第33回 (日本編その1)航空会社運営
戴支社長は国際基督教大学(ICU)を卒業し、日本語が堪能だ。海外畑が長く、これまで台湾、成都、北京、上海に勤務し、東京も現在が2度目。「キャセイに入ってからは香港に住んでいる期間の方が短いんですよ」と苦笑いするが、それは海外支店の運営を知り尽くしていることを意味する。
戴支社長は「日本支社の全従業員約330人がしっかりと働けるように管理することやキャセイの日本の顔としての活動も大事ですが、香港と日本を結ぶ便は1日約20便ありますので、安定して運航できる状況を整えています」と話す。
仕事は基本的に香港のやり方ではなく日本のやり方に合わせているのだと言う。「日本人はいろいろ調べてから計画を立てるので時間はかかりますが、非常にち密です。指摘すべきところはちゃんと言いますが、計画が実際に始まったら、私はあまり関与しません」と、長い海外赴任の中で培った経験がそうさせるようだ。
香港人にとって日本旅行はとても身近で、10回以上訪れたことのある香港人は2割という驚異的な数字を誇る。しかし、これまで数多く訪れている成熟した市場なだけに、中国の経済減速による香港経済の停滞、円高の進行などのマイナス要因は気になるところだ。「私は1香港ドルが10円を切っても心配していません。対米ドルでも80円から120円までありましたから、今の為替レート(取材時で1米ドル=102円)はちょうど真ん中にあるという認識です。これまでにもこういった経験があるので、大丈夫です」と日本でのビジネスに自信を見せる。
その理由の1つとして、航空会社という業態がある。現在のように円高に振れた場合は、搭乗者を香港人から日本人に変えることができるからだ。「ここが自動車などの輸出が主な企業との違いです」。また、香港人の渡航先のほとんどが東京や大阪などのメジャーな都市であると指摘。「先日、山梨県笛吹市や長野県松本市の旅館などに宿泊したら、香港人はいませんでした。地方に行く香港人はまだまだ少ない」と、彼らを呼び込むポテンシャルは高いと考えている。
日本便の平均搭乗率は高いレベルで推移しているがそれでも「さらに上げる余地がある」とし、「現路線の増便をするのか、ドラゴン航空もありますので、それらを含めて地方空港に就航するのかなど、状況を見極めながらやっていきます」と今後の展開を述べた。
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