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最新号の内容 -20170120 No:1471
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香港メディア招聘 
福島視察リポート②

 東日本大震災が起こってまもなく6年がたつ。今もなお、福島をはじめとした、栃木、群馬、茨城、千葉の5県に関しては、野菜、果物、牛乳、乳飲料、粉ミルクなどの輸出規制がされている。多くの問題と課題を強いられているなか、復興・再生に向けて取り組んでいる福島県では福島県・ふくしま地域産業6次化推進協議会主催による「香港メディア招聘事業」が1025日〜28日に行われた。本紙、地元新聞「東方日報」、コラムニスト・日本酒利き酒師として活躍するメイ・ラム氏が招聘され、様々な場所を視察、取材してきた。
 

 シリーズでお届けする「福島視察リポート」、2回目は福島県を代表する農林水産物「肉」「米」「酒」にクローズアップする。震災前に比べて産出額が一時的に落ちたものの、再生に向けた取り組みや県産農林水産の魅力と安全・安心にむけたPR活動は今も活発に行われている。2015年には県やJR、地元自治体、観光事業者が連携し、大型観光キャンペーン「福が満開、福のしま」を開催したこともあり、震災前の約9割にまで観光客入込数が回復している。今回は県外、海外観光客からも人気の高い、福島県産ブランド肉を取り扱うJA直営焼肉店「牛豊 八山田店」と、会津若松にある創業150年以上の歴史を誇る酒造会社「末廣酒造」を視察した様子を紹介する。
 

①JA全農福島直営店舗 牛豊 八山田店

フードエキスポ2016

支店長の橋本さん(右は筆者)

  焼肉店「牛豊」は、地産地消を推進し福島県産の肉を取り扱う。代表的な福島県ブランド肉「福島牛」。2015年に東京都中央卸売市場食肉市場で開催された第17回全農肉牛枝肉共励会(JA全農主催)においては、「福島牛」が最高位の名誉賞を受賞している。

 また良質な黒毛和種を父に、増体系のホルスタイン種を母にもつ交雑種ブランド「ふくしま煌牛」。ともに色鮮やかで、良質な霜降り、柔らかな肉質が特徴の福島県が誇るブランド肉だ。これらはすべて放射能検査を受けており、入念な検査のもと出荷される。さらにトレーサビリティシステムを導入しているため、牛の出生から肥育、出荷までの流通ルートが明確にわかるようにしており、安心・安全性だけでなく、産地偽装対策を徹底することでブランド価値を高めている。

 さらに県内指定農家による「限定生産」されているのが、麓山高原豚(はやまこうげんとん)だ。より良質な脂肪と旨みと風味を引き出すため、仕上げ期の約2カ月間、とうもろこしを主原料にマイロ、小麦、キャッサバ、えごま、木酢酸などを配合した特別な飼料により育てられる。口に入れると風味とともに濃厚な肉汁が口の中で広がる。これには香港メディア一同もおいしさにうなっていたほどだった。肉だけではなく、甘みと弾力のある「福島県産のコシヒカリ」を使用するなど、地産地消の元、福島の復興、風評払しょくを目指す。同支店店長の橋本謙治氏は「震災直後からしばらくは厳しい状況だったが、ここ数年でお客さんが戻ってきた。今では県外や海外からのお客さんも増えているのがうれしい。よりおいしさを追求した福島の肉を提供していきたい」と話した。

 

福島県が誇るブランド肉

 原発事故の影響を受け、大幅に減少した農家戸数や飼養頭数。牧草地の除染や放射性物質吸収抑制対策をさらに進め、家畜施設の整備など畜産クラスターの仕組みを活用。こうしたなか、震災年には畜産産出額が541億円から一時は下がったものの(388億円)、徐々に回復しており(2013年現在は)441億円に回復している。畜産収益と生産向上にむけて取り組んでいる。

 

②酒造会社「末廣酒造」

フードエキスポ2016

歴史を感じる造り酒屋

 今年6月に行われた「平成27年度酒造年度全国新酒鑑評会」で金賞受賞数4年連続日本一に輝いている福島県。これは独立行政法人酒類総合研究所と日本酒造組合中央会の共催で行われる国内最大規模の新酒鑑評会で、明治44年から続く歴史的な品評会だ。東日本大震災以降厳しい状況が続き風評被害にあいながらも根強い人気の福島県の地酒。福島の酒のおいしさ、魅力がわかる場所のひとつに会津若松市にある「末廣酒造」がある。同社が位置する会津若松は磐梯山に囲まれた自然豊かな場所。会津の米、天然水で造られる酒は香りが豊かでまろやかな味わいが特徴だ。

 1850年創業、江戸時代から150年近くにわたって続く老舗酒造会社である「末廣酒造」は、昔ながらの伝統的技法を守りながら、有機肥料、米にもこだわり最先端技術との共存により、さらに進化を遂げている。原料米、仕込み水などは放射性物質の検査も徹底しており、検出結果は常にホームページに発表し、安心、安全を訴える。木戸のエントランスをくぐりぬけるとそこには天井の高い広々としたホールが目の前に現れた。重厚感のある趣に香港メディア陣も興奮を隠しきれない様子だった。ここは観光地の一つとして酒造見学(無料)が毎日行われている。この日も朝から観光客で賑わっていた。

 

試飲を勧めながら説明をする庄司さん

 

 

 まるでタイムスリップしたかのような空間で見学ツアーが始まる。説明をしてくれたのは同社お客様サービス部マネージャーの庄司健氏。仕込み蔵、酒米の種類、展示室、コンサートホール、など歴史的建築物のなかを説明を聞きながらじっくりとまわれるのも人気の秘密だ。奥には映画「寅さん」シリーズの監督だった会津湯川村出身の故高羽哲夫氏の遺品の数々の展示スペースも設置。ぜいたくな時間を味わうことができる。

 2016年9月には「福島県秋季鑑評会」吟醸の部では「大吟醸 玄宰」が最高賞となる「知事賞」を受賞している末廣酒造。ちょうど我々と同じ時間帯にきていた東南アジアからの観光客に話をきくと皆口々に「酒造工程をみるのは初めて。福島の酒はおいしいので今回のツアーは楽しみにしてきた」とのこと。

 福島ブランドの酒は海を越えた海外でも高く評価されている。 
 

(このシリーズは月1回掲載します)

 

 

【楢橋里彩】フリーアナウンサー。NHK宇都宮放送局キャスター・ディレクターを経てフリーに。ラジオDJとして活動後07年に中国に渡りアナウンサーとして大連電視台に勤務。現在はイベントなどのMC、企業トレーナー、執筆活動と幅広く活躍中。

ブログhttp://nararisa.blog.jp/