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最新号の内容 -20111021 No:1344
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秋の風物詩ともいえる上海ガニ。毎年この時期になると街のあちこちで「大閘蟹(上海ガニ)」の文字が見掛けられ、生きたカニたちが店頭に並べられる。高級食材である上海ガニはグルメでなくとも一度は食べてみたいもの。そこでカニの購入の仕方から基本的な食べ方、レストランのお薦めメニューまで、まとめて紹介する。           
(構成・編集部/イラスト・譚美津子)


上海ガニの生きのよさを見分けるコツ、その他の注意点などを図のように挙げてみた。ほとんどの店が一番おいしいといわれる「陽澄湖産」をうたっているが、最近では他の地で捕れたものを陽澄湖に数日入れただけの「にわか陽澄湖産」も多いそうだ。 

オスとメスの違い

 見分け方は簡単。腹に三角形の「ふんどし」がある方がオス、だ円形の方がメス。一般的にオスの方がメスより一回り大きく、ハサミも大きく、ハサミの毛も多い。

▲オス ▲メス

■カニはどこから?

 「上海ガニ」とは言っても大都会である上海市で水揚げされるわけではない。中国語の学名を「中華絨毛蟹(英名:Eriocheir sinensis)」と呼ぶモクズガニの一種で、主な産地は遼寧、安徽、浙江、江蘇の各省。中でも江蘇省蘇州市の陽澄湖産の上海ガニは味の良さで名を馳せ、「上海ガニと言えば陽澄湖」と言われるまでになった。

 だが、そのために同湖産をかたった偽物も市場に多く出回り、卸業者らは頭を痛めてきた。ほかの地域で捕れたカニをほんの短期間だけ陽澄湖に入れた「にわか陽澄湖産」も多いといわれる。数年前からはカニの甲羅にレーザーで「陽澄湖産」と記したり、カニのツメに「陽澄湖産」と記した指輪をはめるなどの偽物対策を講じた。そして2005年からは、輸出向けの上海ガニにはすべて中国国家質量検験検疫局の衛生証明書を付け、偽物対策をさらに徹底している。しかし最近ではニセの指輪の売買も横行しており、信用のおける店での購入を心掛けたい。 

この時期になると上海食料品店でカニを品定めする多くの市民を見掛ける。大きいサイズのカニを1〜2匹買う人や「数匹100ドル」というような小さなカニをまとめて購入する人などさまざま

■今年の上海ガニは?

 香港紙によると、今年は上海ガニが豊作。一般にカニが稚ガニから成体に成長するには2年かかり、生息環境の水質の良し悪しが非常に重要になってくる。今年は太湖、陽澄湖ともに水揚げ量が多い。太湖産のカニの大半が重さ5両(1両は約37グラム)を超える大きいもの。一方の陽澄湖産は例年よりも良質。よく肥え、体の色つやも美しいカニが多いという。 

 豊作とは言え、上海ガニの平均価格は昨年に比べ15〜20%ほど高い。これは人民元相場の上昇と運輸コストの増加による。専門店によれば、シーズン半ばに入り出荷量が増えると価格も次第に下がるそうだ。香港では気温が下がり、長そでを着込むころが上海ガニの食べごろという。

■オスがおいしい?

 昔から上海ガニは「九雌十雄」といわれ、旧暦の9月はメス、10月はオスがおいしいとされる。今年は9月27日が旧暦9月1日、10月27日が同10月1日となる。その理由は、9月はメスの肉質が良く、10月はオスのみそが肥えるから。だが「月を問わず、本当に美味なのはオスのみそ」と熱く語る香港人も多く、通はオスを好んで食べるという。ちなみに、カニのみそとはメスは「蟹黄(卵巣)」、オスは「蟹膏(精巣)」のことだ。

 ただし、カニは体を冷やす食べ物なので、上海ガニを食べるときはショウガ入りの酢じょうゆをたっぷり浸け、食後にショウガ湯を飲むことをお勧めする。また、柿と一緒に食べてはいけない。

■カニはどこで買う?

 上海食料品店やカニ専門店で購入するのが一般的。この時期になると店頭やショーケースにカニがずらっと並ぶ。中でもコーズウェイベイの白沙道にある上海食料品店「老三陽」が最も有名だ。また、大手スーパー「百佳超級市場(パークンショップ)」の一部店舗でも取り扱っている。


 

蒸して食べよう

 自分で買って蒸せば経済的。メスとオスを買って、味の違いを楽しむのもいい。

①買ってきたら縛ったまま流水で表面をよく洗う。古い歯ブラシでこするのが一般的。
②なべに乾燥シソの葉(カニ購入時にもらえる)と水を入れて沸騰させる。ショウガなどを加えてもいい。
③縛られたままのカニを、腹を上に向けて皿か台に載せ、鍋に入れる。腹を下に向けるとカニミソが流れ出るので注意。また、カニが湯につからないようにすること。 
④大きさによって中火で15〜25分蒸す。買うとき店の人に「この大きさだとどのくらい蒸すの?」と聞こう。
⑤蒸し上がったら腹を上に向けたまま皿に取り、ハサミでわらヒモを切る。食べ方は以下の通り。
 

調味料やシソ、ハサミを用意する

頭をもぎ取る

黒酢にブラウンシュガーとショウガのみじん切りを入れて調味料を作る

「ガニ」と呼ばれるひだのような肺を取り除く。はさみで切ってもいい

蒸したらハサミと足を外す

中にある六角形をした「蟹和尚」と呼ばれる心臓を取り出す

腹の「ふんどし」を外す

胴体を左右に割る

2枚にはがす。その後、目の下にある胃を取り除く

全部ばらしたところ


お店で味わおう

 上海ガニの代表的な料理といえば、乾燥させたシソの葉と蒸す「清蒸大閘蟹」。調理法はいたってシンプルだが、それだけに鮮度が問われ、蒸し加減がみその味や舌触りを左右する。「蟹粉(みそと肉)」入りのショーロンポーも多くのレストランがメニューに加える一品。今年は有名ホテルや中華料理店で味わってみては?

■ホリデー・インの上海ガニプロモーション

 本格広東料理を提供するホリデー・イン・ゴールデンマイルの中華レストラン「龍苑」では、定番の紫蘇籠仔蒸大閘蟹(蒸しガニ)や蟹粉小籠包(カニみそ入りショーロンポー)のほか、蟹粉蝦仁滑豆腐(豆腐と小エビのカニみそ風味)、蟹粉金盞西施燕窩(ツバメの巣入り卵白いためのカニみそ添え)といったオリジナルメニューを用意している。(電話2315-1006)

■本場上海発、小南国の斬新なメニュー

中国本土の大都市を中心に51の支店を持つ「上海小南国」では、蝦球蟹粉蒸雪嶺(中華風茶碗蒸しのカニみそあんかけ)や生折蟹粉石焼飯(カニみそ入りビビンパ風ご飯)、卜卜蟹皇泡飯(カニみそスープがけチャーハン)など他店とはひと味違った上海ガニ料理が楽しめる。(タイムズスクエア店 電話2874-8899)

■老上海飯店の伝統的な味で楽しむ

前身の老正興菜館時代から50年以上の歴史を持つ湾仔の老舗「老上海飯店」では、蒸しガニに薺菜黄魚羹(イシモチとナズナのスープ)などの伝統的な上海料理を組み合わせたセットメニューのほか、花彫酔蟹(カニの紹興酒漬け)や蟹粉小排翅(カニみそ入りフカヒレスープ)などの料理に紹興酒が付いたカニづくしセットを提供中だ。(電話2827-9339)

■東来順では上海ガニの新しい食べ方を提案

ザ・ロイヤルガーデン内の北京・淮揚料理店「東来順」では、アボカドとリンゴ、上海ガニをライムなどで風味づけした特製マヨネーズであえた牛油果大閘蟹沙律や、四川風チリソースとXOソースで味付けしたXO麻辣焗大閘蟹、カニみそをキノコと紙で包み揚げ、レタスを添えた紙包大閘蟹粉など、20品を超えるメニューを提供している。(電話2733-2020)