ハラール認証とは?
そうした中、日本の出展者がイスラム圏のバイヤーからハラール認証の有無を確認されるケースが増えている。今回は、香港貿易発展局の浜口夏帆さんと共に、NPO日本ハラール協会の伊藤健さんに話を伺ってみた。
ハラールとは? ハラールとは「許された」という意味のアラビア語で、主にイスラム法で食べることを許された食物のことを指す。イスラム教徒は豚を食べてはいけない…というのは有名な話だが、このほかに、犬やロバなど、豚以外にも食用を禁止されているものは多い。アルコールも禁止されているが、酒そのもの以外にも、酢やみりん、酒精を含む調味料などもNG。天ぷら粉には衣のサクサク感を出すために、豚由来の乳化剤を含むことが多く、プリン、グミ、マシュマロ、口紅にも豚由来の素材が使われていることがあるそうだ。ハラール認証に合格するためには、これらの豚由来の素材を含まないだけではなく、生産設備を完全に分ける必要がある。 世界各国に複数のハラール認証機関があり、その規格も統一はされていないものの、マレーシアでは政府機関がハラール認証を行っており、規格も世界で2番目に厳しいものとなっている。今回取材したNPO法人日本ハラール協会は、そのマレーシア政府のハラール認証機関であるJAKIM(マレーシアイスラム開発庁)から正式に承認を受けたハラール認証機関で、最近、日本でもハラール認証が注目を集めているため、日々多くの審査を行っているが、合格率は5%程度なのだという。
ハラール認証に合格するのは、なぜそんなに難しいのだろうか? ハラール認証の審査においては、先に述べたような禁止されているものを含まないこと以外にも、生産設備が養豚場や下水処理場から5キロメートル以上離れていることなど、ほかにもさまざまな条件が求められる。このような厳しい規格を満たさなければハラール認証を取得できないので、非常に大変なことばかりのようにも思うわけだが、2010年の時点で約16億人、2030年には22億人になるといわれている世界のイスラム圏市場に参入する上で、ハラール認証は必要不可欠のものである。そして現在、イスラム圏では日本の食品に関心が高まっている。
イスラム圏で人気の日本食品 「例えば すし、ラーメン、うどんなどの日本食も注目を集めていますが、スポーツドリンクなどの飲料系が特に人気ですね。ラマダンの時は日中は水も飲めませんから、脱水症状になりやすいのですが、そういうときにスポーツドリンクを飲めばすぐに回復しますので、ラマダンの必需品となりつつあります。ほかに日本の栄養ドリンクや乳酸飲料なども好まれています」 「ラマダン」とはイスラム暦の第9月で、この月の日の出前の礼拝時間から日没までの間、イスラム教徒は飲食を絶つ。まさか「ラマダン需要」というべきものがあり、そこで海外の飲料が強みを持って参入できるとは思いもよらなかった。 「甘いもの好きの人が多いので、日本のお菓子やいなりずしも人気ですね。あちらでは肉をよく食べるので、BBQソースも好きです。日本の焼き肉のタレもウケると思いますし、肉を食べるときにワサビを使う人もいます。それと、イランは米食で、おこげが好きですね。だから日本のおこげができる炊飯器を買う方もいるそうです。肉好きで甘いもの好きとくれば、糖尿病になりやすいので、サプリメントや健康食品も注目を集めています。女性なら美容関連にも関心は高いですね」 イスラム圏と日本の食品は縁遠いものとばかり思っていたが、意外にチャンスは大きそうだ。ハラール認証の取得は簡単ではないものの、ハラール認証の取得を通じて、イスラム圏の習慣や、マーケットの需要を理解することもできる。イスラム圏は特殊な参入障壁があるものの、日本の製品が喜んで受け入れられる未開拓の巨大マーケットの1つではないだろうか。 (このシリーズは月1回掲載します) |
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