2月7~22日のニュースから抜粋

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27~22日のニュースから抜粋
(月~金曜に毎日配信)

■占拠行動の学生リーダー、判決覆る

 終審法院(最高裁判所)は2月6日、高等法院(高等裁判所)上訴庭が昨年8月に下した「セントラル占拠行動」学生リーダー3人の量刑見直しに対する上訴で裁定を下した。7日付香港各紙によると、終審法院は一審判決の社会奉仕令と執行猶予を有効とみなしたため、3人は服役を免れることとなった。裁判官は「上訴庭の違法集結に関する新たな判決ガイドラインを全面的に支持し、本件の暴力レベルが低いとしても抑止のため即時収監の判決を下すべきで、いわゆる市民的不服従は情状酌量の重要な要素にはならない」と強調。ただし上訴庭の新たなガイドラインに遡及性はないため、一審の裁判官が判決を下した際に間違いはなかったと説明した。今後、同類の案件では即時収監となることを示唆し、デモ参加者らは心の準備をしておくよう促した。被告の1人である黄之鋒氏は今回の判決を「厳しい判決をオブラートに包んだだけで、勝利とはいえない」とコメントした。

■企業の91%が昇給を予定

 人材コンサルティングのアデコ社が2018年の企業の給与と採用についての調査を行った。2月7日付香港各紙によると、対象となった香港企業は216社で、職員の昇給を予定していると答えた企業は全体の91%に上り、そのうち74%が昇給幅を2〜5%と回答しているという。その一方で新規採用には消極的だ。今年中に1〜5人程度の新規採用を予定している企業は28%止まりで、34%が明確な新規採用の予定はないとし、13%は今年の増員は無しと回答している。好景気もあり全体的に好調だが、人材市場の動向について同社香港マカオ地区の游国明・正式員工招聘部助理総監は「金融、貿易、IT、小売りなどが採用に意欲的。特に小売りは宝飾品など高級品関連の人材不足が顕著」と述べた。

■香港衆志、今後は圧力団体に

 香港衆志の羅冠聡・主席と黄之鋒・秘書長は2月7日、商業電台の番組に出演し、同党の今後の方向性について語った。8日付香港各紙によると、同党の周庭氏が立法会補欠選挙の出馬資格を認められなかったことや、街頭抗争は禁固刑になりやすくなったことを受け、羅氏は「すでに選挙に出馬する考えはなくなった。香港衆志は今後の方向性を検討しなければならず、選挙に出られなければ政党とは呼べず、市民団体か圧力団体とすべき」と述べたほか、先の終審法院(最高裁判所)の判決から今後はデモ活動で警官が負傷すれば投獄される恐れがあり、将来的にすべてのデモ活動に影響すると指摘した。一方、林鄭月娥・行政長官は7日、立法会答弁に出席し、先の終審法院の判決では律政司の量刑見直し要求が間違いだとは言ってないと説明し、非親政府派は判決を簡単に解釈している嫌いがあるため判決文をよく読むよう促した。

■海洋公園のホテル、6月13日開業

 香港海洋公園に隣接するホテル「マリオットホテル海洋公園」の開業日が決定した。2月8日付香港各紙によると開業日は6月13日。当初は2017年第4四半期の開業を予定していたものの、工事工程や悪天候のため延期していたという。建物は3棟からなり、客室数は471室。宿泊費は平均で2000ドル程度になる。ロビーには高さ16メートルの円柱型の大水槽を使ったミニ水族館が、屋外には珊瑚礁をイメージした1万5000平方フィートのプールが設置されており、人気を呼びそうだ。海洋公園の李縄宗CEOは「在外の観光客だけでなく香港市民にも来てほしい」とアピールする一方、「ホテル開業で海洋公園の入場者数と売り上げで2けた増を目指す」と強気の姿勢をみせる。ただ、ホテルライセンスの認可がいまだ下りていないため、予約は受け付けておらず、予約開始時期も未定の状態だ。

■占拠行動の発起人、実刑免れる可能性

 終審法院(最高裁判所)が先に「セントラル占拠行動」学生リーダー3人の実刑判決を覆したことで、政界では占拠行動発起人らも量刑が軽くなるとの見方が高まっている。2月9日付香港各紙によると、全国香港マカオ研究会理事で法律学者の宋小荘氏は「今回の最高裁の判決は間違っており、新たなガイドラインには遡及性があるはず」と指摘。公安条例にも違法集結罪は最高で禁固5年となっているため「新たなガイドライン」と呼んでいることに疑問を呈し、この判決の影響で戴耀廷氏ら占拠行動の発起人3人をはじめとする中核人物も実刑を免れると懸念する。元立法会議員で「廿三万監察」召集人の王国興氏も最高裁の判断に従うと占拠行動発起人や他の暴力的デモの参加者らも禁固刑にはならないとみる。先に壱伝媒集団(ネクストメディア)創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏による民主派への献金も起訴されなかったことを挙げ、「早期に政党法制定か基本法23条に基づく立法を完了し、外国勢力の資金援助による香港での政治活動を禁止すべき」と述べた。

■MPF、昨年の平均利回り22%超

 強制積立年金(MPF)の2017年の運用実績が公表された。2月9日付香港各紙によると、これは強制性公積金計画管理局(MPFA)が8日発表したもの。同年通年の平均利回りは22.3%と非常に好調で、この数字は00年12月の同制度開始以降、09年の26.6%に次ぐ高い数字だという。これによりMPF全体の総資産は16年から1972億ドル増えて8435億ドルとなり、01年時点の360億ドルと比較すると23.5倍にも膨れ上がったことになる。MPFが好調の背景には株式を中心としたポートフォリオが挙げられる。17年9月末現在で全資産の69%が株式となっており、債権(18%)や預金・現金(13%)を遥かに上回っている。

■インフルワクチン、芸能人が誤情報

 インフルエンザ流行が続く中、香港の女性歌手の謝安琪(ケイ・ツェー)がインフルワクチンに関して発言した内容が医学界から批判を浴びている。2月9日付香港各紙によると、今年は児童の重症化や死亡例も出ていることから政府当局では予防接種をするよう保護者に呼び掛けているものの、保護者の間では最近ワクチンの有効性を疑う声が出ており、ケイの発言に影響を受けているのだという。問題の発言は5分ほどの録音で、2月7日からSNSなどでシェアや拡散されたようだ。内容は「ワクチンの効果は非常に低い」「ワクチンには水銀やアルミニウムが含まれている」「安全性のテストをしていない」などとワクチンの効果を疑問視するもので、医学界や政府当局はそれが間違った認識だと指摘。衛生署がプレスリリースを発表するという異例の対応をする事態に発展した。衛生署のプレスリリースでは、「ワクチンには水銀化合物やアルミニウムは含まれていない。過去70年来、安全性検査を繰り返しており、非常に信頼できる」と説明している。

■銅鑼湾書店店主、スウェーデンの駒に

 中国政治書籍の専門書店「銅鑼湾書店」の店主だった桂民海(桂敏海)氏は2月9日、浙江省寧波市の拘置所で中国本土、香港、台湾のメディアの取材を受けた。10〜11日付香港各紙によると、桂氏は1月、スウェーデン側の提案で病気の診察を理由に北京のスウェーデン大使館に行き、機をみてスウェーデンに逃亡する計画だったが、上海から北京へ向かう列車内で寧波公安局に逮捕された。桂氏はスウェーデン側から北京到着後の手はずは聞いておらず、また公安には桂氏が国家機密情報の資料を外国に提供しようとしているとの情報がもたらされていた。桂氏は昨年釈放されてから寧波に居住。交通事故の刑期は満了したものの、国家新聞出版部門の許可を得ていない書籍を販売した違法経営活動については捜査中であるため、出国は認められていなかった。だがスウェーデン側が絶えず桂氏に接触し出国支援を持ち掛け誘惑されたことを明らかにし「スウェーデン人がこういうことをするのは政治目的で、ある政治家が今年の選挙のために必要だった。すでにスウェーデン側に操られた駒になっていた」と述べ、スウェーデン側が自分を利用し続けることは望まずスウェーデン籍も放棄する考えを示した。

■司法長官の辞任要求デモに700人

 民主派団体の民間人権陣線は2月11日、鄭若・司法長官の辞任を求めるデモ行進を行った。12日付香港各紙によると、デモ隊は湾仔からセントラルの律政中心まで行進。参加者は主催者発表で約1000人、警察の推計ではピーク時に700人だった。民間人権陣線の葉志衍・召集人は参加者が少なかったことについて、春節(旧正月)を控えて多くの市民がすでに海外旅行に出たためと、民主派各党はビクトリア公園の花市の出店で人手をさいているためとの見方を示し、香港人は鄭長官のスキャンダル追及をあきらめないだろうと強調した。デモ隊は「鄭長官は即刻辞任せよ」「法治は死んだ」などのプラカードを掲げ、鄭長官の住宅の違法増改築や立法会補欠選挙で一部の候補者が出馬資格を得られなかったことを非難。併せて鄭長官を擁護する林鄭月娥・行政長官も批判した。補選に出馬できなくなった香港衆志の周庭氏も参加した。

■バス横転、死亡19人重軽傷63人

 九龍バスが走行中に横転、死者19人、重軽傷63人という大事故が起きた。2月11~12日付香港各紙によると、事故が起きたのは沙田競馬場発の九龍バスで、日時は10日の18時15分ころ。競馬場帰りの乗客で満員だったバスが大埔中心に向かい大埔公路を走行中、大埔尾村付近に差し掛かったところでスピードの出しすぎからバランスを崩し横転。運転手(30)は無事だったものの、乗客19人が死亡、危篤の9人を含む63人が重軽傷を負った。近年では2003年に屯門で21人の死者を出したバス事故に続く大惨事となった。現在、警察ではブラックボックスを回収するなど事故原因の捜査を進めているが、難を逃れたある乗客の証言では、バスの発車が遅れて一部の乗客から運転手が非難される場面もあり、精神的に不安定だったとの指摘もある。また、運転手が正社員ではなくトレーニング不足のアルバイトだったということや、昨今の人材不足から長時間労働を職員に強いた九龍バスの過失責任を指摘する声も多く上がっている。

■旧新華社香港支社の副支社長が死去

 中央人民政府駐香港特区連絡弁公室(中連弁)の前身である新華社香港支社で返還前後に副支社長兼スポークスマンを務めた張浚生氏が2月19日に浙江省杭州市で死去した。享年82歳。20日付香港各紙によると、張氏は1985〜98年の13年にわたり新華社香港支社で宣伝部部長や副支社長を歴任し、退任後は母校の浙江大学で党委書記を務め2004年に退官した。香港返還の過渡期に中央政府の立場を代弁し、「中英共同声明」「基本法」と中英双方が過去に合意した協議に違反する政治体制改革案を提示しながらも「中英の良好な関係を維持する」と述べていたパッテン元総督を激しく非難した。パッテン氏とはメディアを通じて度々舌戦を繰り広げ、近年も「セントラル占拠行動」「旺角暴動」をめぐるパッテン氏の発言に対し張氏は「パッテン氏は香港統治時に多くの災いを残した」と批判した。

■春節連休、本土からの来港者14%増

 今年の春節(旧正月)連休中に来港した中国本土客が昨年より増加したことがわかった。2月20日付香港各紙によると、これは入境事務処が旧暦大みそかから正月3日目にあたる4日間(2月15〜18日)の来港者数を発表したもの。当該期間中の本土客の来港数は延べ52万7751人と前年同期比で14%も増加しているという。ただ増加したのは本土客だけではない。他国・地域からの来港者数も同12万2136人と2.5%の増加。本土客と合わせると64万9887人で同11.8%増と、全体で2けた増を達成したことになる。それに伴い、小売業の売り上げも好調なようだ。太子珠宝鐘表の代表は「2014年のピーク時ほどではないが人民元高もあり来客数は10%ほど増加した」と述べている。

■花火中止、市民は違法で花火打ち上げ

 2月10日に九龍バスの横転事故で19人が死亡する惨事が起き、香港特区政府当局は旧正月2日(2月17日)に予定されていたビクトリア湾の打ち上げ花火を中止した。しかし、旧暦の12月30日から1月2日にかけて市民が花火を打ち上げる違法行為が相次いだ。2月18日付香港各紙によると、2月15日は観塘、藍田、荃湾の団地で何者かが花火で遊んだほか、旧正月元日にあたる2月16日は屯門でも上空にカーニバルのような花火が打ち上げられ、石尾辺りでも誰かが打ち上げた花火の爆音が響いたという。花火は30秒くらいの短さだったため、警察が現場に駆けつけてもすでに逃げた後だったそうだ。花火を見掛けて、それを動画に収めてフェースブックに投稿する市民も相次いだ一方、睡眠中に爆音で目が覚めた人や火事を心配する人たち、警察への通報も多かった。香港では1967年から花火と爆竹は条例で禁止されており、花火と爆竹の不法所持は2万5000ドル以下の罰金刑および禁固刑6カ月となる。

■香港ディズニー、3年連続で赤字

 香港ディズニーランドが2017年度(2016年10月~17年9月)の決算を発表、3年連続で赤字決算となったことがわかった。2月21日付香港各紙によると、同年度の売上高は歴代2位となる51億ドル(前年比8%増)、入場者数は延べ620万人(同3%増)を記録し好調に見えるが、赤字額は前年の1億7100万ドルを倍以上も上回る3億4500万ドルにも上った。経営側は赤字の理由を「アイアンマンの新アトラクションと新しい直営ホテルの完成時期が重なりコストが嵩んだため」と説明。今後について同園の劉永基・行政総裁は「最重要課題は売り上げ増と入場者数増。海外からの顧客は160万人と過去最高を記録したし、コスト管理にも細心の注意を払っている」と強気の姿勢をみせる一方で「現在、新しいホテルの開業も控えており、減価償却にはあと5~6年かかる見込み」と赤字経営の継続を示唆した。

■「米国には香港を駒にする者がいる」

 「セントラル占拠行動」の学生リーダー3人が米国の議員らによってノーベル平和賞に推薦されていることについて、全国香港マカオ研究会の劉兆佳・副会長が米国の一部勢力を非難した。2月6日付香港各紙によると、劉副会長は5日、香港電台(RTHK)の番組に出演し、推薦について「米国には中国に挑戦するため香港を駒として利用する者がいる」と指摘。ただし中国の国家主権に対する態度は強く、西側の干渉には大きく反発するため、かえって3人が中央と協議するカードが減ると分析し、「反体制派は外国の政治家の支持を得たとしても、一線を画して外国勢力と結託していると思われぬようにすべき」との見方を示した。米議会の議員12人は先ごろノーベル委員会に香港専上学生連会(学連)の周永康・元秘書長、香港衆志の羅冠聡・主席と黄之鋒・秘書長の3人を2018年度ノーベル平和賞候補に推薦する書簡を送った。署名した議員には「米国の中国問題に関する連邦議会・行政府委員会(CECC)」共同主席を務める共和党のマルコ・ルビオ氏とクリストファー・スミス氏、共和党のダナ・ローラバッカー氏、民主党のエリオット・エンゲル氏やブラッド・シャーマン氏らが含まれている。

■携帯電話番号、4・7・8を開放

 携帯電話番号の最初のひとケタの数字に、新たに「4」「7」「8」が加わることがわかった。2月6日付香港各紙によると、今月中に順次提供開始となる見込みで、新しい電話番号の総数は1060万件に上るという。現時点で存在する8ケタの番号が18年11月で在庫切れとなる見通しのため、通訊事務管理局弁公室(OFCA)が開放を決定したもの。多くの香港市民や華人の注目はその語呂合わせ。標準中国語や広東語で「死」を連想させる「4」は忌み嫌われる傾向にあり、「47」(死期)など縁起の悪い語呂を含む番号も出現するとみられる。

■娘を薄着に、父母を虐待容疑で逮捕

 寒波の中、11歳の娘を薄着で登校させた両親が虐待容疑で逮捕された。2月6日付香港各紙によると、この女子中学生は気温の低い日でも制服の上に1枚多く薄めの上着を羽織っただけで通学しており、気温7度の寒さだった2月5日も同様に薄着で体が震えていたため、見かねたソーシャルワーカーが保護。少女に話を聞くと、家庭内では電気給湯式シャワーの順番を一番最後にさせられるためお湯が残っておらず連日冷たい水でシャワーを浴びていると告白。妹と何かにつけて差別され、妹は暖かい恰好で通学しているというので、虐待疑惑が浮上した。

新春特別日本舞踊公演を開催

 「日本舞踊 若柳流香の会」主催で33日に開催される舞踊公演「新春特別日本舞踊公演~日本伝統の美~」を前に2月11日、旺角にあるショッピングモール「朗豪坊(ランガムプレイス)」でワークショップと記者会見が行われた。日本舞踊5大流派の一つである若柳流「若柳流香の会」は、師範・若柳智香氏により1999年に設立。現在、新名取 7名を含む約50名が在籍、うち3分の2のメンバーが香港人。2017 年に10回目の公演を行った同会はこの節目を記念し、今年3月に若柳流四世家元の若柳壽延氏を日本から招聘、 新名取のお披露目も兼ねた「新春特別日本舞踊公演~日本伝統の美~」を開催。これまでにはなかった”衣装、鬘師、顔師”も合わせて招くなど日本の本格的な舞台を香港で再現する。会見には香港人タレントの糖妹(キャンディー)さんも出席して舞を披露。同会代表の若柳智香氏は「多くの人に見に来ていただき、本格的な日本の伝統美に触れてもらいたい」と語った。(写真:楢橋里彩)

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