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最新号の内容 -20160624 No:1457
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経済成長は安定を維持する見通し

 

中国経済—今月のポイント

①中国の2016年第1四半期の実質国内総生産(GDP)伸び率は前年同期比で6・7%と、市場予想の範囲内だった。15年通年のGDP伸び率(6・9%)に比べてわずかに鈍化したが、中央政府は16年通年のGDP伸び率目標(6・5〜7%)を維持している。

②一部業種を対象とする過剰生産能力の解消、不動産在庫の解消、非金融セクターのデレバレッジの推進などを背景に、経済成長率は鈍化圧力が依然として大きいものの、今後数四半期の中国経済は、安定成長維持の政策の下、安定した成長が維持できるとみられ、16年通年のGDP伸び率予想は6・7%で据え置く。

③良好な雇用情勢や個人所得の伸び、消費者の購買意欲の高さなどを踏まえると、消費の伸びは安定を維持すると予想される。固定資産投資は底付き安定推移し、特に不動産投資の伸びは、販売や価格の持ち直し、金融緩和を背景に、引き続き回復が見込まれる。

④外需に目を向けると、3月の輸出持ち直しや製造業購買担当者景気指数(PMI)の新規輸出受注指数の50への回復などをかんがみると、輸出は拡大傾向が続くと考えらえる。米国の景気回復、欧州の金融緩和およびマイナス金利政策の効果が徐々に表れるほか、人民元安の効果が徐々に顕在化することで、16年の輸出は再びプラスに転じると予想される。

⑤金融政策に関しては、インフレ圧力が緩やかなうえ、景気減速圧力がくすぶる下、中国人民銀行は金融緩和を続け、残り3四半期は1四半期ごとに預金準備率をそれぞれ1度引き下げ(毎回の引き下げ幅は0・5%)、第2四半期と第3四半期にそれぞれ0・25%ずつの利下げを実施するとみている。財政政策については、今後3四半期は支出拡大ペースが加速し、実質ベースの財政赤字の対GDP比は4・0%に達する見込みである。

中国の国内総生産(GDP)伸び率の推移

 

第1四半期の経済成長率は6・7%

 2016年第1四半期の実質国内総生産(GDP)伸び率は前年同期比で6・7%と、市場予想の範囲内だった。15年通年の伸び率6・9%に比べてわずかに鈍化したが、中央政府は16年通年のGDP伸び率目標(6・5〜7%)を維持している。月次ベースでみると、1〜2月の経済指標は総じて弱い内容だったが、3月は製造業PMIや鉱工業生産高、固定資産投資、小売、貿易など多くの指標が持ち直した。


 過剰生産能力の解消、在庫解消、弱い外需の影響を受け、第1四半期の鉱工業生産高は前年同期比伸び率が5・8%と、15年第4四半期からわずかながら鈍化。消費も季節的な要因で鈍化。社会消費財小売総額の同伸び率は10・3%と、15年第4半期の11・1%を下回った。

 一方、固定資産投資伸び率は、不動産投資の伸び加速を背景に反発。同伸び率は6・2%で、同3・2%を大幅に上回った。価変動要因を除いた実質ベースの伸び率は、社会消費財小売総額が7%、固定資産投資が13・8%。不動産固定資産投資価格下落の影響を除くと、実質ベースの不動産固定資産投資伸び率は9・1%と、15年通年に比べて5・2ポイント加速した。

 輸出入は3月こそ大幅に反発したが、第1四半期は前年同期の基数の高さや世界的な景気回復力の乏しさを背景に低迷が続いた。第1四半期の輸出は前年同期比9・6%減、輸入は13・5%減と、15年第4四半期(輸出は5・0%減、輸入は11・7%減)に比べて減少幅が拡大。貿易黒字は1257億米ドルと、同1758億米ドルに比べて縮小した。

 経済成長率は鈍化しているが、産業構造は改善傾向にある。第1四半期の第三次産業のGDPに占める比率は56・9%と、前年同期を2・0ポイント上回り、第2次産業を19・4ポイントも上回った。

 中国人民銀行は第1四半期の間、金融緩和政策を継続。第1四半期の金融統計では、貸出条件が依然として緩和であることが示され、人民元建て新規融資純増額と社会融資規模はともに予想を大幅に上回った。また、M2伸び率も13・4%と、相対的に高い水準を維持している。

 


経済成長率は安定を維持

 一部業種を対象とする過剰生産能力の解消、不動産在庫の解消、非金融セクターのデレバレッジの推進などを背景に、経済成長率は鈍化圧力が依然として大きいものの、今後数四半期の中国経済は、安定成長維持の政策の下、安定成長が維持できるとみられる。

 良好な雇用情勢や個人所得の伸び、消費者の購買意欲の高さなどを踏まえると、消費の伸びは安定を維持すると予想される。固定資産投資は底付き安定推移し、特に不動産投資の伸びは、販売や価格の持ち直し、金融緩和を背景に、引き続き回復が見込まれる。

 外需に目を向けると、3月の輸出持ち直しや製造業購買担当者景気指数(PMI)の新規輸出受注指数の50への回復などをかんがみると、輸出が拡大傾向が続くと考えらえる。米国の景気回復、欧州の金融緩和およびマイナス金利政策の効果が徐々に表れるほか、人民元安の効果が徐々に顕在化することで、16年の輸出は再びプラスに転じると予想される。

 金融政策に関しては、インフレ圧力が緩やかなうえ、景気減速圧力がくすぶる下、中国人民銀行は金融緩和を続け、残り3四半期は1四半期ごとに預金準備率をそれぞれ1度引き下げ(毎回の引き下げ幅は0・5%)、第2四半期と第3四半期にそれぞれ0・25%ずつの利下げを実施するとみている。

 財政政策については、今後3四半期は支出拡大ペースが加速し、実質ベースの財政赤字の対GDP比は4・0%に達する見込みである。

 総じていえば、3月の多くの経済指標が上向くなか、16年通年のGDP伸び率は6・7%で据え置く。


(恒生銀行「経済研究」2016年4月15日号より。このシリーズは月1回掲載します)