深圳に基盤、空気清浄機開発
経済のグローバル化が進む中、自らの組織のために粉骨砕身するリーダーたち。彼らはどんな思いを抱き何に注目して事業を展開しているのか。さまざまな分野で活躍する企業・機関のトップに登場していただき、お話を伺います。
——御社の空気清浄機の商品はフォルムの美しさとデザイン性の高さに目を見張るものがありますね。
ありがとうございます。弊社では「(技+美)×心=cado」を基本理念として開発を行ってます。つまり最高の性能に優れたデザインが融合し、更にはそこに作り手の思いを込めた心が存在すること、これがcadoブランドの条件なのです。 ——かつてSONYでご勤務され、オーディオから家電業界に転身をされていますが、なぜだったのでしょうか。
SONY時代には、2006年より中国・深圳に赴任しておりました。3年半滞在しSONYのオーディオビジネスを担当し、中国での「ものづくり」の基盤はそこで構築しました。その後これまでにない新しい何かを、しかも世界レベルのものを作りたいと考えた末に深&`にCTKTechnology (Shenzhen) Co.,LTDを設立、独立したのです。空気清浄機をつくるきっかけとなったのは、この業界の第一人者である研究者の方による新たな技術を駆使した、商品のアイディアと開発のご提案をいただいたこと。当時、日本の空気清浄機はマイナスイオン方式が主流であり本来の空気浄化能力を追求していませんでした。そこで我々は「フィルターの性能追求」こそが本来の空気清浄機のあるべき姿であるという結論に達し、新規参入することにしました。SONY時代に深圳で作り上げた人脈やインフラを構築していたので、その後の会社設立、パートナー探しなど特に大きな障害にぶつかることなく商品開発に集中できました。 ——「フィルターの性能追求」とはどのようなものでしょう。
フィルターには大きく分けて「集塵フィルター」と「脱臭フィルター」に分けられますが、開発当初我々は特に「脱臭フィルター」の性能改善に力を入れていました。具体的にはシックハウスの主原因である有害な揮発性のガス(VOC)をいかに短時間で効率よく除去できるかというテーマに取り組んだわけです。我々のフィルターには高性能な活性炭がふんだんに使われているために初期性能においてはまずまずの性能を実現出来たのですが、残念ながら時間の経過とともに活性炭の吸着能力が劣化し3カ月後には初期性能の半分近くまで落ちてしまいました。そこで我々は活性炭の表面に最新の光触媒をコーティングしそれにLEDを照射することを考えました。試行錯誤ののち最終的に我々は活性炭に吸着された有害物質を上記光触媒によって分解することに成功し課題であったフィルターの寿命を大幅に改善することが出来たのです。 ——これまで広東省にあった生産工場を、今年から日本にシフトされていますが、これはどういった経緯でしょうか。
9月から弊社製品の一部を「Made in Japan」に変更しました。主な理由は2つあります。1つは急激な円安。cadoを設立した当時は円高の時代で1米ドルが80円前後でした。それが今ではご存じの通り120円を突破し既に50%近く円安になっているわけです。そこで思い切って「Made in Japan」に切り替えることにしました。2つ目はお客様からの「Made in Japan」の要求の高まりです。cado製品が「Made in Japan」だったら最高なのにという声を特に海外のお客様から頂いています。これは日本製に対する信用の証だと思います。 ——昨年から本格的にアジア市場を拡大、今年9月には香港に進出しました。香港市場に期待している点は?
私は今でも月の約半分を中国で生活していますが、それだからこそ水や空気の汚染に関してはとても敏感にならざるを得ません。実は、商品開発を始めた頃はここまで環境問題を意識していなかったのですが、1号機が出来上がった頃に、PM2・5などの大気汚染の問題が取りざたされるようになったため、ある意味タイミングが良かったのですね(笑)。現在、香港ではオンラインと一部デパート等で取り扱っています。高級ブランドと認知されるようにブランド戦略を大事にしていきたいと考えています。
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