第42回 スキンケア製造販売

第42回

スキンケア製造販売

 ひと口に「仕事人」と言ってもその肩書や業務内容はさまざま。そして香港にはこの土地や文化ならではの仕事がたくさんある。そんな専門分野で活躍する人 たちはどのように仕事をしているのだろう? 各業界で活躍するプロフェッショナルたちに話を聞く。
( 取材と撮影・武田信晃/月1回掲載)

ディレクターのエドモンドさん

香港独自の自然派ブランド

 香港には多くの化粧品、スキンケア・ブランドが進出しているが、香港独自のブランドもある。「bathe to basics」はEdmond Ipクリエーティブ・ディレクターとGia Foxソープバーテンダーの2人が2011年に創業した企業だ。

 「私自身、皮膚アレルギーがある体質です。学生時代の友人だったジアも肌に問題があって自然派の石鹸などを学ぶ学校に行き、自ら作ったものを私にもくれたのが始まりです」と語るのはエドモンドさん。元々は最近、休刊した英字紙『HK Magazine』などのデザイナーだったという経歴を持つ。

 最初はオンラインとショッピングモールなどで開かれるマーケットでの販売から始めた。そしてPMQがテナントを募集していることを知り応募。「客に西洋人が多かったですし、観光客も来るので当ブランドにはぴったりの場所でした。PMQに提出する資料やプレゼンテーションは非常に大変でしたが、幸い店を持つことになりました」と、創業時の苦労と喜びを語る。今では店での売り上げが全体の8割を占めるまでになった。香港市民と観光客の割合は半々で、平日は外国人観光客が多いが週末になると香港市民が中心となるという。

PMQにある店の外観

 「香港もアトピー性皮膚炎など、肌に悩みを抱える人は昔より増えています。大気汚染やストレスなどが要因です」と、日本と同じような状況になりつつあるようだ。商品は石鹸、シャンプー、ろうそく、デュフィザーまで幅広く、約50種類ある。これらはすべて大埔にある2000平方フィートの工場で、創業者2人がすべて手作りしている。「100%天然素材です。ライバルの外国企業と違い大量に作る必要がないので在庫の調整はしやすいです。3、4カ月販売して継続するか新しい商品にするのか判断を下します」

 「新商品のアイデアはいろいろあります。ブランド名にあるように、ベーシックな商品をどんどん作っていきたいですね。例えば、エッセンシャルオイル(198ドル)を見ると、『オレンジ』『ジャスミン』といった1つのにおいを表す商品はありません。その代わりにラベンダー、オレンジ、セージなどをブレンドした『MOONLIGHT』、ローズマリーとラベンダーが入った『WILDGRASS』など、1つの商品でも複雑な香りを楽しんでもらえることが特徴です」

エッセンシャルオイル

 16年にはPMQが東京ビッグサイトやヒカリエなど日本での展示会に出展を始め、bathe to basicsも参加した。「日本人は物を見る目がありますから、自分のブランドの立ち位置も知ることができました。日本ではB to Bのビジネスが中心でしたが、これからはB to Cの方にも力を入れていきたいですね」と、香港のみならず日本でのビジネス拡大に期待を寄せていた。

すっきりとディスプレーされた陳列棚

bathe to basics
所在地: S403, Block A, PMQ, 35 Aberdeen Street, Sheung Wan, Hong Kong
営業時間: 13002000

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