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最新号の内容 -20150904 No:1438
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《90》 家の無い犬たち

子供と交流する犬きょうだい(写真提供・SPCA)

 

犬きょうだいは待っている

 

 (犬と猫で)ベースボールチームを1チームつくれる動物の数になった筆者の家。長男犬、金ちゃんが亡くなってまだ1年もたたないのに、ネズミ算式に増えているような気がする。7匹の犬、2匹の猫兄妹になってしまったのに、また1匹増えることになった。 

 老犬で捨てられた気の毒な犬さんである。明日にも近所の家から引き取る予定だ。引き取らない選択もある、しかし、飼い主が他界した後、誰にも面倒を見られることなく庭につながれ寂しく暮らしてきた。そんな犬の心情を考えるといたたまれない。今度はサッカーチームが編成できるようになるのか…。もうこれ以上は無理だと思う。

 さて、前回紹介した蛆(うじ)に背中を食われたロンは、我(わ)が家でも人間に甘えるようになった。2回に分けて散歩にでるが、先の若者チームが出かけると、ロンは鳴く。ヒーヒー悲鳴をあげて鳴くのだ。道行く人からは、凶暴そうな犬だ、と言われるが、犬嫌いな猫たちにとってロンの存在はいないに等しい。いたって優しい性格。あまり人に反応せず、前歯は無い(欠けた犬歯あり)が食べ物には非常に反応を示す。ほかの犬たちにどやされ、ヒーヒー鳴きながらもカピバラのような顔でのほほんとしている。体や顔にたくさん傷があるが、あの性格でよく半野犬として生きてこられたな、と感心する。能天気な性格のおかげだろうか。 

 さて、数カ月前に墓場で生まれた仔犬たち12匹のうち、8割方がなんとか住むところが見つかった。しかし、4匹は臨時の里親さんの家に残ってしまった。この里親さん、今月末に海外に移住するため、仔犬たちの引き取り先を探さなくてはならない。手のひらサイズだった仔犬も今や大きくなってしまった。ボランティアさんがさまざまな里親探しの会に連れて行っても、シャイな仔犬たちの引き取り主は見つからない。というのも、すでに今の環境に満足し、きょうだい一緒に暮らしていたので、人見知りになっているのだ。これはどの仔犬にも起こること。もちろん人間と同じように、面倒を見てくれる人たちに愛着心が生まれ、親として認識してしまう。 

 最後の手段として、 愛護動物協会(SPCA)に交渉し、なんとか4匹とも引き取ってもらえることになった。以前は、滞在可能期限がくると犬たちは安楽死させられていた。現在はこの手段はなくなったため、私たちもそこに送ることに決定した。そして、早速、見に来た地元の子供と遊ぶ仔犬たち。もしもあなたが香港に長期滞在し、一生犬の面倒を見ることに興味があったら、ぜひ彼らを訪ねてほしい。旺角のSPCAにいるmeimei とseptiは皆さんが会いに来てくれることを待っています。