ベトナムビジネス・会計税務入門⑥
(NACベトナム事務所)
1労働許可書の取得 ベトナムで働く外国人労働者は、原則として労働許可書を取得しなければなりません。労働許可書の期限は最長2年です。なお、有限会社の出資者、または所有者、株式会社の取締役構成員、ODAに従事する外国人労働者は労働許可書の取得を免除されています。 雇用者は、外国人労働者の新規・追加・代替採用予定日の少なくとも30日前までに、管轄の労働傷病兵社会局に対して、外国人労働者の雇用の必要性を説明する報告書を提出し、書面による承認を得ます。この承認は人民委員会が発行します。法令上、提出から15日営業日で承認が下りますが、外国人労働者の雇用に関する説明が不十分な場合、再度説明を求められるケースもあります。 外国人労働者の雇用に関する承認が下りた後、勤務開始日から少なくとも15日以上前に労働傷病兵社会局に労働許可書の新規取得申請を行います。申請には、規定フォームによる申請書以外に、以下の書類を準備する必要があります。
①警察証明書(無犯罪証明書) 上記①の警察証明書は、過去にベトナム滞在歴がある場合、ベトナム司法局が発行する司法履歴書、および日本などベトナム滞在以前に居住していた場所の管轄機関(日本の場合、警察)が発行する無犯罪証明書の両方を提出しなければなりません。 ②の健康診断証明書は、ベトナムにある指定病院で労働許可証申請用の健康診断を受診し発行してもらいます。 ⑦の経歴・学歴を証明する書類については、ベトナムにおける管理者、専門家、技術者のいずれかのポジションにより求められる書類が異なります。 ⒜管理者、マネージャー ・過去に管理者以上の経験があることを示す証明書(雇用契約書、任命書など) ⒝専門家 下記いずれかの書類 ・大学以上の学歴証明書およびベトナムで従事する業務に関連した3年以上の職務経験を示す証明書 ・国外で専門家であることを認められた証明書 上記⒝における学歴証明書は、ベトナムで従事する業務に関連の無い専攻の証明書の場合、学歴証明書として認められないケースがありますので、注意が必要です。 なお、近年労働許可証を取得せず、不法に就労している外国人が増加しています。ベトナム当局も厳しく取り締まっており、最悪のケースでは強制退去もありえますので、就労する場合は、必ず労働許可証を取得しましょう。
また、法人および駐在員事務所ともにベトナム人雇用義務はありませんので、外国人のみで運営することも可能です。 スタッフの雇用に関し、試用期間を設けることができます。労働法第27条によると、高度な技術を持つ者(短期大学卒業以上の学歴レベル)に対しては最長60日間、技能を持つ者(専門学校卒業レベル)に対しては最長30日間、その他の者については6日間となっています。試用期間の給与は、少なくとも正規雇用時の給与の85%でなければなりません。また試用期間中は、会社側、労働者側の双方とも、事前通告無しにいつでも契約解除をすることができます。
①無期限労働契約書 ベトナムでの定年は、男性60歳、女性55歳となっています。従って①の労働契約書を締結した場合は定年となる歳までの契約となります。 労働契約書には、契約期間、勤務時間、給与、勤務地等の労働条件を記載します。以前は、労働契約書のフォームを労働局で購入しなければなりませんでしたが、現在は、フォームに沿ってワード等で作成するケースが殆どです。労働者側による署名、会社側による署名及び社判押印後、それぞれ一部ずつ保有します。 また、労働契約書はベトナム語で締結しなければなりませんが、参考として日本語あるいは英語などベトナム語以外の外国語で作成することも可能です。
①契約期間の終了
会社側は、事前に契約終了の旨を労働者に通知しなければなりません。無期限労働契約の場合は45日前に、12カ月から36カ月の有期限労働契約の場合は30日前、季節労働または12カ月未満の有期限労働契約の場合は3日前までに通知が必要です。
①労働契約書で合意された労働条件が満たされていない。 期限の定めの無い労働契約の場合、労働者側から契約を終了させる場合は、基本的には45日以内に会社側に通知しなければなりません。 12カ月から36カ月までの労働契約で、①、②、③、⑦の理由のために労働契約を終了させる場合は、会社側に少なくとも3日前までに、④と⑤の理由は30日前までに会社側に契約終了の旨を通知する必要があります。季節労働又は12カ月未満の労働契約の場合は、⑥を除き3日前までに通知が必要です。
労働者が以下の行為を行った場合、会社側は懲戒解雇をすることができます。
①企業内部情報を外部に漏洩させた、資産を窃盗した等会社に損害を与えた。 懲戒解雇を受けた場合、その労働者は退職金を受けることができません。 (このシリーズは月1回掲載します)
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