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最新号の内容 -20170210 No:1472
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ドル高で不動産不況に!?

 海外に居住している日本人だけでなく、ボーダレスの時代、どこに居住していても為替動向は気になるものである。仕事上、輸出入業務に携わる方だけでなく、得意先の仕入れ額や売上高が為替相場によって左右される時代である。また海外旅行や訪日観光客への影響もある。そんな中、今年は為替相場に波乱の予感がする。
(ICGインベストメント・マネジメント代表・沢井智裕)


 4年ちょっと前までは1ドル(米ドル)=80円台を割れていた時代が懐かしく思い出されるが、アベノミクスのもと日本銀行の量的拡大により円安が進行し、2013年5月には1ドル=100円台を突破。そして円安に拍車が掛かったのが14年7月以降で、これは米国の利上げ問題が持ち上がり、米FRBが利上げを積極的に進めるのではとの見方から14年末には1ドル=120円台を突破した。日米金利差の拡大が背景にあったが、その後は米短期金利がなかなか引き上げられなかったことから、1ドル=100円近辺まで円高ドル安に引き戻される。面白いのはこの5年弱、為替はほぼ全て日米金利差を意識して動いていることである。これは今後の為替相場を見ていく上で非常に重要なポイントになってくる。

 ドナルド・トランプ氏が昨年11月の大統領選挙で勝利してから為替市場ではドル高が進んだ。トランプ氏の政策が公共事業を中心に米経済を活性化させようという動きがあり、米財政悪化懸念とインフレ懸念が重なり、金融引き締めに動かざるを得ないとの見方が台頭したからだ。歴史的に見れば各国中央銀行のメインの仕事はインフレを抑制して物価を安定させることであったが、日本ではここ20年以上金利を上げる機会などなかった。日本銀行はこの20年間で2度引き上げに動いたが、いずれも失敗してゼロ金利、もしくは量的緩和政策に逆戻りさせられた。米国でさえ08年のリーマンショック以降、金利を引き上げたのは15年末と16年末の2度だけであった。


ビットコインに買い

 もし今後も金利差が為替相場を決定する大きな要因になってくると判断するならば、利上げの可能性が高い米国のドルが買われやすい傾向は今後も変わらないかもしれない。17年1月12日現在で為替相場は1ドル=116円台。今年も米利上げが継続して行われるという前提のもとでのドル高であるのだが、筆者が少し懸念していることがある。それは仮想通貨ビットコインに人気が集中している現象である。米国の金融情報会社ブルームバーグによると、誕生して8年になるビットコインは1311月に付けた1137ドルを上回り、今年1月初旬には1140・64ドルに達した。時価総額は昨年12月に記録を更新し、現在は161億ドルを超えている。

 背景を深読みしてみると、トランプ大統領が就任してから公共事業が活発化するとする。そうなると前述した通り、FRBは金融引き締めに動きドル高が進展する。まずドル高は米企業の業績悪化に繋がる。つまり景気の腰折れ懸念だ。そしてもう一つは米財政悪化によるインフレ懸念である。国民の給与の上昇幅よりもインフレ率が高くなれば、これまた景気の腰折れ懸念となる。つまりトランプ大統領の誕生で金融市場は手放しで祝福しているが、いいことばかりではないかもしれない。

 そのトランプがジョーカーになった時のヘッジとしてビットコインが買われているのかもしれない。この半年間でビットコインが買われたのは中国本土、インド、そして新興国の投資家でドル高によって自国通貨安に苦しめられた国々である。ドル高が継続すると世界経済にはマイナスとなる可能性もある。


世界的な不動産不況も

 さらに問題は世界の不動産価格である。香港では不動産価格の下落を予想する大手金融機関がある。米シティバンクは今年の香港不動産価格が約15%下落すると予想しているし、不動産仲介業大手の中原集団の施永青・会長も今年の香港不動産価格が8〜13%程度下落すると予想している。トランプ大統領の出現は、世界的なレベルで見ると超低金利時代に終止符を打ち、デフレ経済をインフレ経済に転換させるリスクが伴うのだ。

 米国の利上げが相次ぐと、新興国も通貨防衛の必要が出てくる。金利引き上げは当然、住宅ローン金利引き上げに繋がり、不動産市場にも悪影響を及ぼす。長期間にわたって低金利に慣れてきた個人投資家は、不動産投資には十分に気を付けなくてはならない時代に入る。かつて90年代に日本がバブル崩壊で銀行の不良債権が深刻化した。あの当時と違うのは現代はボーダレス化し、ニューヨークやロンドン、香港、シンガポール、東京等の首都圏の不動産価格が同時に上昇し、高止まりしている点である。一つの都市の不動産価格が崩壊すると、連鎖的に他の都市部の不動産価格にも大きな影響を及ぼすことになる。世界の超富裕層は各国に分散投資しているため、それぞれの拠点から資金を引き揚げて現金化を迫られるかもしれない。

 米国の短期金利(FFレート)は昨年12月に0・25%引き上げられて0・5〜0・75%が誘導目標となった。今年FRBが予告通りに3回利上げを実施すると1・25〜1・5%にまで短期金利が上昇することになる。住宅の購入に1億円の融資を受けると金利負担は2倍程度に跳ね上がる。年間の利息が75万円の支払いが150万円に跳ね上がる。二束三文の利払いに慣れっ子の投資家にとっては、リスク投資に二の足を踏むはずである。ましてやレバレッジを効かせて投資している場合は尚更ダメージは大きくなる。

 つまりトランプ相場で株価が上昇した、為替が円安に動いた、と手放しでは喜べない時代に突入した。トランプ氏が大統領として始動してから、恐らく実現できる政策と出来ない政策がはっきりとしてくる。今年3月には米国では債務残高の上限問題も浮上してくる。米国はこれ以上の借金をしないと法律で定めているが、果たして結末はどうなることやら? トランプ氏の行動が世界経済に大きな影響を与えることは間違いない。

 

トム:自民党がまだ政権に居座っているから、日本の未来は絶望的だよな。

ジェリー:一昨年末の韓国との「従軍慰安婦問題」も元慰安婦への10億円の見舞金と引き換えに世界に建立されている慰安婦像の撤去という約束であったにも関わらず、韓国側が一方的に慰安婦像の建立を進めてきた訳だから、韓国を攻めるよりも、自民党の対応がおかしかったわよね。 

トム:そうそう、元々解決する訳がない問題なのだから、放っておけば良かったなんだよな。今になって裏切られたって、バカじゃないの? 日本のメディアは安倍さんのことを右派だ、右翼だって責め立てるけど、政治活動を見ていたら、こんなの完全な「中道政治」だよな。

ジェリー:民進党のような左派から見ると、「中道政治=右派、右翼」に見えるのよ。もし自民党が右派政党ならば、従軍慰安婦問題などに妥協せず、10億円の拠出はなかったはずよね。またトランプ氏の勝利後に安倍さんがイの一番に訪米したでしょ? あれって第一次安倍政権のキャッチフレーズ「戦後レジームからの脱却」を大きく逸脱しているよね。

トム:対米追随政治の継続で「戦後レジームの再確認」になってしまったよな。そうそう韓国に渡している10億円も金利を付けて返してもらいたいよな。米ドル建てで貸し出している訳だからきちんとFFレートに連動させてくれよな。

ジェリー:いやだわ、今年3度の利上げがあったとしてもたったの0.75%幅でしょ。

トム:何を言ってるんだ。1円を笑うやつは1円に泣くのだ。

ジェリー:ふる〜い格言ね。ここは健全な右派の取り立て屋の腕の見せ所ね。

 

FFレート】 

 米国の中央銀行で12行ある連邦準備銀行の統括機関である連邦準備制度理事会(FRB)が、短期金融市場を操作する目的で調整する政策金利のこと。金利の変更は連邦公開市場委員会(FOMC)で決定される。1512月にFF金利が0.25%引き上げられてから、1612月にも2回目の0.25%引き上げが実施され、FF金利の誘導目標は0.50.75%となった。FRBは今年「3回の利上げ」を予定しているが、仮に実現すればFF金利レート1.251.50%まで上昇する。1990年には一時8%台を付けていたFF金利も08年のリーマンショック以降の世界的な超低金利を背景にゼロ金利、量的緩和の時代が長期化したが、今後はデフレ脱却とインフレ懸念を背景に高金利時代を迎えることになるのかもしれない。
 

 筆者紹介

沢井智裕(さわい・ちひろ)
ICGインベストメントマネジメント(アジア)代表取締役

ユダヤ人パートナーと資産運用会社、ICGインベストメントマネジメントを共同経営。ユダヤ系を含め約2億米ドルの資産を運用する。2012年に中国本土でイスラエルのハイテク企業と共同出資でマルチメディア会社を設立。ユダヤ人コミュニティと緊密な関係を構築。著書に「世界金融危機でも本当のお金持ちが損をしなかった理由」等多数。
(URL:http://www.icg-advi sor.net/)

※このシリーズは月1回掲載します