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最新号の内容 -20170407 No:1476
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 日本、台湾の音楽家から成る「Gracieux Trio(グラシアー・トリオ)」が来る4月23日に香港で初の演奏会を開催する。同トリオは2003年ニューヨークにて結成。翌04年のカーネギーホールでの公演、同年ニューヨークの国際室内楽音楽家賞受賞を皮切りに、米国各地でリサイタルを行って好評を博した。アジアにおいては台湾や日本(東京、札幌、富山、福井)を中心にリサイタルを行うとともに、室内楽のマスタークラス開催といった後進の指導もするなど、活発な演奏活動を行っている。

(文・綾部浩司/写真はグラシアー・トリオ提供)
 

呪いに最適な日「啓蟄」


 現在のメンバーは台北出身のグローリア・シー(ピアノ)、福井県出身の荒井亮子(バイオリン)、荒井結子(チェロ)。トリオ結成のきっかけはグローリアと荒井亮子が共に学んでいたニューヨーク州立大学ストーニーブルック校の恩師のアドバイスからだった。「それはまさしく運命的な出会いだった」と荒井亮子は当時を振り返る(トリオ結成当初のメンバーはこの2人と韓国人チェリストだったが、現在チェロを演奏するのは荒井の妹の荒井結子)。

 現在3人はニューヨーク、日本、香港にそれぞれの主な音楽活動拠点を置いているが、今回は日本公演を今月中旬に終えた後、初めての香港公演に臨む。

 香港ではまだまだ人気の少ない室内楽曲に対する関心の裾野を広げていくためには、いわゆる名曲コンサートのようなものではなく、強いメッセージがふくまれたコンサートであることが重要だ、と語るのは荒井亮子。なじみ深い作品やプログラムだけを演奏すると、むしろ聴衆には何も印象が残らない、もしくは一過性で終ってしまう可能性が多いという。一方、今まで聴いたことがないような本格的な作品に触れると、むしろすごい作品・素晴らしい音楽を聴いた、という強い体験意識や感覚が残り、それが音楽への興味の深まりや関心のきっかけになるそうだ。

 このたび演奏する2曲は彼らがいずれも学生時代に取り組んだ思い出の作品だが、今回メンバーそれぞれが全く新たな気持ちで臨むという。一曲目のショスタコービッチのピアノ三重奏曲第2番は70万〜150万人ものレニングラード市民が飢餓や寒さで命を落としたレニングラード包囲戦が解かれて約10カ月後の1944年1114日にレニングラードで初演された作品。当時のソビエトの厳しい社会環境を色濃く反映した息もつかせぬ緊張感を伴う作品だ。当時がどのような時代だったかというと、この初演とまさに同じ時、東京は初めてB29による本格的な大空襲に見舞われていた。

 二曲目のシューベルトのピアノ三重奏曲第1番は室内楽曲としては比較的珍しい40分を超える大曲であるが、いかにもシューベルトらしい清純でのびやかな歌謡の世界が繰り広げられ、あっという間に時間が過ぎていくことであろう。

 日曜の午後のひととき、こぢんまりとしたアットホームなホールで室内楽を楽しんでみてはいかが。

呪いに最適な日「啓蟄」

※コンサートの詳細は13面を参照