2017年12月14日~18年1月8日のニュースから抜粋

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20171214日~1818日のニュースから抜粋
(月~金曜に毎日配信)

■立法会前のデモ、学生を銃所持で逮捕

 立法会での議事妨害を抑制するための議事規則改正に反対するデモ隊が議事堂周辺でテントを張るなどして抗議活動を行っているが、「香港独立」組織メンバーが模倣銃を所持していたことから逮捕された。13日付香港各紙によると、立法会前のデモエリアで12日午後8時半、16歳の男性が模倣銃を所持していたとして逮捕され、香港島中区警察署に連行され取り調べを受けている。香港独立組織「学生動源」は同日、フェースブックで逮捕者がメンバーの1人であることを認め、他のメンバーが警察署に赴いて事情を確かめていることを明らかにした。あるメンバーは逮捕者が葵涌循道中学5年生の劉康氏であることを確認。11月に行われた『明報』主催「学生記者計画」の式典に林鄭月娥・行政長官が出席して記念撮影を行った際、劉氏は画面に「香港独立」と表示したスマホを掲げていたため、学校側から警告を受けた。その後、「学生動源」と「香港民族陣線」のメンバーらが学校に乗り込み学校側に謝罪を要求するとともに校門付近で独立宣揚活動を行う騒ぎとなった。

■全人代選挙、10人が候補資格得られず

 全国人民代表大会(全人代、国会に相当)香港代表選挙の正式な候補者が決まり、立候補を届け出た59人のうち10人が候補資格を得られなかった。12月14日付香港各紙によると、全人代香港代表選挙会議主席団は13日、第2回会議を開催し、審査を経て49人を候補者として確認し候補者名簿を発表した。19日の選挙で36人が選出される。候補資格を得られなかった10人のうち8人は公の言行が立候補申請用紙の声明内容に明らかに違反しているとみなされた。「香港独立」を主張する香港民主進歩党(すでに解散)の楊継昌・元主席と旺角でデモを行った「鳩鳴団」メンバー7人が含まれている。楊氏は「習近平思想に感化されて出馬を決めた。まさに香港独立を支持していた者が改心した模範」と述べ、資格が得られなかったことに驚きを示した。残り2人は声明への署名を拒否した公民党の郭家麟氏、選挙会議メンバー10人以上の推薦票を提出しなかった葛錦華氏となっている。保釣行動などで民主派との関係を深めている劉夢熊氏や民主派の選挙委員(高等教育界)である王凱峰氏は資格を得られた。

■議事規則改正、「南京大虐殺」で妨害

 立法会で12月13日、「議事規則」改正に関する審議が続けられたが、非親政府派議員3人が相次ぎ休会を要求して議事妨害を図った。14日付香港各紙によると、議事規則16条に基づき休会を要求したのは民主党の胡志偉・主席、自決派の朱凱廸氏、人民力量の陳志全・主席。特に陳氏は「本日は南京大虐殺80周年であるが、日本政府はいまだ事件について謝罪していないため、この議題を討議して日本に圧力をかけるべき」と提案。だが梁君彦・議長は「本日討議しなければならない切迫性は見当たらない」として休会要求を拒否すると、陳氏は「80年たっても謝罪していないのを切迫性ないといえるのか」と裁定に不満を表した。これに対し民主建港協進連盟(民建連)の葛珮帆氏は「陳氏は民族の傷を政治の道具として利用している」と非難。香港経済民生連盟(経民連)の林健鋒氏も「陳氏が南京大虐殺に関心あるなら、なぜ今朝行われた追悼式典に出席しなかったのか」と尋ね、唐突な愛国者ぶりを批判した。

■海洋公園、赤字止まらず9%値上げ

 オーシャンパーク(海洋公園)が12月13日、2016/17年度の決算を発表、昨年に続き赤字決算となったことがわかった。14日付香港各紙によると、同年の総入場者数は前年比4.03%減の580万人となったが、総売り上げは16億1980万ドルと同0.3%増とわずかながら増加。そのため赤字額は同マイナス2.8%の2億3440ドルと減少はしたものの、赤字基調には変化はない。なお、同園では運営コストの上昇や拡張工事に伴った債務償還の名目で入場料の値上げを決定、値上げ幅は9.6%で2018年1月1日から実施されるという。そのため1月からは、成人料金は438ドル→480ドル、子供料金は219ドル→240ドルとなるが、従来の誕生日の無料入場に加え誕生月の割引など、香港市民向けのサービスも一部用意されている。

■不発弾、処理係は東日本大震災で活躍

 12月13日、馬鞍山の梅子林路に面する排水路で砲弾が見つかったことから、香港警察が半径500メートル範囲を一時封鎖して起爆処理を行った。12月14日付香港各紙によると、砲弾は水中にあって排水路にかかった歩道橋の上から目に入る位置。発見者は付近の地盤を毎日点検している中国電力の作業員で、12月5日に金属製の物体があることに気付いたもののあまり気にとめていなかったという。しかし13日朝に水路の水が減って物体がよく見えるようになり、砲弾だと判明。ちょうど近くにいた交通パトロール中の警官に知らせたそうだ。その後、周辺が封鎖され、夕方4時過ぎに付近の学校の生徒たちの下校を確認してから起爆処理を開始。爆破の瞬間はバーンという音とともに5メートルの高さの水柱が立ち上り、土嚢が破れる勢いがあったという。この日、起爆処理を担当した警官が女性であることも注目を集めた。政府警務処の「爆発物処理課(E.O.D)」に所属する警官30人のうち女性は3人だけで、その中の1人。これまでに湾仔警察署や機動部隊(PTU)などで活躍し、2011年の東日本大震災発生時には香港特区政府の支援チームの一員として来日したことがあるという。

■ディズニー5年連続値上げで600ドル超

 香港ディズニーランドの入場券(ワンデーパスポート)が12月15日から値上げされることがわかった。同日付香港各紙によると、値上げ幅は平均5.8%、一般(成人)が589ドル→619ドル、12歳未満が419ドル→458ドルになるという。値上げは今回で5年連続となり、2005年の開園当時は295ドル(一般・平日)と、世界のディズニーランドの中でも最安値だった料金は当時と比較すると倍以上の金額。面積では「世界最狭」のディズニーランドと揶揄される同園だが、料金に関しては東京(約510ドル)、上海(約470ドル)を大きく上回り、パリ(約637ドル)と肩を並べる水準となった。

■大型観覧車、12月20日に営業再開

 撤去の危機から一転、存続が決まった中環の大型観覧車「香港摩天輪」が12月20日から正式にオープンすることが分かった。12月15日付香港各紙によると、観覧車の新料金は一般1人20ドルに決定。一般料金は以前の100ドルに比べかなり安くなったが、当初無料になるとうわさされていた3歳未満の乳幼児の料金は10ドルに決まった。シニア(65歳以上)の料金も10ドルだ。新運営会社であるTECLでは、今後3年は値上げの予定はなく、このたびの料金の大幅引き下げによるクオリティーの低下はないと話している。観覧車そのものに大きな変化はなく、8人乗りのゴンドラが42台。これまで同様1時間で1000人が乗れる計算になるという。ゴンドラの車体の色は変更され、赤く塗られている。

■爆弾テロ計画、本土派3人に禁固刑

 2015年6月に立法会で普通選挙案の採決が行われる直前に発覚した爆弾テロ計画事件で、被告3人に禁固刑が下された。12月16日付香港各紙によると、高等法院(高等裁判所)は15日、同案件の被告5人のうち3人(24〜36歳)に対し爆発物製造共謀など5つの罪状で2年2カ月〜3年10カ月の禁固刑を言い渡した。裁判官は本件がテロ活動に度々使用された高性能爆薬TATPの完成まであと一歩だったとして「被告らの行為は深刻な破壊と人命殺傷を招きかねず、抑止のため実刑判決が必要」と説明した。原告側は3人が本土派組織「全国独立党」の関係者であると指摘していたが、裁判では3人ともメンバーであることを否定。うち2人は「セントラル占拠行動」や並行輸入業者への抗議活動に参加し、カラシスプレーを所持していたことで禁固6〜9カ月の刑を受けていた。「全国独立党」は15年6月1日、ネット上で「6月17日に普通選挙案が可決されれば当日に死傷者が発生し、立法会は第2のウクライナの廃墟になることを覚悟しなければいけない」と警告していた。

■薬物中毒の母親、実の娘を殺害し解体

 実の娘を殺害しバラバラに解体していた母親が逮捕された。12月19日付香港各紙によると、事件が起きたのは旺角の極狭アパート「萬福樓」。事の発端は18日の午後3時ごろ容疑者の曹(37)が隣家の主婦ともめ事を起こし警察ざたになったこと。警官が駆けつけたところ、曹容疑者の部屋から汚水が流れ出しており、不審に思った警官が中に押し入ると、複数のビニール袋に詰められた容疑者の娘(12)の遺体が発見されたという。現場のトイレや浴槽も遺体の一部や内臓であふれており、覚せい剤の入った容器も発見された。警察では曹容疑者を即刻逮捕したが、現在は心神喪失状態で取り調べが進められない状態のようだ。なお、曹容疑者は3年以上前に移住してきたいわゆる新移民で、マッサージで生計を立てていた。中国本土と香港で離婚歴があり、娘は本土で生まれ、香港の塘尾道の公立中学に通っていた。

■IPO調達額が大幅減で世界3位

 監査法人デロイト・トウシュ・トーマツが今年通年の新規株式公開(IPO)による資金調達額に関するリポートを発表。過去2年にわたり首位を維持していた香港だが、今年は3位に後退したことがわかった。12月20日付香港各紙によると、今年の香港市場の調達額は161社上場で1282億ドルと、前年比で34%もダウン。2位の上海(214社上場で1584億ドル)、1位のニューヨーク(66社で2148億ドル)に大きく差をつけられた。今後の香港市場について同社では「米国の利上げなど不安定要素はあるが、『種類株』の発行が認められる見込みであるため、新興企業銘柄の取引を中心に活発化するだろう。その影響で中国本土のユニコーン企業が香港市場での上場を考慮することも十分ありうる」と大きく伸びる可能性を示唆。具体的には「少なくとも超大型銘柄5社を含む150〜160社が上場、調達額は1600〜1900億ドル程度になる」と予測した。

■「大亜湾原発で放射能漏れ」想定

 特区政府は12月20〜21日、深圳市の大亜湾原発から放射性物質が漏えいしたと想定する模擬演習を実施した。21日付香港各紙によると、模擬演習は保安局が指揮を取り30部門余りが協力、20日は約1000人が参加した。大亜湾原発の施設で事故が発生し放射性物質が外部に漏えいしたため、半径20キロメートル以内にいる市民を避難させねばならないと想定。警察は東平洲に指揮本部を設置し、水上警察と機動部隊が島内の住民・観光客約100人を避難誘導したほか、警備艇が沿岸で放送を行い住民に避難を呼び掛けた。林鄭月娥・行政長官と張建宗・政務長官も参加し、深刻な原発事故が発生した際の各部門の対応能力を視察した。

■15歳のモデル殺害、残忍な手口

 撮影会モデルをしていた15歳の少女を殺害し、ゴミ捨て場に捨てた容疑で逮捕された男の裁判が先ごろ始まり、その犯行の残忍な手口が明らかになった。1月4日付香港各紙によると、被告(35歳)は既婚者で、2014年12月に当時15歳だった少女をケチャップのびんで殴り、ナイロンのひもで首や手足をしばりつけ、プラスティック・ラップで顔を包んで窒息死させた疑いがもたれている。検視の結果、被害者は死亡する前に性的暴行を受けたほか、肛門にペットボトルのふたを詰められるなどの虐待を受けていたことも分かった。少女は中学卒業後、ウエートレスや撮影会モデルをしており、被告は500ドルで彼女を雇って被写体として撮影しようとしたという。被告が望む衣装への着替えを少女が拒んだことから暴力をふるい、遺体をスーツケースに入れて運んだが、殺意はなかったと主張している。

日本人ダンサーがフラダンスショー

 上環のシビックセンターで12月9日、J-motion dance academy主催のハワイのフラダンスショー「Christmas in the island」が行われた。このイベントはハワイのフラダンス、マオリ・サモア・タヒチなどポリネシアのダンスを学べる「ハワイ・アロハ・アカデミー」(東京墨田区)に所属する日本人ダンサー20人と講師のカラニ・ポッオマイヘアラニ氏が来港し開催されたもの。オアフ島出身で日本在住15年のポッオマイヘアラニ氏は、かつて東京ディズニーランドの初代ポリネシアンショーのディレクター、振付師を務めるなど日本でのフランダンス普及に大きく貢献。今回は香港で活躍するベリーダンス(アラブ圏のダンス)のダンサーらとともに40曲で計3時間のショーを披露。会場は満席で観客150人が舞台に酔いしれた。
(写真:楢橋里彩)

シュガーレディ、添加物不使用の冷凍食品

 株式会社シュガーレディによる「クリスマス&お正月限定ラインナップ」メニューの試食会が上環の「Fill in the Chef」で開催された。1970年に創業した同社は現在1100品目を展開。メニューはすべて保存料や着色料をはじめph調整剤など、化学的合成添加物は不使用。遺伝子組み換え原料を主原料にしておらず、放射能検査など各種検査を実施するなど、徹底した製造過程にこだわる。海外では香港が初めてで2016年よりオンラインストア事業を開始、今年4月から本格的に試食会などを通した市場拡大を展開。今回参加した女性は「冷凍食品と言われなければ分からない食感と深い味わい。(冷凍食品の)見方が大きく変わった」と驚いていた。シュガーレディ香港エグゼクティブディレクターの小笹秀之氏は「日本食の人気が高い香港で、家庭でも気軽に楽しんでもらえることを目指したい。共働きが多い香港では時短のニーズはさらに高まっている。献立、調理、買い物すべてを『究極の時短』で実現、おいしい日本食を提供していきたい」と話した。
(写真:楢橋里彩)

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