5月26日~6月9日のニュースから抜粋

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5月26日~6月9日のニュースから抜粋(月~金曜に毎日配信)

■同性婚への差別、政府が上訴申請
同性婚をした公務員の男性が、自身の伴侶への福利を公務員事務局に拒否されたことに対して司法審査を申し立てた案件で、高等法院は4月28日に公務員事務局側に差別があったとの裁決を下したが、これに対して香港特区政府が上訴を申請していたことが分かった。5月26日付香港各紙によると、上訴可能期間は28日間で5月26日がその期限にあたり、政府律政司が期限前日に申請を行ったという。この案件の原告の男性はLGBTで、2014年にオーストラリアでパートナーの男性と結婚。しかし帰国後、公務員事務局に歯科および医療の配偶者福利を申請した際、婚姻が認められず申請を却下されたほか、税務局には配偶者との共同申告が認められなかったため、それぞれの対応について司法審査を申し立て、高等法院では事務局の対応は性差別に当たると指摘したが、共同申告を認めなかった税務局の対応は合法であると判断していた。一部の立法会議員がこのケースを認めれば香港の婚姻制度をおびやかすことになるとして政府に上訴を求めていた。

■南亜系集団140万強奪、両替店主襲う
両替店店主を刺傷し、現金40万ドルなどを奪う強盗事件が起きた。5月29日付香港各紙によると、現場は27日23時すぎの尖沙咀。重慶大廈の仕事場を離れ、国際広場横を歩いていたカナダ国籍のサムさんとフィリピン人の妻が帽子とマスクで顔を隠した南アジア系と思しき男4人に囲まれた。男たちは妻に離れるよう指示するやいなや、持っていた牛刀でサムさんの体を6カ所刺し、背負っていたバッグを強奪、近くに停めていた乗用車で逃走したという。サムさんは現在も危険な状態が続いており、奪われたバッグには外貨など現金40万ドルのほか、100万ドル相当の「カルティエ」の腕時計、店の鍵、パスポートなども入っていたようだ。警察では犯人らの行方を追っているが、28日の朝8時ごろ、屯門の青龍頭で燃やされた乗用車が発見され、中から複数の牛刀が見つかったことから、犯人らが乗り捨てたものとみて調査を進めている。

■海港城そばで爆弾騒ぎ、600人避難
チムサーチョイの海港城(ハーバー・シティ)のそばに偽爆弾が置かれ、警察が出動、600人が一時避難する騒ぎがあった。5月31日付香港各紙によると、30日14時過ぎ、市民が爆弾のような物品が地面に置かれているのを見つけて通報した。道が100メートル封鎖され、海港城内外にいた約600人が避難。その物品はダイナマイトの筒のようなもの7本に電線とタイマーが設置してあったため、爆弾処理班も出動し緊迫した状態となったが、ロボットが処理したところ、爆薬は検出されなかった。付近の防犯カメラにその物品を置いて立ち去る黒い服を着た女の姿が写っており、その女が事情を知るものとみて警察が行方を追っているが、31日午後に容疑者とみられる女が病院に入院しているとの情報が流れた。

■サバゲー仲間殺害、金銭トラブルか
サバイバルゲーム愛好者の男性が行方不明となり殺害された事件で、ゲーム仲間の3人が殺人容疑で逮捕された。5月31日付香港各紙によると、殺害されたのは技術者見習いの郭葦諾さん(20)。27日深夜に藍田の五桂山で友人とサバイバルゲームをすると言って自宅を出た郭さんが28日朝になっても帰宅しなかったため、家族が警察に捜索を依頼。29早朝に、のどや顔を刃物で刺された状態の郭さんの遺体が五桂山中で発見された。警察では殺人事件と断定、同行の友人らを容疑者として逮捕し、現在も捜査を進めている。容疑者らは当初、郭さんが電話で急な呼び出しを受けたため途中で別れたと説明していたが、証言に矛盾や食い違いがあったようだ。また両者の間に、ゲームの装備に関する金銭トラブルの情報も確認されており、計画的な犯行の可能性も指摘されている。

■父娘相姦、父の恋人への嫉妬も一因
父娘相姦を裁く法廷で、娘が父の恋人に嫉妬したことも事件の引き金になったことが明らかになった。2人は2009年から15年にかけて実の親子でありながら性的関係をもち、父は乱倫罪で、娘は刑事犯罪条例の第48条「16歳以上の女性の乱倫」でそれぞれ起訴された。4月26日開かれた裁判で2人はともに罪状を認めている。5月30日付香港各紙によると、5月29日に開かれた裁判で娘は、自分は幼いころから実母と仲が悪く、両親が離婚してからは母親代わりとなって弟の世話や家事をしており、父への愛が芽生えたと吐露。父親が恋人と再婚する考えがあることを知って嫉妬し、阻止しようとして自らを献身したと話した。当初は5月29日に判決が言い渡される予定だったが、裁判官は被告の心理・精神鑑定を命じており、その結果を待って6月12日に判決を言い渡すこととなっている。一方、父と姉が性交している動画を見つけて通報した弟は事件発覚後にうつ病を発症し、姉が実刑となり投獄された場合は家賃が払えず生活できないことから、裁判官に酌量を求めている。

■中環の警察旧跡崩壊、責任者を告発
旧跡として保存修復が決定していたものの、昨年5月の修復工事中に一部が倒壊した中環の旧警察署既婚者用宿舎の件で、特区政府屋宇署が施工主と設計責任者を刑事告発した。6月1日付香港各紙によると、これは屋宇署がまとめた同事件に関する報告書の内容を受けてもの。同報告書では「建物の補強段階で、レンガ製の支柱と壁に小さな穴を開ける工程で技術的な誤りがあった」と指摘、「そのため柱と壁にかかる負担が増加し崩壊した」と工程ミスであることを説明している。今回、告発されたのは施工主の金門建築と、設計を請け負った同社の梁賜熊氏、そして関連工事を行ったストーンウェスト社の三者。有罪となった場合は、建築物条例違反として最高で100万ドルの罰金と3年の禁固刑が課せられる。

■IMDの国際競争力、香港が1位維持
スイスのビジネススクール、IMD(国際経営開発研究所)が2017年の「国際競争力報告書」を発表、香港は昨年に続き1位を維持した。6月2日付香港各紙によると、同ランキングは世界63カ国・地域の経済実績、政府の効率、ビジネス効率、インフラを評価したもの。政府の効率、ビジネス効率の2項目で首位を守るなど強みを見せたが、経済実績は昨年の5位から11位へと大幅に後退している。経済実績に含まれる生活水準を示す生活コスト競争力のランキングでは、最下位は経済危機にあるベネズエラに譲ったものの、それに次ぐ62位となった。

■今夏の天気予測、気温はやや高め
香港天文台は6月1日、2017年夏季の長期予報を発表した。2日付香港各紙によると、先月から太平洋赤道東部の水温が高くなっており、今後高温が続けばエルニーニョ現象が発生する可能性が高いという。エルニーニョ現象の影響を受ければ、香港の気温は平年並みかやや高めになり、平均気温は28.6度になる見込み。雨量は平年並みかやや少なめで、夏季(6〜8月)の累積雨量は1509ミリメートルを下回るとみられている。一方、同日付『香港経済日報』が伝えた漢方医の話では、春から夏への季節の変わり目にはアレルギーが出やすいそうだ。普通の体質でも、高温多湿の影響で汗が出にくくなり、体の中に湿がたまって体が重く、だるさを感じるようになる。骨や筋肉の痛みや食欲不振を感じることもあるようだ。

■本土クレカ、1000元以上は使用報告
中国本土の銀行クレジットカードの1000元以上の使用履歴が管理されることがわかった。6月3日付香港各紙によると、これは中国国家外匯管理局が2日に発表したもので、今年9月1日以降、域外において国内銀行発行のカードを1000元以上使用した場合、すべての取引が各銀行から同局に報告されるという。また、ATMや銀行での現金の引き出しや取引に関しても、金額にかかわらず全て報告の対象となる。資本流出による人民元の下落を嫌っての措置とみられているが、同局では「マネーロンダリングの防止策」と主張している。ちなみに、資金移動の制限措置としては、人民銀行が本土内の銀行に対し、昨年12月に取引額の報告用件としての下限を20万元から5万元に引き下げたばかりで、今年7月から実施予定となっている。

■エジプト展、VRで墓穴探検ゲームも
康楽及文化事務署では今年、香港返還20周年を記念した大規模展覧会をいくつか予定しているが、そのうちの1つ「永生伝説―透視古埃及文明」が香港科学館で6月2日から始まった。6月2日付香港各紙によると、大英博物館から貸し出された重な文物約200点の中でも展覧会の見どころともいえるのが、6体のミイラ。6体は1800〜3000年前にエジプトで生活していたという約2歳の男児、17〜20歳とみられる少年、35〜49歳の中年の男女4人だ。香港初の試みとしてCTスキャンを使って映し出したミイラの断層画像からは、参観者がミイラの装束や肌、骨格を見ることができる。また、ヘルメットをかぶってVR(バーチャル・リアリティー)による墓穴の探検が体験できるインタラクティブ・ゲームのほか、謎解きをしながらミイラが眠る密室から20分内に脱出するゲームも展覧会の目玉の1つだ。会期は10月18日まで。

■エクセルシオール売却、オフィスビルに
銅鑼湾の高級ホテル、エクセルシオール香港(怡東酒店)がオフィスビルとして売却されることがわかった。6月6日付香港各紙によると、これは親会社である文華東方(マンダリンオリエンタル)グループが5日に発表したもの。すでに中国本土資本の企業を含め、いくつかの企業から引き合いがあるという。同社では身売りの理由について「オフィス需要の高まりを受け決定した。市場の反応を見極める試金石的な意味合いもある」と説明しているが、一方で香港酒店業主連会の李漢城・主席が「宿泊客の嗜好が変わった。清潔でwifiさえあればいいという客が多くなり、高級ホテルは敬遠されている」と指摘するように、利用者のニーズの変化もあるようだ。同ホテルは1973年竣工。2015年2月には26階建ての商業ビルに建て替える許可を屋宇署から受けている。

■強姦容疑のダーツバー店主に禁固刑
3年前に強姦罪で起訴されながら軽い刑罰となった男が、上訴法廷で禁固2年を言い渡された。6月7日付香港各紙によると、被告はダーツ競技の元選手で現在はダーツバーを経営している。3年前に知り合ったばかりの女性客に睡眠薬を飲ませた上、下着の上から性行為をして、強姦罪で逮捕された。被害女性の体内から睡眠薬が検出されたほか、陰部やパンティーに精液が付着していたにもかかわらず、昨年行われた裁判では被告が素直に罪状を認めたことや、スポーツマンとしての好成績、日ごろの熱心な仕事ぶりが評価され、裁判官は社会奉仕240時間の判決を言い渡し、これに対し世間や法曹界から軽すぎるとの批判が寄せられていた。その後、政府律政司が刑罰が軽すぎるとして再審理を申請。このほど高等法院の上訴法廷で禁固2年が言い渡された。

■駐在員の生活費、香港が東京抜き首位
海外駐在員の生活費ランキングで香港がアジアで首位になった。6月8日付香港各紙によると、これはコンサルティング会社のECAインターナショナルが、世界460都市の海外から赴任している駐在員の、今年3月までの1年間の日常的に購入する消費財とサービスの価格を調べ順位付けしたもの。昨年は東京に次ぐ2位となっていた香港だが今年は逆転してアジアの首位に、世界でもアンゴラ(アフリカ)の首都ルアンダに次ぐ2位となっている。同社のアジア地区代表は「香港の上昇は香港ドルが強い米ドルと連動しているのに対し、他地域の通貨が弱含みだったのが要因だが、加えて香港の物価高も影響している」と分析している。アジアでの香港、東京以下の順位はソウル、上海、横浜、名古屋と続く。

香港貿易発展局の元日本首席代表を表彰

香港日本人倶楽部で6月5日、在香港日本国総領事館の松田邦紀・大使兼総領事による古田茂美・元香港貿易発展局日本首席代表(現中国中山大学管理学院客員教授/日本北九州大学大学院マネジメント研究科特任教授)に対する在外公館長表彰式が行われた。これは日本と香港との経済関係の発展に大きく寄与した功績を表彰するもの。古田氏は1982年に香港貿易発展局に初の日本人スタッフとして入局。大阪事務所長、香港本局海外事業部日本課長を経て2005年7月に日本首席代表に就任。香港貿易発展局で日本関連部署に在籍した期間は30年に及び、うち約11年間は日本首席代表を務めた。特区政府が香港企業とともに日本各地で実施した「“think GLOBAL think Hong Kong”香港:国際化へのパートナー」で日本における香港のプレゼンスを拡大させ、日本の地方自治体・団体と香港との関係発展に寄与した。
(写真:楢橋里彩)

名門「南華」がプレミアリーグから撤退

香港サッカー界の名門クラブ「南華(サウスチャイナ)」が香港プレミアリーグから撤退することが6月5日、明らかになった。南華はその理由をユースプレーヤーの育成に注力するためと説明しており、自ら香港サッカー協会(HKFA)に降格を申請。5日にHKFAで行われた会議で申請が認められた。今季は5月末にすでに終了しており、8月末に開幕予定の来シーズンから1つ下の甲組リーグに参戦する。アジアで最初にプロリーグが創設されたという香港で、南華は100年の歴史を持ち、リーグ優勝は41回という輝かしい成績を残してきた。「少林寺」の異名でも呼ばれた南華のトップリーグからの撤退に、サポーターのみならず香港市民も大きな衝撃を受けている。折しも南華所属のスター選手・陳偉豪(ディフェンダー)が6月7日に旺角スタジアムで行われる香港代表対ヨルダン代表の親善試合=写真=をもって香港代表から引退することを表明し、スタジアムには多くの観客が詰めかけた。

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