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最新号の内容 -20141219 No:1421
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スタンディングオベーションで幕
蜷川幸雄氏演出の香港公演

 

インタビューでは香港への思いも語った蜷川幸雄氏(筆者撮影)

 「世界のニナガワ」こと蜷川幸雄氏が率いる演劇集団「さいたまゴールド・シアター」が11月14〜16日、香港で 『鴉(からす)よ、おれたちは弾丸(たま)をこめる』を上演した。上演に先駆け11月13日に行われたリハーサルで、蜷川氏に話を聞いた。(取材と文・綾部浩司)

  

 「さいたまゴールド・シアター」は団員のすべてがオーディションで選ばれた高齢者集団で、元国鉄マンや専業主婦、東芝の工員や介護士など実にさまざまな職歴を重ねた人たちで構成されている。平均年齢は70歳以上で最年長は88歳。「新しいリアルな演劇をつくりたい。職業的俳優ではできない実際の生活を個人の歴史に基づいた演技をしたらどうなるか、それが既成の演劇への批判になるだろう」と蜷川氏は抱負を述べた。

 舞台は1970年代、裁判にかけられた孫たちを助けるために裁判所に押し掛けた数十人の老婆たち。そして彼女たちは法廷を占拠する。警察は裁判所を取り囲み、法廷占拠をやめるよう何度も呼びかけるが、老婆たちはバリケードを構え必死に抵抗する。 

 香港の学生や市民による政府庁舎周辺の占拠とこの作品の内容とが偶然にも重なる部分が多かったが、それについて蜷川氏はこう語った。 

 「重なるところはたくさんあると思います。体制に不満を持つ人たちが必死に戦っていることを、よその国にいながらも応援できたらいいなと思います。それは自分たちが政治に敗れた世代であったことも含め、ある種の願望です。そして幸せな結末が迎えられたらいいなと。香港の学生や市民のみなさんの行動は涙する思いです。この舞台で香港の皆さんと何かつながりができたらいいな、と思い今回香港に来ました」 

 このたびの香港公演に続いて仏パリ公演が12月初旬に行われたが、NHKが一連の海外公演に同行。来年2月にドキュメント番組が放映される予定という(番組名、放送日時未定)。

観客席と舞台が一体化した迫力ある公演(筆者撮影)

 

パッキャオが防衛 
無敗の挑戦者を圧倒

 

ボクシング界の生ける伝説、マニー・パッキャオ(フィリピン)がマカオのコタイアリーナでWBO世界ウェルター級タイトルマッチを行い、無敗の挑戦者クリス・アルジェリ(米国)を3対0の判定で下し防衛に成功した。(取材と文・武田信晃) 

左ストレートを放つパッキャオ(主催者提供)

 6階級制覇しているパッキャオはアジア人でありながらボクシングの本場ラスベガスでもメーンイベントを何度も張ってきた客を呼べるボクサーだ。アルジェリは1階級下の世界チャンピオンということで両階級中間の144ポンド(約65.3キロ)で行われた。  

 衰えからかKO勝ちが約5年もないパッキャオ。しかし、この試合は開始直後から優位に試合を進めた。パッキャオの左ストレートを警戒して時計回りで足を使い、カウンター狙いのアルジェリだが、この日のパッキャオは右のジャブも好調でフック気味にアルジェリにヒットすることもしばしば。2回にスリップ気味にダウンを奪うと、6ラウンドにアルジェリが2度目のローブローで注意を受けた直後にパッキャオの左がカウンターであたりダウン。さらにもう一度ダウンを奪った。 

 9ラウンドにはアルジェリが仕掛けたところにパッキャオが左ストレートを炸裂させてダウンさせる。2度のダウンで戦意喪失気味のアルジェリだが再開後さらにアタックするパッキャオ。レフェリーが試合を止めてもおかしくない場面だったがアルジェリは事実上ゴングに救われた。結局、計6回のダウンを奪ったパッキャオが3対0の判定で圧勝し、対戦成績を57勝(38KO)5敗2分けとした。 

 対戦が期待されながら実現していないフロイド・メイウェザーとの対戦について「Yes、Yes」と自身が契約しているCMの台詞を使って答えるなど上機嫌。「来年、彼と戦う準備はできているし、ファンも期待している」と意欲を示した。

セクシーなリングガール(主催者提供)

会見でのパッキャオ(筆者撮影)