外国人就労管理の新制度
2016年9月27日付けで国家外国専家局は、外国人の就業管理に関する新制度として、「外国人来中就労許可制度の試行実施方案」を公布しました。これにより、北京、天津、河北、上海、安徽、山東、広東、四川、雲南、寧夏等10地域で、2016年11月から新規申請の場合、「外国人来中就労管理サービスシステム」を通して、新制度に基づいた運用がされています。前編では、従来の就業管理制度と「二証統合」による管理の違いについて記載しました。今回は、外国人の分類管理、ポイント制度の導入について説明します。 外国人の分類管理 今回の外国人就労管理制度において変更された重要なポイントとして、外国人の分類管理が実施されたことが挙げられます。外国人をA類、B類、C類と分類し、A類は、外国ハイレベル人材、B類は、専門人材、C類は、普通人材と区分して、その基準を明確にしております。A類は、国が奨励する人材であり、学歴、業務経験、年齢制限を設けていませんが、B類では、学士以上の学歴、2年以上の業務経験、年齢は、18歳〜60歳迄との制限が設けています。 C類の普通人材については、具体的には、国務院の関連部門、政府間協議で雇用された外国人、外国青年。ハイレベル人材に随行する家事サービス、遠洋漁業等特殊領域に従事する外国人になります。 左記内容から、日本人駐在員は、C類に分類されることは一般的にはないことになります。日本人駐在員は、A類もしくはB類要件で、就労許可証を取得することになります。 A類要件を満たす人材は、中国が奨励する人材であり、その標準も高くなっております。具体的なA類要件について以下の内容になります。 ⒈国内人材計画に選ばれた人材(国内人材誘致計画リスト上の人材89プロジェクト) ⒉国際的に公認された専業認定標準に達している人材(国際賞の受賞者、専業認定職位) ⒊革新・ベンチャー人材 ⒋優秀青年人材(35歳以下の世界トップ200の国外大学、国内の大学で博士学位取得者あるいは博士研究員) ⒌累計点数85点以上 A類要件をみれば、就労許可要項が厳しくなったとみることもできるかもしれませんが、実際は、二証統合前の専門家証取得者の要件が含まれる内容となっています。従来、就業証を取得していた現地法人への出向者は、一般的には、B類の条件を満たせばよいとのことになります。 では、B類要件について、具体的に記載します。 ⒈学士および以上の学位と2年以上の関連職歴があり、以下の規定の一つに該当する。
①教育、科学研究、新聞、出版、文化、芸術、衛生、体育等特殊領域の科研、教学、管理等業務の管理人員あるいは専門技術人員 ⒉中国国内の大学で修士および以上の学位を保有する優秀卒業生 ⒊国外のトップ100以内の大学で、修士以上の学位を取得した卒業生 ⒋外国語教員は、原則その母国語の語学教育に従事し、母国大学の学士以上の学位を保有し、2年以上の語学教育経験がある。その内、語学類、あるいは師範の学士号および以上の学位があるいは、所在国の教員免許、あるいは国際語学TEFL証書のある者は、教員経験の要求を免除する。 ⒌累計ポイントが60点以上の専門人員 B類の要件を満たす基本的な要件である1項目は、4年制大学を卒業し(学士)、2年以上の関連職歴があり、①〜⑤の条件に符合すればB類要件を満たすとしております。一般的な外資企業は、④の条件が適用され、中間層以上の雇用人員、もしくは、駐在員事務所の首席代表者、一般代表者であれば、B類要件を満たすことになります。 もし、1項の条件をクリアできなければ、2〜4項の条件を満たすかどうかになります。それらを満たさない場合、最終的には、5項目のポイント制度が導入されます。
A類、B類の各条件に符合しなければ、ポイント制により85点以上であればA類、60点以上であればB類に分類されます。C類については、ポイント制は導入されません。
まとめ 今回の新就労許可制度は、ポイント制度について注目が集まっていますが、ポイント制度については、A類、B類の他の条件を満たさない場合に、ポイント制度が適用されることが分かっていただけたかと思います。それでも、B類で、大卒以上の学歴が求められることについて厳しいのでは? との見方もございますが、従来も高卒者で、職務経験のない人材が中国で、就労許可を取得することは難しい状況がありました。今回の新就労許可制度は、それを明文化し、地域による基準のばらつきを統一したことに意義があります。 最後になりますが、今回の新就労許可制度でその他留意すべき点を2点程記載します。先ず1点目、必要書類の準備期間です。新規に手続きする場合、無犯罪証明書、学歴証明書を日本の外務省で公印を受け、在日中国領事館にて、領事認証が必要になっております。特に無犯罪証明書は、日本で最後に住民登録をしていた場所の所轄警察署にて、取得まで1—2週間程度かかります。日本本社側では、就労許可取得時間を考慮した出向計画を考慮する必要があります。もう一点は、今回の新就労許可制度で、対象となる外国人に、香港、台湾、マカオ居民は、含まれておりません。香港、台湾、マカオ居民については、『台湾・香港・マカオ居民国内就労管理規定』(2005年10月1月施行)が引続き適用されることになります。 (このシリーズは月1回掲載します)
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