課文223「中国茶をたしなむ」 かぐわしいティーバッグ
私は中国茶をたしなむ。ひとがワインにハマるくらい、もしくはそれ以上に中国茶にハマっている。九龍城にある中国茶屋さんで修行もしたし、お茶農家も見て歩いたし、『茶経』という中国茶の集大成のお勉強もした。一旦始めたことは自分が納得するまでする。つまりしつこい。 そんな私にとって中国茶とは、茶葉を吟味して、きちんと淹れるもの。急須などを使うのが一番だけど、百歩譲っても、瀬戸物のカップに茶葉を入れてその茶葉にふさわしい温度のお湯を注いで飲む。ペットボトルのお茶は成分を見ても「茶葉と水だけ」というのはないから論外。一般的なティーバッグの中国茶は、びっくりするほど安い値段だから仕方がないのかもしれないけど、あれが本当の中国茶や! と思われたくはない。これは「中国茶LOVE」。 でもね、そんなティーバッグの中国茶にも、おいしいのがある。それが、今回ご紹介する「天仁銘茶 高山烏龍茶」。出合ったのは20年ほど前に宿泊した台北の繁華街の中心にある地元の人のためのビジネスホテル。当時、中華系の地元ホテルでは、茶筒に入った中国茶と蓋つき瀬戸物のカップ。また、お湯の熱さをキープできるポットはなく、二重構造の水筒のお湯が冷めるたびに熱いのをもらっていた。なのに、そのホテルの部屋にはウォーターサーバーが付いていた。いつでも熱いお湯が手に入る。 このホテルのオーナーは、よっぽど中国茶をきちんと淹れて飲んでほしいねんなー、と思った。なのに、中国茶は、茶筒ではなく、このティーバッグが置いてあった。なんでやろう? 不思議に思い、飲んでみてびっくり。中国茶葉を使い、ちゃんと淹れたのと区別がつかないほどのおいしさやった。お湯を注いだ時にあたりに漂うかぐわしさ、口に含んだ時に鼻腔に抜けるふくよかさ、飲んだ後に口の中に残るさわやかさがしっかりあった。 なんでやろう? とティーバッグを分解して中の茶葉を見た時にその理由が判明した。茶葉が砕かれることなく、原形を留めたまま。つまり、きちんと淹れるときに使う茶葉がティーバッグで包んであるだけのものやった。 めっちゃええやん! 個装なので劣化しにくいし、持ち歩きにも便利! そのころは台湾でしか買えなかったので、行くたびに大人買いしていた。それが今では香港のスーパーでも手に入るからうれしい限り。注意事項がひとつ。烏龍茶は、おなかが空いたときに飲みすぎると「茶酔い(胃が痛くなる)」するから気をつけてね。 (このコーナーは月1回掲載) 筆者・楊さちこ
1961年大阪生まれ(国籍:日本)
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