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最新号の内容 -20130412 No:1380
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堂島ロールケーキ香港に進出

 経済のグローバル化が進む中、自らの組織のために粉骨砕身するリーダーたち。彼らはどんな思いを抱き何に注目して事業を展開しているのか。さまざまな分野で活躍する企業・機関のトップに登場していただき、お話を伺います。                                                    (インタビュー・楢橋里彩)

株式会社モンシェール
代表取締役 金 美花さん

【プロフィール】
 1972年福岡県生まれ。92年東京にあるKorean Universityを卒業後、Fukuoka Korean Primary shcoolに赴任。2000年に退職後、知人の通訳サポートとして企業の海外(韓国)進出に携わる。03年9月有限会社サンドゥルオンを起業、11月には大阪市内の堂島にパティスリーモンシュシュ1号店を開店。10年5月には上海万博に出店、同年10月には海外1号店として森ビルに開店、13年4月に香港に出店。

 

——堂島ロールケーキといえば一重巻きですが、なぜこのような形に?

 最初からこれで売ろうとは考えていなかったんです。最初はごく普通の渦巻き状のロールケーキでした。誕生してすぐに半額セールをしたら予想以上の反響。ありがたいことに連日売り切れ状態。そこで思い切って 渦巻きの分の生地をカットしたんです。原価は上がりましたが個数を増やすことができました。本来生クリームは生地をつなぐ役割に過ぎませんが、うちは逆。生クリームがはみ出ないように生地で包むんです。


——製造過程にもこだわりがあるそうですね

 お客さまから「生クリームがみずみずしくておいしい」とおほめをいただくことが多いですが、牛乳のおいしさをそのまま残して作っているからなんです。私自身が生クリームが苦手なのでさっぱりした味にこだわりました。 湿地帯で育った牛と風通しの良い場所で育った牛の生乳をブレンドしたもので作っています。  


——今では全国24店舗。

 ホテルの通路にショーケースを置いたのが始まりです。大阪の繁華街だったので立地をうまく利用し、夜は午前零時まで電話1本で自転車で配達もしました。おかげでお客さんの顔も見えたし、皆さんの笑顔のために頑張ろうと自分を奮い立たせていました。オープンして9年たちますが、常にお客さんの感覚を持つようにしています。作るのは好きですが私はあえて作らない。それを始めたらこちらの事情で作ってしまうからです。


——中国初進出で上海を選んだのは?

 いつか海外の元気のある場所で勝負したいと思っていました。当時、上海万博直前だったので活気ある光景をテレビでみて興味がありました。その後、万博に出店しないかと声をかけられたんです。 


——なぜ香港からではなく中国本土で?

 実は私たちが戦略立ててビジネスをしていないからだと思います。他の方々がやってきたようにやろうという意識は全くなく、むしろ自分たちにとって一番良い手段は何か常に考えています。本土に先に出したのも万博期間中に上海の強いエネルギーを感じたからこそ、ここに出店したいと思ったんです。


——モンシェール的経営戦略とは 。

 私たちはあえてビジネス街、つまり男性をターゲットに出店することが多いです。というのも当社のコンセプトが「経済発展のために頑張っている企業戦士たちに安らぎを与えられるお手伝いを」なんです。 さっぱりしたクリームが男性に受けてそこから奥さん、ご家族にファンが増えていく。そのため上海では森ビル内に出店しました。これが当たり今年4店舗目を出しました。  


——日本と同じ質を維持するためには?

 一番の問題は乳製品で、生クリーム、バターは非常に難しいです。日本との差が出ないように最初の1年は日本から送って販売していました。でも東日本大震災の後、売り上げが70%ダウンで厳しい状態が続きました。撤退する企業が多かった中、あきらめたくないという現地スタッフの高い志のおかげで続いています。今は中国国内のよりすぐりの素材で作っています。


——香港のスイーツ事情をどうみていますか。

 主に生地を食べる渦巻きロールケーキがたくさんありますが、香港で一重ロールケーキの先駆けとして多くの人たちに食べていただきたい。特に香港は他のアジア諸国・地域と異なって特殊だと感じるので挑戦しがいがあります。


——どういうことですか。

 英国の影響もあって欧州のフランス菓子が多い気がします。生クリームやスポンジよりムースやチョコレートといったバターたっぷりで濃厚さが売りの商品が多い。 その一方でエッグタルトのような中国伝統菓子も根付いているので、面白い場所です。香港が私たちのケーキをどう受け入れるか楽しみです。


——香港進出にあたっての意気込みを。

 香港はアフタヌーンティー文化が根強くスイーツに対する意識がアジアの中では断トツに高い。香港オリジナル商品も作って、ここから新たなモンシェールの形を発信していきたいです。
(この連載は月1回掲載します)

 

【楢橋里彩】
フリーアナウンサー。NHK宇都宮放送局キャスター・ディレクターを経てフリーに。ラジオDJとして活動後07年に中国に渡りアナウンサーとして大連電視台に勤務。現在はイベントなどのMC、企業トレーナー、執筆活動と幅広く活躍中。