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最新号の内容 -20160624 No:1457
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香港フィルの新シーズン発表

 

9月に43年目のシーズンを迎える香港フィルハーモニー管弦楽団。その新シーズン(2016/17シーズン)のコンサートプログラムが6月9日、発表された。今季のプログラムは29件で57公演。教育活動を目的とする音楽活動は100回を超える予定だ。 (文・綾部浩司/取材協力と写真提供・香港フィルハーモニー管弦楽団) 
 

 

 

音楽監督ズヴェーデン 契約延長決定
 

香港フィルの新シーズン発表
音楽監督契約延長のサインを交わす(筆者撮影)


 香港フィルの音楽監督ヤープ・ヴァン・ズヴェーデンは2018/19シーズンに名門ニューヨーク・フィルハーモニックの音楽監督に就任することになっており、その去就が注目を集めた。今回の記者会見で香港フィルは契約期間の延長を発表。ズヴェーデンと香港フィルとの契約期間は2018/2019シーズンまでだが、2019/20シーズン以降もさらに3年延長されることが決定した。これで2012/13シーズンからスタートしたズヴェーデンの香港フィル音楽監督としての契約期間は、2021/22シーズンまでの計10年間となる。


 ズヴェーデンは今回の契約期間延長決定について、「私は、香港フィルは宝石だと思っています。才能あるメンバー1人ひとりがこのオーケストラを素晴らしいものにしています。音楽監督の任期延長は大変喜ばしいことで、彼らと共に働けることは大変光栄です。今後さらにたくさんのエキサイティングなプロジェクトを準備しています」と抱負を述べた。

 

香港フィルの新シーズン発表
抱負を語るヤープ・ヴァン・ズヴェーデン
 

 ズヴェーデンは新シーズンに計9プログラム16公演を指揮する予定だ。2014/15シーズンからスタートしたワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』の「ジークフリート」(1月19、22日)やシューベルトの交響曲「ザ・グレート」(6月16、17日)をはじめ、客演指揮者として2002年に香港フィルと初共演した際に演奏されたショスタコーヴィッチの交響曲第8番(2017年4月26、27日)を演奏。新シーズンと来季(2017/18シーズン)の2年をかけて演奏されるマーラー交響曲全曲から、10月に第1番、12月に第3番、来年4月に第6番を演奏することになっている。
 

 一方、ズヴェーデンが指揮をとる公演のほかにも多くの魅力的なプログラムが予定されている。新シーズンのオープニング・コンサート(9月9、10日)は香港フィルと久々の共演となるヨーヨー・マの演奏で幕開け。クリスマス前のウィンターシーズンには、映画音楽作曲家ジョン・ウィリアムズの作品だけを集中的に取り上げたプログラム(12月16、17日)が楽しめる。

 

 2017年もぜいたくなラインアップが続く。2月には歌姫スミー・ヨーが没後40年のマリア・カラスを称えるコンサートを行う。ロンドン交響楽団副指揮者で来シーズンよりスウェーデンのノールランド・オペラの首席指揮者となる香港生まれの女性指揮者エリアム・チャンと英国の名ピアニスト、スティーブン・ハウの共演によるベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」(3月31日、4月1日)も注目のコンサートだ。

 シーズン終盤は日本人音楽家の来港も予定。4月には、バイオリンの巨匠ハイフェッツが愛用していたストラディヴァリウスの「ドルフィン(Dolphin)」を引き継いだ諏訪内晶子が、ウォルトンのバイオリン協奏曲を奏でる。近年毎シーズン香港フィルを指揮している準メルクルは、ハープでの演奏に編曲されたモーツァルトのピアノ協奏曲第19番と得意のフランス作曲家作品で、新シーズンフィナーレに花を添えてくれる (7月7、8日)。


 また、2017年春には1988年以来、実に29年ぶりとなる香港フィルの日本公演を行う計画が明らかになった。

(文中敬称略)


香港フィル公式サイト:http://www.hkphil.org

筆者サイト:http://ii-oto.com