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最新号の内容 -20160902 No:1462
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スマホカバーがヒット商品に

 

 経済のグローバル化が進む中、自らの組織のために粉骨砕身するリーダーたち。彼らはどんな思いを抱き何に注目して事業を展開しているのか。さまざまな分野で活躍する企業・機関のトップに登場していただき、お話を伺います。(インタビュー・楢橋里彩)

 

インタビュー

ECBB株式会社

代表取締役 松浦康裕さん

【プロフィール】

 1973年、東京都出身。1996年、日本の大学を卒業後、起業を志し渡米、3年間、ニューヨークでネットビジネス起業に挑むも大きな結果に繋がらず、帰国後の1999年、Web制作会社を起業。ネット事業から多角化し、ネットソリューション・マーケティングのECBB株式会社を立ち上げる。その後、香港をベースに中国、アジアにフォーカスして活動。2011年に香港にて法人設立後、第1弾プロダクトiPhoneケースPalmoを商品開発。

 

 

 

——開発されたスマホカバー「Palmo(パルモ)」はシンプルな作りで、とてもカラフルでおしゃれに仕上がっていますね。

 

 商品名の「パルモ」は私が付けました。手のひらって英語で「Palm(パルム)、これにスマホの「Mobile(モバイル)」を掛け合わせて作った造語です。私自身がiPhoneのヘビーユーザーなので、もっと機能的で使いやすくならないかと考えて作りました。

 

——実際にパルモでカバーしてみた感触ですが、片手で軽く持っても手から離れない密着感はすごいと思います。

 

 そう言っていただけると嬉しいですね。このカバーはシリコン製なんですよ。見たらお分かりのようにカバーはX状になっていて、その隙間に指を入れます。i-phone本体を直接感じることができる上に、負荷をかけずに片手で簡単に持つことができます。また落とすと四隅に傷がつきやすくなりますが、シリコン製なので落としてもしっかりカバーしています。およそ3年かけて作りました。

 

——体にも優しいということですが、どういうことですか。

 

 パルモがいかに体に良いか、健康を損なわないか、実験して立証すべきだと思い、専修大学スポーツ研究所所長の佐藤雅幸・教授にご協力いただき様々な実験をしました。たとえばパルモを使用した場合とそうでない場合(他の従来型カバー使用)の時の手の温度をサーモグラフィを使って測ると、通常、スマホを持つときは手に力をいれているため手の温度が上がるのですが、この実験をした結果、パルモを使用した場合は、総じて温度が上がりにくいという結果が得られました。そのため体(指、首、背中)へのストレスの軽減に繋がり、結果として「テキスト・ネック」「親指の検証面」「小指の変形」になるスマホ現代業の阻止、予防に有効ということが分かったのです。

 

——昨年2月に日本で発売以来、瞬く間に話題の商品となり同年9月には「グッドデザイン賞」を受賞しましたね。

 

 香港、中国本土と向き合い始めて3〜4年間、地道に取り組んできた結果を出せたことに涙が出ました。受賞してからは様々な場所、国から展開のお話を多く頂いています。香港への進出は最初に決まり、5月に中環にある複合施設PMQで出したのですが、思いのほか大好評でした。すぐに尖沙咀、銅鑼湾の「グッドデザインストア」に置かせて頂いています。今後はサイズの種類と色をさらに増やしてアジア、世界展開を進めていきます。

 

——香港経済は厳しい状況で、特に小売業は打撃を受けています。そんななか香港での売り上げを伸ばしていますね。

 

 海外に進出する上で大事な要素は「焦るな、時間をかけろ」ということです。それぞれ異なる環境にいるので一概にいえませんが、何に挑戦するにもリスクを抑えてできる限り勉強とトレーニングの経験と場数を増やすことです。不況だとかモノが売れないとかいわれている時代にもかかわらずパルモはヒットしています。昨年2月に販売をスタートして累計5万個超えました。年内に10万個を超えると予想されています。

 

——その強みは何なのでしょう。

 

 香港を拠点にITの力を使って日本と中国本土をつないでモノを作ることをしようと覚悟をもって来ました。今はネットの普及、グローバル化によって、個人、中小企業、小資本でモノを作って世界へ挑める時代になりました。具体的には中国製造の活用やSNS(ソーシャルメディア)、コマースプラットフォーム、Amazonなど各国の主要ECプラットフォームを使うことによってよりグローバルに事業を展開することで、日本の個人、中小企業でも世界と戦えるようになったと思います。私は日本が世界に通用するものの一つとして「文化」に鍵があるように感じています。細やかで使う人を考え抜かれたデザイン、アイデア、こだわり。これは日本人が世界と戦えるかもしれない強みの一つなのではと考えています。それを活かした「モノ」を作れば必ず売れると信じています。時代の流れを言い訳にしてはいけないと思いますね。

 

(この連載は月1回掲載します)

 

【楢橋里彩】フリーアナウンサー。NHK宇都宮放送局キャスター・ディレクターを経てフリーに。ラジオDJとして活動後07年に中国に渡りアナウンサーとして大連電視台に勤務。現在はイベントなどのMC、企業トレーナー、執筆活動と幅広く活躍中。

ブログhttp://nararisa.blog.jp/