日本人バイオリニスト、樫本大進さんが4月12、14日、香港で演奏会を行った。名門ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターを務めるなど、世界的に活躍している樫本さんに話を聞いた。 (取材と文・綾部浩司) —ベルリンフィル(BPO)のコンサートマスターになったきっかけは? BPOのコンサートマスターの1人で、知人であるブラウンシュタインからぜひテストを受けるように何度も言われていたのです。自分としては受かるはずないし、コンサートマスターなど出来るわけがないと思って、笑って済ませていました。しかし彼があきらめず誘ってくれたのでテストを受けました。その後、ゲストコンサートマスターとしてBPOで演奏をした際にコンサートマスターという立場にとても感動して、ずっとやっていきたいと感じました。その時の指揮者は偶然にも小澤征爾さんでした。オーケストラも迎え入れてくれ、正式にベルリンフィルのコンサートマスターに2010年12月、就任しました。 —ソリストのころとコンサートマスターになった後では、バイオリン協奏曲を弾くときの心境の変化はありますか? 確かに現在は共演するオーケストラのコンサートマスターの動きなどが気になる瞬間が毎回ありますね。 —バイオリンとの出会いがとてもユニークだと聞きましたが。 3歳のころ親がいろいろな楽器を与えたら、私は2つの道具を同時に使って演奏するのが面白くてバイオリンを選んだそうです。ただ、なにしろ3歳の時のことですから、自分ではあまり覚えていませんね。 —将来、指揮者に転向するという可能性は? 興味はないのですが、コンサートマスターにも以前は興味がなかったので…。今後のことは分からないということですね。(笑) —今回が3回目の共演となった「香港シンフォニエッタ」の印象は? メンバーがとても若くエネルギーたっぷりのオーケストラですね。以前よりさらに若返ったのでは? 共演して本当に楽しかったです。 —香港の街の印象はいかがでしょうか? 香港シンフォニエッタみたいにエネルギーがすごくあり、いつでも新しいことが出来る、いろんなものが発見できるような雰囲気がありますね。一方では、歴史的なものを大事にしている印象があります。上海や北京の方が本当は古い街なのに、むしろ香港の方が古い中国を感じさせますね。
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