第32回 専業PR 一番大事なのは危機対応能力
ひと口に「仕事人」と言ってもその肩書や業務内容はさまざま。そして香港にはこの土地や文化ならではの仕事がたくさんある。そんな専門分野で活躍する人たちはどのように仕事をしているのだろう? 各業界で活躍するプロフェッショナルたちに話を聞く。(取材・武田信晃/月1回掲載)
日本語にもなっているPRとは、「Public Relations=広報」のことだが、筆者のような仕事をしていると、PR会社に務めている人にしろ、企業のPR担当者にしろ、取材で接する機会が多い。今回は本紙1451号に掲載したカフェ「Artisan Room」など、飲食店のPRやマーケティングを長年担当し、メディア関係者からの信頼も厚い周雪瑩(Cassidy Chow)さんを紹介する。
米国の大学でコミュニケーションを専攻した周さん。大学卒業後PR会社に就職し、すでに10年以上の経験を誇る。彼女は1つのことを説明するのに、よどみなくスラスラと話してくれる。それは、そのことについて「覚えている」のではなく「理解している」からだろう。
現在は一企業のPRとして勤務しているが、PR専門会社とは異なる難しさを感じているそうだ。「PR会社ですと1人あたり5〜7社を担当するので仕事量が多く、ときによっては混乱しそうになることがあります。企業のPR担当者は、宣伝だけではなくマーケティング業務なども関与します。会社の業績にもかかわるので、プレッシャーを感じるときがありますね」
PRの仕事として一番大事なのは、宣伝やコミュニケーション能力ではなく危機対応能力だと周さんは語る。「適切な対応をできるかどうかによって、店の評価が分かれてしまうからです。上手にやることができれば、それはフィードバックという形につながり、改善していける点に変化するのです」
「究極の目標はすべてのメディアに取り上げてもらうこと」と笑った周さんだが、あのプロ精神なら本当に実現してしまうかもしれないと思わせる人だ。 (店内とメニュー写真は同店提供) |
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