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最新号の内容 -20130426 No:1381
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最近の香港の不動産規制の動向 


 先日、ジェトロと日本商工会議所の共催で「不動産の規制・取引の動向セミナー」の講師を務めさせていただきました。香港では「200万ドルの住宅物件(新婚家庭や低収入家庭向けの標準的な住宅」がほとんどなくなったという現状があります。

 商業用不動産についても、店舗家賃の値上がりにより昔からあるお店が軒並み閉鎖になり、「このままでは、すべて宝石、化粧品、チェーン店のみの中国本土観光客向けの商売の店ばかりになってしまうのではないか」という市民の声も出てきています。
 こうした値上がりの背景として下記が考えられます

・80年代に生まれた人が成人し、住宅の需要が増大

・中国本土の資金が大量に香港に流れ、場所や値段を選ばずの不動産の買い上げ

・米国の低金利政策や世界的な金融緩和

 従来、香港での不動産市場のバランスをコントロールする手段は、①借り入れのパーセントを減らし、申請資格を厳格化②印紙税のレートを上げる——という方法でした。しかしながら従来の規制の効果がなくなり、市民の不満が高まる中、香港特区政府は2010年に初めて住宅物件を短期で売買した場合、特別印紙税(Special Stamp Duty)を掛けるという規制を導入しました。

 それでも不動産の過熱が収まらず、2012年10月26日、香港永久居民以外の個人や会社が住宅を購入すると一律15%の購入者印紙税(Buyer Stamp Duty)と共に特別印紙税の強化版が導入されました。これは主に本土住民が香港の住宅を購入するのを防ぐ目的がありました。

 今までの規制はすべて市民の生活に直結する住宅に関するものだけであったため、余ったお金は事業用不動産(店舗、オフィスなど)に流れていきました。そんな中、香港トップのデベロッパーの長江実業は、通常の住宅と変わらないにもかかわらず、まだ規制のなかった「ホテル」として売り出しました。そうすると特別印紙税も購入者印紙税の支払いも適応外となります。そのわずか数日後の今年2月22日、香港特区政府は、あらゆる物件に下記の規制を導入しました。
 

 

⑴2倍印紙税

 住宅、非住宅(商業、工業、オフィス、駐車場、ホテル)などすべての物件は、個人や会社を問わず、従来の印紙税が2倍となりました。初めて住宅を買う永久居民、昔住宅を保有していたが、今は保有していない永久居民、1件の住宅しか保有しておらず、現在の家を売り、新しい家を買う永久居民などの人のみ免除されます。

 

⑵事業用不動産(商業、工業、オフィス、駐車場、ホテルなど)印紙税の支払時期を住宅と同じにする。

 香港の不動産取引は、①臨時契約②正式契約③譲渡証書——の手順となります。

 従来、住宅物件は①の時点で印紙税が発生する一方、非住宅物件は、③までに払えばよかったのですが、今回の規制で、事業用物件も①の時点で、印紙税が発生することになりました。この規制で、資金調達の時間を減らし、コストを増やすことで、投機を防ぐ目的があります。


⑶事業用不動産(商業、工業、オフィス、駐車場、ホテルなど)の融資枠を引き下げ

 不動産融資は、住宅、商業、工業を問わず、融資期間が最大30年間まででしたが、事業用不動産の融資枠をさらに引き下げ、特に過熱感の強かった駐車場は、15年間の融資しか認められなくなりました。

(このシリーズは月1回掲載します)

 


筆者紹介

ANDY CHENG

弁護士
アンディチェン法律事務所代表

米系法律事務所から独立し開業。企業向けの法律相談・契約書作成を得意としている。香港大学法律学科卒業、慶應義塾大学へ留学後、在香港日本国総領事館勤務の経験もありジェトロ相談員も務めている。日本語堪能www.andysolicitor.com
info@andysolicitor.com