《47》重症? 軽症? その判断は?

《47》重症? 軽症? その判断は?

 症状の重い軽いは患者さんによってさまざまですが、何を基準として程度を判断するかはご本人が感じている痛みとは別のものとなります。実際のところ痛みはあまり重要ではありません。なぜなら痛みは何かの結果であり自分の体が自分の脳に対して発信している警告信号にほかなりません。初診検査を終えた時に多くの患者さんに「私の状態は深刻ですか?」と質問されますが、まだこの時点ではハッキリとお答えすることはできません。

 では、どの検査結果をふまえて判断するかというと、レントゲン写真です。カイロプラクティックドクターが重度か軽度かを判断するには、背骨のズレの程度よりも背骨自体の変形の進行具合によって判断する方が重要となってきます。

 膝や背骨など、骨の変形は一朝一夕で起こるものではありません。何年にもわたって異常なストレスを受けることによって少しずつ変形してきます。そして背骨の場合には骨の変形が起きていても痛みを感じていないケースが半数以上です。ですので、少し痛みを感じ始めたばかりでも、レントゲンを見たら骨の変形が進んでいて神経に圧迫を与え始めているということもあります。この場合では痛みをそれほど感じていなくても重症ということになります。

☆一度変形した骨は元の形には戻らないので注意

 背骨が変形して尖ってきたところを骨棘と呼びます。レントゲンに骨棘が写っていればそれだけで1015年前からそこに異常があったのだろうと推測します。レントゲンで自分の背骨が変形してきているということを初めて知った患者さんは驚いて「状態が良くなれば骨棘は消えますか?」と聞かれるのですが、残念ながら一度変形した骨は元の形には戻りません。一番大切なことは骨の変形が始まらないように(骨棘が伸びてこないように)することです。骨棘が伸びてくる原因には慢性的な炎症、腫瘍、奇形などがありますが、今ここで話しているのは慢性的な炎症の場合です。慢性的炎症が起きている時でも、立てなくなるような激しい痛みなどはありません。

①朝起きた時に腰が張っている、または首と肩が張っている、ベッドから起きて5分ぐらいすると動きも良くなってきてハリも引いていく。

②デスクワークをしていて休憩するために立ち上がろうとした時に腰に痛みを感じる。

 このようなわずかな痛み、ハリが慢性的炎症の典型的な症状です。当然わずかな痛みや軽いハリで病院に行く人は少ないですが、その間にも少しずつ背骨が変形しているのです。

 骨の変形を止めるためには背骨のバランスを整え、同じ個所に異常なストレスがかかるのを防がなければなりません。若い時からバランスを整えるという意識を持っていれば、のちのち骨棘が伸びてくる心配も少なくなります。痛みを感じていない時からバランスを整える意識を持つことが後の大事を防ぐことに繋がります。

(この連載は2カ月に1回掲載)

ドクター青(あお)

:D.C.(ドクターオブカイロプラクティック)パーマー・カイロプラクティック医科大学卒業。米国政府公認カイロプラクティックドクター、香港特区政府カイロプラクティックドクター免許取得。「Millennium Chiropractic Centre」勤務

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