓄えの理想金額は平均632万ドルということがわかった。2月27日付香港各紙によると、これは投資家育成を目的とした公的組織の投資家教育中心(HKIEC)が、18〜49歳の1303人を70年代と80年代、90年代生まれの3世代に分けて、理想のリタイア条件について調査を行ったもの。老後の蓄えで十分といえる金額は平均で632万ドル、リタイアする理想の年齢は58歳という結果に。ただし、現実は厳しいようで、60歳以下でのリタイアが実際に可能だと考えている人数は全体の2割以下にとどまり、毎月決まった額を貯蓄していないとの回答は49%に上った。また蓄えの理想金額も中央値は世代によってかなりばらつきがあり、3世代とも200万ドル以下という回答が最も多く、そう答えた70、80年代生まれはともに32%、90年代生まれでは52%と過半数を占めた。

■青年人口、女性が男性より少ない

 特区政府統計処は2月13日、2016年の中期人口統計のうち青年に関するリポートを発表した。ここでいう青年とは15〜24歳の香港市民で、外国籍家政婦は含まれない。青年人口は77万6709人で、香港の総人口の11.1%を占めるが、2006年の88万175人に比べ過去10年で10万人以上も減少していることが分かった。青年のうち15〜19歳は43.9%、20〜24歳は56.1%。青年人口の男女比は、女性1000人に対する男性の割合は1044人で、男性のほうが多い。ちなみに香港の総人口では女性のほうが多い状態が続いている。青年の職業収入の中位数は月額1万750ドルで、香港の就業人口の職業収入の中位数1万5500ドルに比べ低い。また、青年の94%が親と同居していることが分かった。

■児童虐待、2017年は前年比6%増

 香港ではこのところ児童虐待事件が相次ぎ、社会問題の1つとして注視されているが、政府社会福祉署の最新統計によると、2017年に新たに報告された児童虐待は947件に上り、前年の892件に比べ6%増加した。また、過去4年内では最も多い件数となった。このうち最も多かったのが、身体への虐待行為で全体の39%を占めた。次の多かったのが性的虐待の33%、そして世話の怠慢が24%だった。虐待の加害者のうち、59%が被害者の父母、9%が被害者の家族や友人だったが、11%は被害者と無関係の人物だった。一方、同署に報告があった17年の性的暴力の件数は、前年比12%増の967件。発生地点はチムサーチョイ・油麻地・旺角地区が19%を占め、最も多かった。被害者の9割以上が女性であることも分かった。17年の夫婦あるいは同居の恋人による家庭内暴力は約3100件で、前年よりも6%減少した。

■マック難民、4年で6.7倍に

 貧富の格差が拡大している香港だが、増加を続けるホームレス人口の中で、いわゆる「マック難民(麦難民)」が激増していることがわかった。3月5日付香港各紙によると、これは2017年12月8日、香港社区組織協会が香港内の24時間営業のファストフード店78店に滞在していたマック難民を対象に行った、ホームレスの実態調査であきらかになったもの。2013年の時点で57人しかいなかったマック難民が、今回の調査では384人と6.7倍にも膨れ上がっているという。マック難民が最多だったのは、香港島、九龍東、九龍西、葵青荃の4区のうち九龍西で、225人と全体の6割近くを占めた。同協会は「公共住宅に入居したくても待機期間が長期で、かつ単身者では後回しにされる。単身者のホームレス用の居住施設もあるが6カ月だけで退去させられるため、生活の建て直しも不可能」と行政の不備を批判した。

■職場でのセクハラ、本土女性は辞職

 平等機会委員会は3月2日、サービス業従事者のセクシャルハラスメント被害や差別に関する調査結果を発表した。3月3日付香港各紙によると、この調査は2017年3月から6月上旬に主にサービス業に従事する女性603人を対象に実施。回答者は18〜38歳で、301人が香港生まれ、302人が中国本土出身だ。その結果、香港女性の14%、本土出身女性の9.6%が過去にセクハラを受けたことがあると回答した。そして、被害に遭った香港女性のうち45%が抗議などもせず何のアクションも起こしていないことが分かった。その理由は、「人間関係や状況を悪化させたくない」が65%を占め、次いで「抗議の手順が複雑」が58.9%、「抗議の仕方がわからない」が48.1%に上った。一部の回答者は言葉によるセクハラはセクハラではないと考えており、中でも加害者が顧客だった場合はセクハラ対応も仕事の一環と考えていることが明らかになった。また、被害に遭った本土出身女性の約3分の1は、辞職をすることを選ぶと答えた。

■4店目のそごう出店、九龍西か新界に

 昨年末に3店目の啓徳店が着工したばかりのそごうだが、早くも4店目の計画が発表された。3月6日付香港各紙によると、これはそごうを経営する利福国際が2017年の業績発表で明かしたもので、同社の劉鑾鴻・会長は「香港島と九龍東以外ということで場所は九龍西か新界を検討中。土地は新たに取得することもありうる」と述べた。建銀国際研究部の陳兆昌氏は「小売業界に復調の兆しが見えて、百貨店は観光客向けだけの商売ではないと言いたいのではないか。近年は中流層も新界に移り住む傾向にあり、勝算があってのことだと思う」と同社の動きを分析した。ちなみに同社の2017年の総売り上げは49億ドルと前年度比4.9%増だが、純利益に関しては33億ドルと同107.5%増で倍以上になり絶好調だ。

■馬鞍山中で野生の虎発見? 山猫か

 ハイキングに出かけた夫婦が山中で虎を見たと証言し、話題になっている。3月7日付香港各紙によると、虎を発見したというのはともに30代の李さん夫妻。6日早朝の馬鞍山郊野公園内の山中に茂みから出てきた虎に似た体長1メートルほどの動物を発見し、20秒ほどにらみ合う状態になったという。その後、動物は去ったが、夫妻は恐怖で身動きが取れない状態になり、警察に連絡し救助を求めた。通報を受けた警察では、消防団員とハンターで30人の部隊を結成し山狩りを決行。5時間ほど捜索したものの、虎や虎がいた形跡を確認できず下山した。警察では夫妻が大型の山猫を虎と勘違いしたのではないかとみており、写真で山猫の姿を確認した夫妻も見間違いの可能性を示唆した。ちなみに香港でもかつては野生の虎「華南虎」が存在しており、1915年には警官2人が噛み殺されるなどの事件もあったが、都市化に伴い20世紀半ばには絶滅したとされている。

■星光大道の再開が遅延、19年2月に

 チムサーチョイの観光スポットのひとつで、拡張工事のため現在閉鎖中の「星光大道(アベニュー・オブ・スターズ)」は今年第3四半期に再開予定だったが、再開が来年にずれこむもようだ。3月8日付香港各紙が伝えた政府康楽及文化事務署(LCSD)の話によると、工事範囲内の橋脚について当初は補修だけ行う計画だったものの、老朽化による安全面を考慮し、すべての橋脚の撤去および再建をすることになったたため工期が長引く。現在の橋脚は1980年代に造られたもので、橋の表面と橋脚ともに海水による浸食や経年劣化が進んでいるという。星光大道のデザインやリフォームに使われる材料は環境に配慮している。手すりはもみ殻と食塩、鉱物油を混合した環境に優しい素材で、一般的な木材に比べ海水や紫外線、昆虫によるダメージが低いものを採用。星光大道のリニューアルオープンは19年2月ごろの見込み。


PMQ
で「福島県の現状と復興のあゆみ」

 複合商業施設PMQで3月3日、「福島県の現状と復興のあゆみ」ラウンドテーブルが開催された。ラウンドテーブルでは福島県農林水産部技監佐藤清丸氏、(株)Kato Farmの加藤絵美氏、また香港で活躍する日本人料理研究家Kei San氏らが登壇。福島県食の安全・安心の取組や魅力を説明した。佐藤氏は「福島県内の被災後の再建はすでに90%を超え、福島県中心部の藤沼ダムは2017年に修復を完了。現地の農地に新たに水を供給している」と述べたうえで、福島県の観光客数は震災前の2010年に比べ13.3%増加したなど復興が着実に進んでいることを説明した。現在、福島県の食品輸入を制限している国は2011年の震災直後の54カ国・地域から27カ国・地域へと減少し、広範囲で輸入を制限しているのは中国本土、香港、マカオ、台湾の4地域のみ。
(写真:楢橋里彩)

理工大で「新春特別日本舞踊公演」開催

 「日本舞踊 若柳流香の会」は3月3日、舞踊公演「新春特別日本舞踊公演〜日本伝統の美〜」を香港理工大学・賽馬会総芸館で開催した。日本舞踊5大流派の一つである若柳流「若柳流香の会」による10回目の公演を記念し、若柳流四世家元・若柳壽延氏を日本から招聘、新名取のお披露目も兼ねたもの。今回は”衣裳、鬘師、顔師”を香港に招き本格的な日本の伝統舞台を再現。約1000人収容の会場はほぼ満席となり、観客の多くは地元市民だった。舞台を見た観客からは「踊り、衣裳、演出の何もかも素晴らしく、日本舞踊に対する考え方や見方が変わった」「言葉を発しなくても心情が伝わり情景が浮かぶ。こんな感覚は初めてだった」など、日本の伝統芸術への理解が深まったとの声も多かった。同会師範の若柳智香氏は「日本の文化を好む人が多い香港だからこそ実現できた。多くの方に古典の美を伝えられたことはこの公演の大きな意義だった」と喜びを語った。
(写真:楢橋里彩)

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