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最新号の内容 -20131220 No:1397
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林君佳さん

愛くるしい水着姿を披露した林君佳さん。2008年5月、南寧の第3回アジアスーパーモデルコンテストのステージで(筆者撮影)


台湾出身ながら「日本代表」

 ネット上には『中国美女大全』など、豊富な画像を満載した「中国美女」サイトを散見するようになったが、これらはいずれも既存サイトの写真をリンクさせているだけ。数多くの中国語サイトを閲覧して勉強してきたことは認めるが、本人が現場に立って取材したわけではない。その点、連載30回を超えた『中国美女図鑑』の自慢は、掲載写真のすべてが筆者撮影のオリジナルであること。21世紀に大きく開花した中国選美文化だが、現場での取材歴なら、筆者に一日の長があると自負している。

入賞後、黒のドレス姿でステージン立つ林君佳さん(筆者撮影) 

 さて、今回ご紹介する林君佳さんは広西チワン族自治区の南寧で開催された2008年の第3回亞州超級模特大賽(アジアスーパーモデルコンテスト)の季軍(準ミス2位)。筆者にとっては初めての中国本土でのコンテスト取材だった。「日本代表」だったため掲載を躊躇してきたが、ご両親はともに台湾出身。名前も「りんきみか」と読み、仲間うちでは「りんちゃん」と呼ばれていた。当然ながら中国語も堪能で、リハーサルで中国人ディレクターの罵声を翻訳して5人の日本人選手の結束と士気を高めてきたのも彼女の功績。そして、なみいるアジア7か国35人の代表を相手に堂々の季軍入賞。大柄でメリハリのあるプロポーションながら、愛くるしいベビー・フェイスがなによりも彼女の魅力だった。コンテスト後に開かれた慶功宴(打ち上げ)で、マイクを持たされた彼女が流ちょうな普通話で「我愛中国」とあいさつしていたのが今も耳に残っている。 

 出場当時はテレビドラマ『ガリレオ』に出演。『明石家さんまの史上最大のクリスマスショー』にサンタガールとして共演。大手コンビニチェーンの中華饅頭のCMに起用されるなど、テレビでも活躍していた。その後の消息を知りたくて、所属していたオスカー・プロモーションの関係者にお尋ねしたところ、残念ながらすでに芸能活動を引退しているという。日中関係が最悪の昨今。これからは「超級媽媽生」(スーパーママさん)として、両国をまたぐ新たな活躍を期待したいものだ。      

(このシリーズは月1回掲載します)

 

筆者・和仁廉夫(わに・ゆきお)
1956年東京生まれ。このほど香港で第2次大戦期の日本占領史跡などを扱った『歳月無聲』(花千樹出版・中文)を出版した。中国ミスコンに関しては、「広州『姿』本主義〜香港返還もう一つの意味」(霞山会『東亜』2009年9月号)がある。