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最新号の内容 -20160311 No:1450
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 経済のグローバル化が進む中、自らの組織のために粉骨砕身するリーダーたち。彼らはどんな思いを抱き何に注目して事業を展開しているのか。さまざまな分野で活躍する企業・機関のトップに登場していただき、お話を伺います。
(インタビュー・楢橋里彩)

「一帯一路」の効果を注視

 

在香港日本国総領事館 総領事(大使) 
松田邦紀さん


【プロフィール】 1959年福井県生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業後、1982年に外務省入省。1998年に在ロシア日本国大使館一等書記官、2001年には大臣官房海外広報課長、03年には大臣官房、(財)日本国際問題研究所主任研究員兼研究調整部長、2004年から欧州局ロシア課長を務める。その後、在イスラエル日本国大使館公使、在デトロイト日本国総領事館総領事、人事院公務員研修所副所長を経て2015年10月より在香港日本国総領事館総領事(大使)。 

   

 


——香港に着任されて約半年ですが、以前は米国やイスラエルなどさまざまな国で勤務されたのですね。

 外務省に入ると、まず専門の言語を学ばなければいけません。私の場合は米国と当時のソ連でロシア語を中心に「ソ連研究」を3年学びました。外交官として前半は米ソ関係、米ロ関係の仕事に携わり、後半のイスラエルでは米国、ロシアとの関係をにらみつつ日本とイスラエルとの関係改善に携わっていました。香港の前の赴任先のデトロイトでは主に日本の自動車産業支援にかかわる仕事をしていました。このころから特に意識していたのは中国でした。日々新聞やテレビ、地元の政治家やビジネスマンとの会話の中で「中国」という言葉を聞かない日はなかったです。今回、香港に来ましたが、日本にとって最大の同盟国である米国も中国を無視できません。こうしたことを踏まえながら香港での勤務に役立てたいと思っています。
 

——大使の任務とは、どのようなものでしょうか。

 主に3つあります。1つ目は香港およびマカオの在留邦人、日本人旅行者、出張者等の方々の安全をどのように守るか。2つ目は日本と香港およびマカオの経済関係の発展を支援することです。香港およびマカオにある日系企業、日本と商取引をしている香港およびマカオまたは第三国の企業、こうした企業の活動のサポートです。そして3つ目は日本と香港およびマカオとの間にあるさまざまな分野の交流です。特に文化、スポーツ、教育分野の交流は力を入れていきたいですね。
 

——昨年は香港からの訪日旅行者数が150万人を突破しました。他国・地域でみられないほどの日本ブームが起きています。

 まずは日本、香港の関係者の皆さまに心より感謝を述べたいと思います。720万人の香港で150万人が日本を訪問するということは、5人に1人は日本に行っていることになります。それだけ日本の魅力が香港の人々に理解されている表れと思っています。一方で総領事館として日本の関係者とともに努力していきたい分野は日本における「観光インフラの整備」です。特に地方都市には豊かな観光資源があるにもかかわらず、宿泊施設や交通機関などが十分ではないという声を聞きます。
 

——香港と日本の関係についてはいかがでしょうか。

 ある意味で日本と中国本土との関係の発展と相乗効果があると考えています。日中間の政治対話をはじめ日中関係が改善・進展しているのを見ても香港またマカオとの関係のさらなる発展に取り組むべき良いタイミングがきていると思います。香港は金融センター、物流センター、情報発信センターという3つの世界的センターだと思います。香港との間の貿易・運輸、金融サービスなどの経済関係を今以上に発展させることが大事です。香港を通して中国本土の人々にもさまざまな側面の日本を知っていただくだけでなく、世界に向けて情報発信が可能なセンターであります。2020年は東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。特に「ラグビー」は香港でも長い歴史があり、ラグビーセブンス(7人制ラグビー)などでも注目されていますね。こうしたことも香港を通して育める文化交流だと思っています。
 

——中国経済が減速する中、香港経済の動向をどのように予測されますか。

 香港はいかに金融の中心地としてのステータスを魅力的にしていくべきかなど、さまざまな分野で経済強化に向けた動きがでています。こうした中で私たちも香港の政治・経済の指導者たちとの対話を通じて問題意識などを理解し、意見交換していきたいと思っています。そして日本と香港の双方にとってプラスになる経済関係の発展につなげられたらと考えています。個人的には中国政府のイニシアチブである「一帯一路」が香港の経済、金融界にどのような意味をもたらすのか注視しています。香港の不動産価格の下落についても、香港への新たな投資の呼び水になるかもしれません。経済現象は必ずプラスとマイナスがありますから、その両方をバランスよく見る必要があると思います。香港が安定した経済成長を維持することを大いに期待しています。
(この連載は月1回掲載します)

 

【楢橋里彩】フリーアナウンサー。NHK宇都宮放送局キャスター・ディレクターを経てフリーに。ラジオDJとして活動後07年に中国に渡りアナウンサーとして大連電視台に勤務。現在はイベントなどのMC、企業トレーナー、執筆活動と幅広く活躍中。ブログhttp://nararisa.blog.jp/