経済のグローバル化が進む中、自らの組織のために粉骨砕身するリーダーたち。彼らはどんな思いを抱き何に注目して事業を展開しているのか。さまざまな分野で活躍する企業・機関のトップに登場していただき、お話を伺います。 (インタビュー・楢橋里彩)
観光客の誘致で開局50周年
香港の観光やMICE(会議、展示会)といった目的として多くの方に香港に行っていただくためのプロモーションをしています。主にはテレビ特番や雑誌の特集、またデジタルといったコンテンツやソーシャルメディアを通して情報拡散するということですね。
——7月に御支局は開局50周年を迎えましたね。
この50年を振り返ると、香港の観光業だけでなく海外旅行産業自体も大きく変わりました。香港と日本を結ぶ就航路線も拡大しておりますが、こうした状況は他国では見られないほど大きな変化を遂げていると思います。
——50周年キャンペーンの一環として様々なイベントを用意していますね。
香港では1月から観光用の2階建てオープントラム「TramOramic」の運行がはじまりました。実はこれは世界で唯一の観光用の2階建てオープントップトラムです。乗車時間は1時間で、日本語の音声ガイダンスついていますのでご安心してお楽しみいただくことができます。11月のウィンターイルミネーションが美しくなる時期にあわせて日本から観光客専用に無料でこの観光トラムを走らせる調整をしています。冬のある特定期間1日1回、夕方の時間帯に特別に運行する予定です。この特別期間中に香港に渡航される日本からの観光客の方でしたら、どなたでも無料でご招待しようというものです。(※乗車には予約などが必要)
——香港への旅行者の傾向はどうですか。
圧倒的に増えているのは20、30代の女性です。週末やちょっとした休暇を使って行くには最高の場所ということもあり、台湾と並んで人気観光地ですが、香港は特に今20〜40代を含めた働く女性層が一気に増えています。私たちはこの世代を「OL層」と呼称していますが、普段は仕事をしているなかで短い週末を利用して気分転換に海外に行くという人が増えています。現在行っている香港観光のプロモーションも、そこに焦点を当てておりまして「アガる香港」キャンペーンを行っています。
——なぜ女性をターゲットに?
女性のほうがトレンドセッターであるということが挙げられます。女性をいかに魅了して、香港の魅力を普及していけるかというのがひとつキーになっています。ちなみに香港に行く旅行者の6割はリピーターです。この6割という数字は他国に比べると多く、まさにリピーターに支えられている観光地といっても過言ではありません。そして香港といえばグルメですね。長い植民地時代を経て作られた香港独自のスタイルの食文化が根付いており、こうしたローカルフードは観光客にも人気が高いです。今私たちが注目しているのが、ミシュランガイドにも取り上げられたカジュアルに食べられるローカルフードです。
——昨年発表された「香港マカオ ミシュランガイド2016」に新たに作られた「ストリートフード」枠のことですね。
そうです。これらは値段が高くかしこまった場所ではなくて、地元の人たちに昔から馴染のある庶民的な味を楽しめる店です。香港のリビングカルチャー情報は日本ではあまり知られていなことが多いんですね。うまく認知を高めていくにはどうしたらいいか。そこで登場するのがキーオピニオンリーダー「超級香港迷(スーパーホンコンマイ)」なんです。
——どんなものなのですか?
香港迷とは広東語で香港のファン、すっかり香港にはまっている人という意味です。その中でもメディア等ですでに香港の情報を常々発信していただいていらっしゃる方々を「超級香港迷」としてご協力いただいております。日本国内で香港にまつわるトークイベントや講演活動、メディアでの香港観光の記事などを通して、香港の旅やオススメのスポットを発信していただいております。香港は西洋と中国文化が融合している国際的な場所で、新旧が混在しているので街並みは、とてもユニークです。まだ香港を知らない方も、香港の歴史と今を感じていただきたいです。 (この連載は月1回掲載します)
【楢橋里彩】フリーアナウンサー。NHK宇都宮放送局キャスター・ディレクターを経てフリーに。ラジオDJとして活動後07年に中国に渡りアナウンサーとして大連電視台に勤務。現在はイベントなどのMC、企業トレーナー、執筆活動と幅広く活躍中。 |
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