香港ポスト ロゴ
Google:
  サイト内 google
  ホーム
  読者の広場
  クラシファイド
  配布先一覧
  バックナンバー
   
 
 
 
 
最新号の内容 -20121005 No:1368
バックナンバー



サロンで垣間見る美意識の違い

 経済のグローバル化が進む中、自らの組織のために粉骨砕身するリーダーたち。彼らはどんな思いを抱き何に注目して事業を展開しているのか。さまざまな分野で活躍する企業・機関のトップに登場していただき、お話を伺います。
(インタビュー・楢橋里彩)


The Luxe by PRIVATE I SALON       
Artistic Director
 
沼山智宏さん

 

【プロフィール】
 全日本理美容コンテスト東京代表。有名人やセレブを多く抱える青山のヘアサロン、ビュートリアムに勤務。ファッションショーや雑誌撮影など経験後、2000年1月に来港。同店香港支店立ち上げマネジャーとして勤務。09年には自身のブランド「The Luxe by private i salon」を立ち上げる。
 
 
——サロンについて教えてください。

 2009年7月にネイルサロン、フェーシャル、ヘアケアセンター、日本の商品も販売しているローカルの大手美容グループ「Private i」と提携して共同出資でつくりました。
 
 
——その際にこだわったことは?

 一番こだわったのは席の配置です。多すぎるとお客さん同士の距離が近くなるので落ち着かない。そこで死角をつくって鏡から他の人が見えないような空間づくりを心がけました。日本だと横並びのつくりになっているところが多いですが、香港ではゆったりした自分の空間がほしいというお客さんが多いんです。
 
 
——香港のお客さんを意識してつくったんですね。

 香港でサロンをやっている以上、まずはローカルのお客さんに受け入れてもらうのが第一です。でも国際都市の香港なので基本的にはどの国の人にも心地よく過ごしていただけるよう心がけています。
 
 
——香港に来たのは?

 もともとは東京・青山のサロンで働いていましたが昔から海外で働くのが夢でした。自分の培ってきた技術がどこまで海外で通用するのか試したいというのもあって12年前に来ました。
 
 
——サロンはセントラルにありますが経営維持は大変では?
 
 確かに大変です。先日更新しましたが賃貸料が倍近くに上がりましたね。それでもセントラルにこだわりたかった。やはり東京の中心地でやってきた自分としてはどんな条件でも同じように挑戦したかった。まさに自分との戦いです。
 
 
——香港女性の美意識に変化は感じますか?

 12年前に来たときは、おしゃれな人はあまり目立たなかった気がします。ここ10年で本当に変わってきました。日本人女性はかわいらしさ、エレガントさを好みますが 香港人はエネルギッシュ、モード、クールな感じ。好みが根本的に違うのは見てて面白い。サロン内でも香港社会を垣間見ることが多々ありますよ。
 
 
——例えば?

 ヘアカットやブローの合間に食事を取る方もいるんです。またロングヘアのお客さんがショートにする場合、ミディアム、ボブにして少しずつショートを楽しむことを提案すると日本のお客さんは大体受け入れる。でも香港のお客さんはショートと決めたらショート。バッサリ切って、逆に少しずつ伸びていくスタイルを楽しむ。
 
 
—日本の技術、感性をそのまま導入するのは厳しいですね。

 来た当初は学びきれず仕事も厳しかった。それをこの店では繰り返したくなかったので必死です。香港のテナントビジネスは一般的に2〜3年で減価償却を終わらせて3年後の更新のときに賃貸料が2倍になったらあっさり引き払うことがあります。
 
 
——そんなに早く回収できるものですか?

 相当きついですが香港ではよく聞く話です。香港と日本のビジネススタイルの違いですね。でもここで店を出している以上、やり方を合わせなきゃいけない。ベースは香港スタイルでその中に日本のやり方を入れて中和させるようにしています。
 
 
——海外でビジネスをするのに大切なことは?

 ビジネスをやっててすごく感じるのはバランス感覚の大切さ。どちらも否定はできないし、どちらも足せない。どの割合が一番いいのかというのは、一つずつこなして自分で感覚を確かめていくしかない。次のステップを考えるためにも過去の失敗も挑戦もすべてが学びです。
 
 
——今後のビジネスビジョンは?

 上海、北京、シンガポール、マレーシア、インドネシアといったアジア展開を中心に進めていきますが、ゆくゆくは欧米も考えてます。香港はマーケットが小さいので一番ビジネスモデルがつくりやすい環境だと思います。
 
 
——香港でビジネスをする上で心がけていることは?

 香港のスタイルを注視しながら自分のオリジナルもつくっていく。同じものをやると負けますから、自分のコンセプトを持ちつつもバランスを常に考える。特にテナントビジネスとなるとどう回収できるか、しっかり見極めて動くことが大切です。
(この連載は月1回掲載します)

【楢橋里彩】フリーアナウンサー。NHK宇都宮放送局キャスター・ディレクターを経てフリーに。ラジオDJとして活動後07年に中国に渡りアナウンサーとして大連電視台に勤務。現在はイベントなどのMC、企業トレーナー、執筆活動と幅広く活躍中。